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五百四十三話 無意識に思ってしまう
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「久しぶりだな、お前ら」
「そうだね。まだ最後に顔話合わせてから一年も経ってないけど、随分久しぶりな気がするよ」
アラッドは平民の友人であったバーク、ダイア、アミット、エレナの四人を屋敷に招き入れていた。
「噂は聞いてるぜ、アラッド! 随分無茶な事ばっかしてたらしいじゃねぇか」
「はっはっは!! 確かに否定出来ないな。そうだ、こいつが今俺とパーティーを組んでる冒険者だ」
「スティームです。よろしく」
自分たちと長い間と共に過ごしてきたアラッドと一緒にパーティーを組んでいる人物。
当然、少なからずスティームに対する嫉妬心が生まれる。
それでも四人はこれまでアラッドの屋敷で訓練を行う中で……冒険者になってから更に視る眼を養ってきた。
(悔しいけど、この人は本当に強い)
(っ……歳上が相手でも負けたくねぇんだが、そうも言ってられねぇな)
男子二人は内心、悔しい気持ちで一杯だが、それをぐっと堪えて顔には出さなかった。
「それにしても、帰ってきて早々ボルガンさんや他の先輩たちと喧嘩? になるなんて、ある意味アラッドらしくはあるわね」
「おいおい、俺から喧嘩売ったわけじゃないぞ」
「解ってるわ。どうせオルガンさんたちが噂を信じられずに絡んだんでしょ」
「私たちからすれば、アラッド君にそんな態度で絡むなんて……普通に考えられないよ」
四人の元にもアラッドの噂は届いており、同世代のルーキーたちが半信半疑である中、バークたちは完全に信じていた。
「けどよ、今では兄貴って呼ばれてるんだろ」
「…………そうだな。よく解らないんだが、そう呼ばれるようになった」
季節が冬に移り変わるということもあり、アラッドはこのまま冬を実家で過ごそうと決めた。
実家で休む休養期間ではあるものの、全く動かないというのも良くないという結論に至り、偶に冒険者ギルドの依頼を受けているのだが……偶々ボルガンに出会うと「兄貴!!!」といった様子で元気良く話しかけられる。
「でも、アラッドなら同性代や少し上の世代からは結構慕われてたんじゃないかい? そんなに驚くようなことじゃないと思うけど」
「「…………」」
バークは決して悪気はない。
アラッド程の強さを持っており、貴族の令息という立場でありながら、普通に接すれば普通に対応してくれる。
バークからすれば、慕われない方がおかしいという感覚。
しかし、二人の様子から察するに、予想とは真逆の結果であることが伺える。
「あ、あれ? もしかして、あまりそんな事はなかったのかな??」
「バークがそう思ってくれてるのは嬉しいが、ぶっちゃけた話をすると、あんまりそんな事はなかったんだ」
現在広まっている噂話には含まれていない部分に関して、実際にあった話を伝える。
すると……当然の如く、バークたちの顔は徐々に徐々に険しいものへと変化。
因みに、最初の街でアラッドにバカ絡みした結果、冒険者ギルドから追放されたギルに関して、四人は全く同情しなかった。
「っと、まぁこんなところだ。ほら、あれだ……冒険者になるような人間って、負けん気が強くないとダメみたいなところがあるだろ。だから俺みたいな存在に絡むのはおかしくないと言うか……うん、だからとりあえずその眉間の皺をどうにかしないか」
他の冒険者からすれば、アラッドは色々と煙たい同業者ではあるが、四人からすれば大切な友人。
キレるなというのは無理な頼みである。
「…………分かったよ。アラッド本人がそこまで気にしてないなら、僕は何も言わないよ」
「しゃあねぇな。俺もあれこれ言わねぇよ……けど、あれだな。同性代やちょっと歳上には慕われないっつーか、嫌われ気味だけど、それなりに歳上の人たちには好かれてるんだと思ったが、そうじゃない事もあるんだな」
ダイアが「そうじゃない」と指す人物は、雷獣の一件で変に絡まれてしまったクソイケメン優男先輩ことエレム。
「あの人はガッツリ歳上って訳じゃないからな……それに、俺が言うのはあれなんだが、あの歳頃であれだけの実力があれば、無意識に自分の考えは正しいんだって強く思っていてもおかしくない」
「そう、ね……はぁ~~~、私たちもそういう風にならない様に気を付けなくちゃいけないわね」
現在、アミットたち四人は地元を拠点にして活動しており、まだ冒険者歴が一年も経っていないにもかかわらず、既にDランクへ昇格している。
勿論……盗賊団の討伐依頼を経験しており、人を殺す覚悟も有している。
ルーキーなのにルーキー離れした実力を有しているというのは……最大戦力の違いこそあれど、アラッドと似ていた。
多少似た様な経験もしたが……それを乗り越え、横と上に自分たちを認めさせて今がある。
「アミットは絶対に後輩たちから慕われるようになるよ」
「そうかしら? 私はエレナの方が絶対に慕われそうだと思うけど」
「いやいや、俺はエレナの意見と同じだぜ? だって……ふふ、エレナは絶対に同性の後輩からお姉様!!! って呼ばれるようになりそうじゃん」
……明らかに褒めてはいない。
それが解かった瞬間、和やか? な談笑は終了し、模擬戦が勃発した。
「そうだね。まだ最後に顔話合わせてから一年も経ってないけど、随分久しぶりな気がするよ」
アラッドは平民の友人であったバーク、ダイア、アミット、エレナの四人を屋敷に招き入れていた。
「噂は聞いてるぜ、アラッド! 随分無茶な事ばっかしてたらしいじゃねぇか」
「はっはっは!! 確かに否定出来ないな。そうだ、こいつが今俺とパーティーを組んでる冒険者だ」
「スティームです。よろしく」
自分たちと長い間と共に過ごしてきたアラッドと一緒にパーティーを組んでいる人物。
当然、少なからずスティームに対する嫉妬心が生まれる。
それでも四人はこれまでアラッドの屋敷で訓練を行う中で……冒険者になってから更に視る眼を養ってきた。
(悔しいけど、この人は本当に強い)
(っ……歳上が相手でも負けたくねぇんだが、そうも言ってられねぇな)
男子二人は内心、悔しい気持ちで一杯だが、それをぐっと堪えて顔には出さなかった。
「それにしても、帰ってきて早々ボルガンさんや他の先輩たちと喧嘩? になるなんて、ある意味アラッドらしくはあるわね」
「おいおい、俺から喧嘩売ったわけじゃないぞ」
「解ってるわ。どうせオルガンさんたちが噂を信じられずに絡んだんでしょ」
「私たちからすれば、アラッド君にそんな態度で絡むなんて……普通に考えられないよ」
四人の元にもアラッドの噂は届いており、同世代のルーキーたちが半信半疑である中、バークたちは完全に信じていた。
「けどよ、今では兄貴って呼ばれてるんだろ」
「…………そうだな。よく解らないんだが、そう呼ばれるようになった」
季節が冬に移り変わるということもあり、アラッドはこのまま冬を実家で過ごそうと決めた。
実家で休む休養期間ではあるものの、全く動かないというのも良くないという結論に至り、偶に冒険者ギルドの依頼を受けているのだが……偶々ボルガンに出会うと「兄貴!!!」といった様子で元気良く話しかけられる。
「でも、アラッドなら同性代や少し上の世代からは結構慕われてたんじゃないかい? そんなに驚くようなことじゃないと思うけど」
「「…………」」
バークは決して悪気はない。
アラッド程の強さを持っており、貴族の令息という立場でありながら、普通に接すれば普通に対応してくれる。
バークからすれば、慕われない方がおかしいという感覚。
しかし、二人の様子から察するに、予想とは真逆の結果であることが伺える。
「あ、あれ? もしかして、あまりそんな事はなかったのかな??」
「バークがそう思ってくれてるのは嬉しいが、ぶっちゃけた話をすると、あんまりそんな事はなかったんだ」
現在広まっている噂話には含まれていない部分に関して、実際にあった話を伝える。
すると……当然の如く、バークたちの顔は徐々に徐々に険しいものへと変化。
因みに、最初の街でアラッドにバカ絡みした結果、冒険者ギルドから追放されたギルに関して、四人は全く同情しなかった。
「っと、まぁこんなところだ。ほら、あれだ……冒険者になるような人間って、負けん気が強くないとダメみたいなところがあるだろ。だから俺みたいな存在に絡むのはおかしくないと言うか……うん、だからとりあえずその眉間の皺をどうにかしないか」
他の冒険者からすれば、アラッドは色々と煙たい同業者ではあるが、四人からすれば大切な友人。
キレるなというのは無理な頼みである。
「…………分かったよ。アラッド本人がそこまで気にしてないなら、僕は何も言わないよ」
「しゃあねぇな。俺もあれこれ言わねぇよ……けど、あれだな。同性代やちょっと歳上には慕われないっつーか、嫌われ気味だけど、それなりに歳上の人たちには好かれてるんだと思ったが、そうじゃない事もあるんだな」
ダイアが「そうじゃない」と指す人物は、雷獣の一件で変に絡まれてしまったクソイケメン優男先輩ことエレム。
「あの人はガッツリ歳上って訳じゃないからな……それに、俺が言うのはあれなんだが、あの歳頃であれだけの実力があれば、無意識に自分の考えは正しいんだって強く思っていてもおかしくない」
「そう、ね……はぁ~~~、私たちもそういう風にならない様に気を付けなくちゃいけないわね」
現在、アミットたち四人は地元を拠点にして活動しており、まだ冒険者歴が一年も経っていないにもかかわらず、既にDランクへ昇格している。
勿論……盗賊団の討伐依頼を経験しており、人を殺す覚悟も有している。
ルーキーなのにルーキー離れした実力を有しているというのは……最大戦力の違いこそあれど、アラッドと似ていた。
多少似た様な経験もしたが……それを乗り越え、横と上に自分たちを認めさせて今がある。
「アミットは絶対に後輩たちから慕われるようになるよ」
「そうかしら? 私はエレナの方が絶対に慕われそうだと思うけど」
「いやいや、俺はエレナの意見と同じだぜ? だって……ふふ、エレナは絶対に同性の後輩からお姉様!!! って呼ばれるようになりそうじゃん」
……明らかに褒めてはいない。
それが解かった瞬間、和やか? な談笑は終了し、模擬戦が勃発した。
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