スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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五百三十八話 やっと呑める

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「それで、良い女だったのか?」

「はい。後悔のしようがない、本当に良い女性でした」

「そうか、それは良かったな」

オーアルドラゴンとの会話は約一時間程続き、その後は特にモンスターと戦わずに帰還。

「こちらが報酬金額になります」

「どうも」

受け取った報酬金額はキッチリスティームと折半。

「なぁ、アラッド。一緒に晩飯でも食べねぇか」

「……良いです。実家に連絡して来るんで、ちょっと待っててください」

今日は自分の夕食はいらないと伝え、約束通り冒険者ギルドへ戻る。
すると、既に多くのベテラン冒険者たちがエールが入ったグラスを持って待っていた。

「ほれ、アラッド。スティームだったか? ほれ、お前も」

「あざっす」

「あ、ありがとうございます」

「っし! お前ら!!!! 今日は呑んで食って騒ぎまくるぞっ!!!!!」

「「「「「「「「「「おおおおおおおおおっ!!!!!」」」」」」」」」」

幼い頃からアラッドの事を知っており、移動せず拠点にし続けている冒険者たちにとっては、いつか……いつか冒険者になったアラッドと酒を呑みたいと思っていた。

それが今日、今叶った!!! となれば、いきなりテンションマックスになり、即座に二杯目のエールを注文するのは当然だった。

(皆吞兵衛だな~~)

嬉しそうな表情でエールを飲み干す先輩たちを見ながらも、アラッドも同じく最初の一杯目はそのまま飲み干し、薄っすらと笑みを浮かべていた。

「いや~~~、あんなにちっちゃかった坊ちゃんが、今はBランクどころかAランクの化け物をソロで倒すまで成長したんだもんな~~~。時の流れは早いってやつだな」

「ふふ、確かにそうね。子供の頃が普通じゃないのは解ってたけど……改めて冒険者になってからたった一年以内の活動を聞いても、その異次元っぷりが解かるわ」

フールが直接納めている街は冒険者たちにとって、それなりに優良な街であるため、拠点にする冒険者は決して少なくない。

そこそこ冒険者にとって優良な街に大活躍中のルーキーの情報が入ってくるのは、至極当然。
最新情報の雷獣を二人と二体で倒したという話も当然知られている。

「その話は、ドラゴンゾンビに関しての話ですか? それなら、本当に偶々という形に訂正させてください」

「うぉいおい、ドラゴンゾンビだって立派なAランクのモンスターだぜ?」

「それは勿論解ってますよ。でも、あれは本当にギリギリでした……いや、クロの声が無かったら戻ってこれていませんでした。あれですよ、本当に試合に勝って勝負に負けそうになったんですよ」

狂気に飲まれてしまった場合、アラッドは見境なく周囲の生物を襲う殺戮マシーンへと変わる。

そうなると、黒幕だった変態屑魔術師にとっては、願ったり叶ったりの結果と言える。

「雷獣の成体と戦った時は、正直一人で倒せるか怪しいって思ったんで……やっぱりまだまだだなって痛感しました」

「……このやろう~~~。本当に向上心の塊だなおい~」

普通なら、ある意味イラっとしてもおかしくない感想。
結局ドラゴンゾンビはソロで倒せたんだから、それはそれで良いじゃねぇかよ!!!! と、怒りを爆発させてもおかしくない。

だが、ベテラン冒険者たちはアラッドが幼い頃からモンスターと実戦を行うという、とんでもない無茶を続けているのを知っている為、逆にその向上心がアラッドらしいと納得してしまう。

「ははは。そうだな……これまでの冒険の中なら、ユニコーンと遭遇できた事は胸を張って自慢できますね」

「ッ!? そ、そういえばそんな噂もあったな」

「ちゃんとその証拠もありますよ」

アラッドが手に入れたユニコーンの角を亜空間の中から取り出す、ギルド内にいた殆どの冒険者たちが一目見ようと集まる。

「ッ……ま、マジでユニコーンの角じゃねぇか」

鑑定のスキルを持っている冒険者が断言したことで、更なる衝撃が走る。

「まっ、これに関しても超運が良かっただけなんですけどね」

この後、既に自分の話はそれなりに知れ渡っていることを把握したため、あまり情報が流れてきてないであろう、ギーラスと風竜ストールの激闘について話し始めた。

街に大量のワイバーンとアサルフワイバーンが攻めてきたことで、自然と風竜ストールについての情報は流れてきたものの、あまり詳しい情報はない。

そのため、まだ仕事中のギルド職員たちもギーラスの武勇伝に聞き耳を立てていた。

「……ってな感じで、流石ギーラス兄さんって感じだったな」

最初はアラッドの冒険譚を詳しく聞きたかった者たちも、すっかりギーラスの武勇伝で盛り上がっていた。

「そういえばアラッド君、王都の学園の大会? で優勝してたよね」

「はい。なんとか優勝出来ました」

「そんな大々的に目立って実力を発揮しちゃったら、婚約の申し込みが殺到したんじゃないの?」

冒険譚、武勇伝から一変。
アラッドを知るベテラン冒険者たちからすれば、そういう話も気になるが……アラッドとしては有難いことに、彼らは婚約を迫られたとしても、冒険者になってから告白された、などといった方向には思考が働かなかった。

それはひとえに、今は軽い口調で言葉を交わしていても、アラッドが貴族の令息だと認識しているからだった。
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