536 / 992
五百三十五話 そこまでならオーケー
しおりを挟む
「「「「「「っ!!??」」」」」」
「そうか。まぁ、筋骨隆々な肉体を持ってるわけではないし、他種族とのハーフって訳でもねぇ。お前がそう思うのも無理はないだろう」
バカを止めようと動こうとしたベテラン冒険者、ギルド職員に待てのジェスチャーを送り、バカとの会話を続ける。
(悪くない筋肉を持ってるじゃないか。あれは……地道に鍛え上げなければ手に入らない体だ。俺に真正面から突っ掛かってくる時点でバカではあるんだが、それでもギルの様なアホ過ぎるバカって訳ではなさそうだ)
アラッドにとって……ただ絡んで来た相手が、自分の見た目に噂通りの実力を感じないといった理由で絡んでくるのであれば特に文句はなく、負の感情が湧き上がる事はない。
「だからといって、真正面から俺にそういう事を言うのは面白いけどな」
「自信があるって面だな」
「自信がなければ、こんなに堂々とした態度を取らないだろ。それはお前も同じだろ」
バカはその通りの言葉を返され、イラっとするのではなく……アラッドと同じくニヤッと笑った。
「おい、こいつ以外にも俺の実力……噂に疑問を持ってる奴はいないのか? 確かめたい、嘘だと思ってるなら出てこい。それであれこれ罰しようとか考えてないから、素直に出てこい」
数秒後、一人の女性冒険者が一歩前に出た。
それを皮切りにまた一人……また一人と自身の力に自信があるルーキーたちが前に出る。
最初のバカも含め……合計、十人。
「はっはっは!!!! やぱり冒険者はこうじゃなくちゃな、スティーム!!!!」
「うん、まぁ……そうだね」
闘技場での試合が盛んなレドルスでも同じような光景があったな~と思い……やや遠い目になるスティーム。
「っし、それじゃ……この場で掛かって来い」
「「「「「「「「「「……はっ?」」」」」」」」」」
「周りの椅子や机、床を潰さない程度に掛かって来いって言ってるんだ。来ないなら……こっちからいくぞ」
次の瞬間、最初のバカの腕を掴み、訓練場への入口へと軽く投げる。
「……はっ!!??」
バカが自分の身に何が起こったのか理解出来ない間に、次々と訓練場の入口へルーキーたちがぶん投げられ、結果として
十人のルーキーは無理矢理訓練場へと押しやられた。
「一応聞いておくけど、今の内の降参するやつはいるか?」
「はっ!!! 降参なんざする訳ねぇだろ!!!!!」
最初のバカと同じく、初っ端からその差を感じこそしたが、まだ十人の闘争心は全く折れていなかった。
「そうか。元気一杯ってことだな。それじゃ、纏めてかかって来い。勿論、武器を抜いて構わないぞ」
アラッドは素手の状態で一歩一歩近づいていく。
ルーキーたちの中には一対一の勝負を望む者がいるが、十人中六人が先程のやり取りで全員で戦うのが得策だと判断し、彼らは即席の連携とは思えないコンビネーションで仕掛ける。
(十人パーティーってのはあり得ない、よな? なのにこれだけしっかり連携が出来てるってことは、普段から一緒に訓練を行っている……もしくは、一緒に狩りを行う機会が多いってところか)
「ぅおおおらあああああッ!!!!!」
「ハッ!!!!!」
「せいやッ!!!!!!!」
「フレイムランス!!!!」
「ウィンドアロー!!!!」
複数の攻撃魔法が飛び交い、抜身の刃や鉄製の鈍器が遠慮なしに振るわれる中、アラッドは武器を抜くことなく全てを対処していた。
攻撃魔法には攻撃魔法をぶつけて相殺し、武器を振るう相手は攻撃を躱してからカウンター。
そして珍しく対人戦で流血させてしまわない程度に糸を使っていた。
故に、遠目から見ている者たちからは、不自然にルーキーたちが転ぶ、体勢を崩している様に思える場面があった。
「どうした!!?? もっと戦れるだろ!!!!」
「ったりめぇだッ!!!!!」
一対十という変則的過ぎる試合が始まってから数分、最初のバカも含めてルーキーたちはアラッドの噂が事実であると……少なくとも、自分たちが束になっても武器すら抜かせられないほど強いことが解かった。
この時点でアラッドに対する様々な疑問、感情は解消されたものの……だからといって、自ら挑んだ試合を投げ捨てられる程、彼らの心は脆くなかった。
(ん~~~……多分、皆僕よりも歳下だよね。それを考えると、皆アラッドの実力に疑問を抱いて絡みに行ってしまうぐらいには優秀だね。一人か二人は、実力だけならCランクに届いてもおかしくないレベルだ……コンビネーションも優れているから、Cランクのモンスター数体ぐらいなら倒せるかな?)
離れた場所から観戦しているスティームは冷静にルーキーたちの実力を観察していた。
ハッキリ言ってしまうと……勝負になっていないという戦況ではあるものの、それ相応の実力があるのだと把握。
(とはいえ……武器を使わずに倒したとなると、彼らの心は折れないかな?)
アラッドの噂では、全ての武器を抜いて強敵と戦っている。
一緒に行動しているスティームは魔法も体術も糸も敵対者にとって脅威となるな武器だと把握しているが、アラッドを全く知らない者からすれば、今回の結末に心が折れても仕方なかった。
「そうか。まぁ、筋骨隆々な肉体を持ってるわけではないし、他種族とのハーフって訳でもねぇ。お前がそう思うのも無理はないだろう」
バカを止めようと動こうとしたベテラン冒険者、ギルド職員に待てのジェスチャーを送り、バカとの会話を続ける。
(悪くない筋肉を持ってるじゃないか。あれは……地道に鍛え上げなければ手に入らない体だ。俺に真正面から突っ掛かってくる時点でバカではあるんだが、それでもギルの様なアホ過ぎるバカって訳ではなさそうだ)
アラッドにとって……ただ絡んで来た相手が、自分の見た目に噂通りの実力を感じないといった理由で絡んでくるのであれば特に文句はなく、負の感情が湧き上がる事はない。
「だからといって、真正面から俺にそういう事を言うのは面白いけどな」
「自信があるって面だな」
「自信がなければ、こんなに堂々とした態度を取らないだろ。それはお前も同じだろ」
バカはその通りの言葉を返され、イラっとするのではなく……アラッドと同じくニヤッと笑った。
「おい、こいつ以外にも俺の実力……噂に疑問を持ってる奴はいないのか? 確かめたい、嘘だと思ってるなら出てこい。それであれこれ罰しようとか考えてないから、素直に出てこい」
数秒後、一人の女性冒険者が一歩前に出た。
それを皮切りにまた一人……また一人と自身の力に自信があるルーキーたちが前に出る。
最初のバカも含め……合計、十人。
「はっはっは!!!! やぱり冒険者はこうじゃなくちゃな、スティーム!!!!」
「うん、まぁ……そうだね」
闘技場での試合が盛んなレドルスでも同じような光景があったな~と思い……やや遠い目になるスティーム。
「っし、それじゃ……この場で掛かって来い」
「「「「「「「「「「……はっ?」」」」」」」」」」
「周りの椅子や机、床を潰さない程度に掛かって来いって言ってるんだ。来ないなら……こっちからいくぞ」
次の瞬間、最初のバカの腕を掴み、訓練場への入口へと軽く投げる。
「……はっ!!??」
バカが自分の身に何が起こったのか理解出来ない間に、次々と訓練場の入口へルーキーたちがぶん投げられ、結果として
十人のルーキーは無理矢理訓練場へと押しやられた。
「一応聞いておくけど、今の内の降参するやつはいるか?」
「はっ!!! 降参なんざする訳ねぇだろ!!!!!」
最初のバカと同じく、初っ端からその差を感じこそしたが、まだ十人の闘争心は全く折れていなかった。
「そうか。元気一杯ってことだな。それじゃ、纏めてかかって来い。勿論、武器を抜いて構わないぞ」
アラッドは素手の状態で一歩一歩近づいていく。
ルーキーたちの中には一対一の勝負を望む者がいるが、十人中六人が先程のやり取りで全員で戦うのが得策だと判断し、彼らは即席の連携とは思えないコンビネーションで仕掛ける。
(十人パーティーってのはあり得ない、よな? なのにこれだけしっかり連携が出来てるってことは、普段から一緒に訓練を行っている……もしくは、一緒に狩りを行う機会が多いってところか)
「ぅおおおらあああああッ!!!!!」
「ハッ!!!!!」
「せいやッ!!!!!!!」
「フレイムランス!!!!」
「ウィンドアロー!!!!」
複数の攻撃魔法が飛び交い、抜身の刃や鉄製の鈍器が遠慮なしに振るわれる中、アラッドは武器を抜くことなく全てを対処していた。
攻撃魔法には攻撃魔法をぶつけて相殺し、武器を振るう相手は攻撃を躱してからカウンター。
そして珍しく対人戦で流血させてしまわない程度に糸を使っていた。
故に、遠目から見ている者たちからは、不自然にルーキーたちが転ぶ、体勢を崩している様に思える場面があった。
「どうした!!?? もっと戦れるだろ!!!!」
「ったりめぇだッ!!!!!」
一対十という変則的過ぎる試合が始まってから数分、最初のバカも含めてルーキーたちはアラッドの噂が事実であると……少なくとも、自分たちが束になっても武器すら抜かせられないほど強いことが解かった。
この時点でアラッドに対する様々な疑問、感情は解消されたものの……だからといって、自ら挑んだ試合を投げ捨てられる程、彼らの心は脆くなかった。
(ん~~~……多分、皆僕よりも歳下だよね。それを考えると、皆アラッドの実力に疑問を抱いて絡みに行ってしまうぐらいには優秀だね。一人か二人は、実力だけならCランクに届いてもおかしくないレベルだ……コンビネーションも優れているから、Cランクのモンスター数体ぐらいなら倒せるかな?)
離れた場所から観戦しているスティームは冷静にルーキーたちの実力を観察していた。
ハッキリ言ってしまうと……勝負になっていないという戦況ではあるものの、それ相応の実力があるのだと把握。
(とはいえ……武器を使わずに倒したとなると、彼らの心は折れないかな?)
アラッドの噂では、全ての武器を抜いて強敵と戦っている。
一緒に行動しているスティームは魔法も体術も糸も敵対者にとって脅威となるな武器だと把握しているが、アラッドを全く知らない者からすれば、今回の結末に心が折れても仕方なかった。
151
お気に入りに追加
6,090
あなたにおすすめの小説
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる