513 / 1,390
五百十二話 割とやってしまった
しおりを挟む
「俺の戦闘スタイルは斬撃刃を使えば、攻撃魔法も使う。そんな戦闘の中で精々気を使えるのは仲間のスティームと従魔のクロ、ファルだけだ」
アラッドとしては目の前のクソイケメン優男だけが自分たちと一緒に戦うのであれば……条件付きではあるが、問題無いと思っている。
それ程目の前のクソイケメン優男はその他の冒険者とは違い、間違いなく強者としての実力を兼ね備えていると、視ずとも本能が告げている。
「…………」
「無理だろ。雷獣は確かに体のサイズが大きいタイプのモンスターだが、バカデカいって訳じゃないんだ。俺が今言った不運は十分起こりうる」
「……そ、それは」
「他の連中に対して気を使って戦えば良いなんてバカな事は言うなよ、そんな発言をすれば俺の怒りを買うだけじゃなく、あんたの格を落すことになる」
「ッ!?」
気に入ってる存在、もしくは偶々悲鳴が聞こえた場所に向かい、襲われている存在を助ける……そういったシチュエーションであれば、自分よりも弱い者たちに気を使って戦うのは当然。
しかし、そうではなく……自ら強敵に挑む際、何故わざわざ自分よりも弱い者たちに気を使わなければならない?
今回の討伐戦が急激に増えた大量のモンスターの討伐などであれば、アラッドも特に文句は言わない。
戦闘が始まって直ぐに離れた場所で戦えば、同業者を傷付けてしまうことなど、まずない。
だが、一体のモンスターを狙った戦闘となれば話は別。
「というか、今しがた言ったが結果として俺たちは二人と二体……計、四つの戦力で戦うんだ」
「あの~~~、先に説明しておきますと、僕の従魔は空を飛べてアラッドの従魔は地を縦横無尽に駆け回れます。あっ、攻撃力は言わずもがなって感じです」
ここでアラッドばかりに言わせるのは忍びないと思い、スティームも「正直なところ、あなた方と組む気はありません」と伝え始める。
「スティームの言う通りなんですよ。俺とスティームレベルの強さを持った戦力がもう二つあるなら、別に俺たちだけで動いても構いませんよね」
「っ…………あぁ。そう、だね。すまなかった」
これが最終警告だ。
言葉に出さずとも、そう言っているのが雰囲気から解り、これ以上話し合っても意味はないと判断。
「いえ、こちらこそ少々言い過ぎました。それでは」
「…………」
最後の最後に横柄、横暴、生意気な態度ではなく、軽く謝意の言葉を述べられて面を食らったクソイケメン優男。
二人が去った後、ギルドには何とも言えない空気が残った。
「アラッド、その……良かったの?」
「……割とやってしまったとは思ってる。せめて一目が多い場所じゃなかったら……あのクソイケメン優男も、もう少し場所を考えて……いや、そもそも俺から言って場所を変えるべきだったか? でも、あっちの方が先輩な訳だし……」
顔を見れば、がっつり後悔してるのが見て解かる。
(あちゃ~~~、やっぱりそこそこ後悔してるみたいだね。確かにあの先輩は間違った事言ってた訳じゃないけど、あの内容は……アッラッドからすれば自分の事を嘗めてるって思われても仕方ないよね~)
何だかんだで、強さに対してはそれなりにプライドを持っているアラッド。
その強さはある程度のプライドを持っていてもおかしくない戦闘力であり、アラッド本人がクソイケメン優男に伝えた問題点も決してあり得ない話ではない。
(正直、狂化を使ったアラッドと戦った時の感覚はあまり覚えていないけど……あまり覚えてないぐらい戦う、勝つことだけに集中出来ていなかったら、その圧に飲み込まれてただろうからな~……そう考えると、ずらずらと並んで戦うのはアラッドの性に合わないんだろうね)
アラッドは堂々と自身の考えをぶつけただけであり、何も悪いことはしていない。
冒険者という職業を考えれば、殴り合いなどに発展しなかっただけ十分大人な対応と言える。
「……なぁ、俺凄く嫌な奴に映ったよな」
「どうだろうね~~~……って、アラッドもそういう事気にするんだね」
「別にくだらない連中や、あぁいう勘違い面倒やろうや、こっちの逆鱗の隣をなぞってくるルーキーとかには興味ない。でもな、それ以外の同業者とは普通に仲良くなれたらなとは思ってるんだよ」
この先の人生、アラッドには多くの道が存在するも、本人は冒険者以外の道を選ぶ気はない。
これから先、何十年と冒険者としての人生を送る。
戦闘職である冒険者にとっては強さこそ正義という面はあるものの、本当に強さだけで繋がれる数は多くない。
「そっか……でも、僕はアラッドが間違ってるとは思わないよ」
「そう言ってくれると、心が軽くなるよ」
「慰めなんかじゃないよ。正直、僕たちに声を掛けてきた人は強いと思う。多分……僕よりは強い」
赤雷抜きで考えれば、確かにクソイケメン優男はスティームより上の戦闘力を持っている。
「でも、その他の面子があの人よりも上だとは思えなくてね。そうなってくると、やっぱりアラッドが考えてる事故が起きてもおかしくないよ」
相方のお陰で幾分楽になったアラッドだが……その日の夜は少々酒を呑み過ぎてしまい、翌日思いっきり二日酔い状態になった。
アラッドとしては目の前のクソイケメン優男だけが自分たちと一緒に戦うのであれば……条件付きではあるが、問題無いと思っている。
それ程目の前のクソイケメン優男はその他の冒険者とは違い、間違いなく強者としての実力を兼ね備えていると、視ずとも本能が告げている。
「…………」
「無理だろ。雷獣は確かに体のサイズが大きいタイプのモンスターだが、バカデカいって訳じゃないんだ。俺が今言った不運は十分起こりうる」
「……そ、それは」
「他の連中に対して気を使って戦えば良いなんてバカな事は言うなよ、そんな発言をすれば俺の怒りを買うだけじゃなく、あんたの格を落すことになる」
「ッ!?」
気に入ってる存在、もしくは偶々悲鳴が聞こえた場所に向かい、襲われている存在を助ける……そういったシチュエーションであれば、自分よりも弱い者たちに気を使って戦うのは当然。
しかし、そうではなく……自ら強敵に挑む際、何故わざわざ自分よりも弱い者たちに気を使わなければならない?
今回の討伐戦が急激に増えた大量のモンスターの討伐などであれば、アラッドも特に文句は言わない。
戦闘が始まって直ぐに離れた場所で戦えば、同業者を傷付けてしまうことなど、まずない。
だが、一体のモンスターを狙った戦闘となれば話は別。
「というか、今しがた言ったが結果として俺たちは二人と二体……計、四つの戦力で戦うんだ」
「あの~~~、先に説明しておきますと、僕の従魔は空を飛べてアラッドの従魔は地を縦横無尽に駆け回れます。あっ、攻撃力は言わずもがなって感じです」
ここでアラッドばかりに言わせるのは忍びないと思い、スティームも「正直なところ、あなた方と組む気はありません」と伝え始める。
「スティームの言う通りなんですよ。俺とスティームレベルの強さを持った戦力がもう二つあるなら、別に俺たちだけで動いても構いませんよね」
「っ…………あぁ。そう、だね。すまなかった」
これが最終警告だ。
言葉に出さずとも、そう言っているのが雰囲気から解り、これ以上話し合っても意味はないと判断。
「いえ、こちらこそ少々言い過ぎました。それでは」
「…………」
最後の最後に横柄、横暴、生意気な態度ではなく、軽く謝意の言葉を述べられて面を食らったクソイケメン優男。
二人が去った後、ギルドには何とも言えない空気が残った。
「アラッド、その……良かったの?」
「……割とやってしまったとは思ってる。せめて一目が多い場所じゃなかったら……あのクソイケメン優男も、もう少し場所を考えて……いや、そもそも俺から言って場所を変えるべきだったか? でも、あっちの方が先輩な訳だし……」
顔を見れば、がっつり後悔してるのが見て解かる。
(あちゃ~~~、やっぱりそこそこ後悔してるみたいだね。確かにあの先輩は間違った事言ってた訳じゃないけど、あの内容は……アッラッドからすれば自分の事を嘗めてるって思われても仕方ないよね~)
何だかんだで、強さに対してはそれなりにプライドを持っているアラッド。
その強さはある程度のプライドを持っていてもおかしくない戦闘力であり、アラッド本人がクソイケメン優男に伝えた問題点も決してあり得ない話ではない。
(正直、狂化を使ったアラッドと戦った時の感覚はあまり覚えていないけど……あまり覚えてないぐらい戦う、勝つことだけに集中出来ていなかったら、その圧に飲み込まれてただろうからな~……そう考えると、ずらずらと並んで戦うのはアラッドの性に合わないんだろうね)
アラッドは堂々と自身の考えをぶつけただけであり、何も悪いことはしていない。
冒険者という職業を考えれば、殴り合いなどに発展しなかっただけ十分大人な対応と言える。
「……なぁ、俺凄く嫌な奴に映ったよな」
「どうだろうね~~~……って、アラッドもそういう事気にするんだね」
「別にくだらない連中や、あぁいう勘違い面倒やろうや、こっちの逆鱗の隣をなぞってくるルーキーとかには興味ない。でもな、それ以外の同業者とは普通に仲良くなれたらなとは思ってるんだよ」
この先の人生、アラッドには多くの道が存在するも、本人は冒険者以外の道を選ぶ気はない。
これから先、何十年と冒険者としての人生を送る。
戦闘職である冒険者にとっては強さこそ正義という面はあるものの、本当に強さだけで繋がれる数は多くない。
「そっか……でも、僕はアラッドが間違ってるとは思わないよ」
「そう言ってくれると、心が軽くなるよ」
「慰めなんかじゃないよ。正直、僕たちに声を掛けてきた人は強いと思う。多分……僕よりは強い」
赤雷抜きで考えれば、確かにクソイケメン優男はスティームより上の戦闘力を持っている。
「でも、その他の面子があの人よりも上だとは思えなくてね。そうなってくると、やっぱりアラッドが考えてる事故が起きてもおかしくないよ」
相方のお陰で幾分楽になったアラッドだが……その日の夜は少々酒を呑み過ぎてしまい、翌日思いっきり二日酔い状態になった。
241
あなたにおすすめの小説
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。
昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。
入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。
その甲斐あってか学年首位となったある日。
「君のことが好きだから」…まさかの告白!
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。
行き遅れ令嬢の婚約者は王子様!?案の定、妹が寄越せと言ってきました。はあ?(゚Д゚)
リオール
恋愛
父の代わりに公爵家の影となって支え続けてるアデラは、恋愛をしてる暇もなかった。その結果、18歳になっても未だ結婚の「け」の字もなく。婚約者さえも居ない日々を送っていた。
そんなある日。参加した夜会にて彼と出会ったのだ。
運命の出会い。初恋。
そんな彼が、実は王子様だと分かって──!?
え、私と婚約!?行き遅れ同士仲良くしようって……えええ、本気ですか!?
──と驚いたけど、なんやかんやで溺愛されてます。
そうして幸せな日々を送ってたら、やって来ましたよ妹が。父親に甘やかされ、好き放題我が儘し放題で生きてきた妹は私に言うのだった。
婚約者を譲れ?可愛い自分の方がお似合いだ?
・・・はああああ!?(゚Д゚)
===========
全37話、執筆済み。
五万字越えてしまったのですが、1話1話は短いので短編としておきます。
最初はギャグ多め。だんだんシリアスです。
18歳で行き遅れ?と思われるかも知れませんが、そういう世界観なので。深く考えないでください(^_^;)
感想欄はオープンにしてますが、多忙につきお返事できません。ご容赦ください<(_ _)>
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる