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四百八十七話 咎めはしない
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「…………」
医務室に送られ、治癒魔法を受けて折れた骨、損傷した内臓などの治癒が終わり、安静の為にベッドで横になっているレイピア使い。
(俺は負けた……それは間違いない。認めるしかない事実。しかし……あの男は、本当に本気だったのか?)
自信の武器をぶん投げ、徒手格闘という別の武器に切り替えてまで勝ちに来た。
そこだけを考えれば、得意武器を投げて虚を突き、全力で倒しに来たと思える……だが、壁まで蹴り飛ばされた自身の負けが決まった時、薄っすらと見えたスティームの表情が消えない。
(ホッとしていた? それともあれは……作戦通りにいった喜び、なのか?)
我武者羅で行ったのか、それとも作戦の一環としてあの行動を取ったのか。
それで先程の戦闘に関しての考え、思いが変わってくる。
「…………クソッ!!!!!」
一応病室なので、声を荒げるのはよろしくない。
それでも、意志である男性はレイピア使いの男に対し、特に注意はしなかった。
彼は元闘技者、冒険者でもない。
しかし……なんどもレイピア使いの様に悔しさで涙を零す者たちを見てきた。
そんな戦闘者たちに対し、静かにしろと……そんな無神経な言葉を言えるわけがなかった。
「お疲れ、スティーム」
「いやぁ~~~、強かったよ。正直、色々と危なかった」
レイピア使いはスティームに全力を引き出すことに引き出せずに負けたことを悔しがっているが、対戦相手であるスティームはしっかりと戦闘中、恐ろしさを感じていた。
「レイピアを使う人とは何度も戦ってきたけど、中々に食らいたくない突きだったよ」
「そうだな……そう簡単に身に付けられる鋭さじゃなかったな。でも、大方予定通りに倒せたんだろ」
目敏いアラッドはスティームの表情を見逃していなかった。
「そんなに予定通り、作戦通りって言えるものではないよ。ただ、一応用意してた勝ち方で無事に勝つことが出来たってだけだよ」
「それを予定通りって言うんだろ。わざと双剣をぶん投げて、徒手格闘で追い込む……相手の動きと間合いを読んでの投擲は見事だった」
「ふふ……君にそこまで褒められると、やっぱり嬉しいね」
二人は観客席へと移動して第一試合、最後の試合を観戦。
「んで、この試合で勝った方がスティームの対戦相手になる訳だけだが……どっちに勝ち進んで欲しい?」
「決勝戦でアラッドと戦うことを考えれば……冒険者の方かな」
「なるほど。つまり騎士の青年の方が勝ち上がってくるというわけだな」
「……正直、その可能性が高いと思う」
予定の時間になり、第一試合……最後の戦いが始まる。
試合は一方的な内容になることはなく、バチバチにぶつかり合う……非常に観客達好みの内容。
「スティームの予想通りだな。やっぱり貴族出身だからか、こういう戦いには慣れてるな」
「お互いにアタッカーの中でも多分バランスタイプだと思う。身体能力にそこまで大きな差はないだろうから……そうなってくると、どうしても戦い方や対人戦に対する考え方、テクニックが勝敗を分ける要素になる」
試合が始まってから数分後、試合は徐々に青年騎士の方に傾き始めていた。
青年騎士の得物は槍。対する冒険者の得物はロングソード。
武器の間合いを考えると、槍の方が有利ではある。
しかし、ロングソード使いの冒険者は技術が足りずとも、相手の間合いに入り込む勇気……ガッツは負けていない。
一瞬の隙間に飛び込み、斬撃を数度叩きこむ。
どれも致命傷、重傷を与えることは出来なかったが、それでも決して小さくないダメージを与えた。
だが……最後の最後にまさに搦め手、槍でロングソードを巻き上げられ、ロングソードを宙に飛んだ隙に矛が冒険者の喉元に突き立てられた。
「ぐっ…………参った」
「そこまで!!! 勝者、サルヴァ!!!!!」
観客たちは再び総立ちになり、勝者と健闘した敗者にも惜しみない拍手と歓声を送る。
「槍使いの騎士が勝っちまったな……というか、属性が同じっぽいな」
「そうみたいだね……ふっふっふ。それはそれで燃える者があるね」
(……相変わらず良い笑みを浮かべるな)
兄たちの頼みでラダスに向かい、初めて模擬戦を行った時……最後の最後までほんの少しだけ見えた笑み。
(普段は優顔を浮かべてるが、俺はそっちの方が似合ってると思うぞ)
アラッドとしては槍使いの騎士との試合も面白そうだが、やはり今度こそ思いっきり……バチバチにスティームと戦ってみたい。
だが、ここで何かしらのアドバイスを行うのは違うと判断。
自力で上がってきたスティームと戦うからこそ、闘争欲が本当の意味で満たされる。
(というか……もしかして、あの槍使いの騎士があの二人の知人と言うか、仕える令息、なのか?)
仮にそうであるなら、第二試合で自分と戦う騎士はいったい誰なのか、本当にただの参加者として選ばれた騎士なのかと気になるところ。
(完全に一回り上って訳ではない気がするけど、あのロングソード使いの騎士と槍使いの騎士が戦ったら……十回中、七回はロングソード使いの騎士が勝ちそうな気がするんだが…………考えたところで、俺には意味がないか)
意識を切り替え、スティームと共に昼食を食べに向かい、万全な状態で二回戦を迎える。
医務室に送られ、治癒魔法を受けて折れた骨、損傷した内臓などの治癒が終わり、安静の為にベッドで横になっているレイピア使い。
(俺は負けた……それは間違いない。認めるしかない事実。しかし……あの男は、本当に本気だったのか?)
自信の武器をぶん投げ、徒手格闘という別の武器に切り替えてまで勝ちに来た。
そこだけを考えれば、得意武器を投げて虚を突き、全力で倒しに来たと思える……だが、壁まで蹴り飛ばされた自身の負けが決まった時、薄っすらと見えたスティームの表情が消えない。
(ホッとしていた? それともあれは……作戦通りにいった喜び、なのか?)
我武者羅で行ったのか、それとも作戦の一環としてあの行動を取ったのか。
それで先程の戦闘に関しての考え、思いが変わってくる。
「…………クソッ!!!!!」
一応病室なので、声を荒げるのはよろしくない。
それでも、意志である男性はレイピア使いの男に対し、特に注意はしなかった。
彼は元闘技者、冒険者でもない。
しかし……なんどもレイピア使いの様に悔しさで涙を零す者たちを見てきた。
そんな戦闘者たちに対し、静かにしろと……そんな無神経な言葉を言えるわけがなかった。
「お疲れ、スティーム」
「いやぁ~~~、強かったよ。正直、色々と危なかった」
レイピア使いはスティームに全力を引き出すことに引き出せずに負けたことを悔しがっているが、対戦相手であるスティームはしっかりと戦闘中、恐ろしさを感じていた。
「レイピアを使う人とは何度も戦ってきたけど、中々に食らいたくない突きだったよ」
「そうだな……そう簡単に身に付けられる鋭さじゃなかったな。でも、大方予定通りに倒せたんだろ」
目敏いアラッドはスティームの表情を見逃していなかった。
「そんなに予定通り、作戦通りって言えるものではないよ。ただ、一応用意してた勝ち方で無事に勝つことが出来たってだけだよ」
「それを予定通りって言うんだろ。わざと双剣をぶん投げて、徒手格闘で追い込む……相手の動きと間合いを読んでの投擲は見事だった」
「ふふ……君にそこまで褒められると、やっぱり嬉しいね」
二人は観客席へと移動して第一試合、最後の試合を観戦。
「んで、この試合で勝った方がスティームの対戦相手になる訳だけだが……どっちに勝ち進んで欲しい?」
「決勝戦でアラッドと戦うことを考えれば……冒険者の方かな」
「なるほど。つまり騎士の青年の方が勝ち上がってくるというわけだな」
「……正直、その可能性が高いと思う」
予定の時間になり、第一試合……最後の戦いが始まる。
試合は一方的な内容になることはなく、バチバチにぶつかり合う……非常に観客達好みの内容。
「スティームの予想通りだな。やっぱり貴族出身だからか、こういう戦いには慣れてるな」
「お互いにアタッカーの中でも多分バランスタイプだと思う。身体能力にそこまで大きな差はないだろうから……そうなってくると、どうしても戦い方や対人戦に対する考え方、テクニックが勝敗を分ける要素になる」
試合が始まってから数分後、試合は徐々に青年騎士の方に傾き始めていた。
青年騎士の得物は槍。対する冒険者の得物はロングソード。
武器の間合いを考えると、槍の方が有利ではある。
しかし、ロングソード使いの冒険者は技術が足りずとも、相手の間合いに入り込む勇気……ガッツは負けていない。
一瞬の隙間に飛び込み、斬撃を数度叩きこむ。
どれも致命傷、重傷を与えることは出来なかったが、それでも決して小さくないダメージを与えた。
だが……最後の最後にまさに搦め手、槍でロングソードを巻き上げられ、ロングソードを宙に飛んだ隙に矛が冒険者の喉元に突き立てられた。
「ぐっ…………参った」
「そこまで!!! 勝者、サルヴァ!!!!!」
観客たちは再び総立ちになり、勝者と健闘した敗者にも惜しみない拍手と歓声を送る。
「槍使いの騎士が勝っちまったな……というか、属性が同じっぽいな」
「そうみたいだね……ふっふっふ。それはそれで燃える者があるね」
(……相変わらず良い笑みを浮かべるな)
兄たちの頼みでラダスに向かい、初めて模擬戦を行った時……最後の最後までほんの少しだけ見えた笑み。
(普段は優顔を浮かべてるが、俺はそっちの方が似合ってると思うぞ)
アラッドとしては槍使いの騎士との試合も面白そうだが、やはり今度こそ思いっきり……バチバチにスティームと戦ってみたい。
だが、ここで何かしらのアドバイスを行うのは違うと判断。
自力で上がってきたスティームと戦うからこそ、闘争欲が本当の意味で満たされる。
(というか……もしかして、あの槍使いの騎士があの二人の知人と言うか、仕える令息、なのか?)
仮にそうであるなら、第二試合で自分と戦う騎士はいったい誰なのか、本当にただの参加者として選ばれた騎士なのかと気になるところ。
(完全に一回り上って訳ではない気がするけど、あのロングソード使いの騎士と槍使いの騎士が戦ったら……十回中、七回はロングソード使いの騎士が勝ちそうな気がするんだが…………考えたところで、俺には意味がないか)
意識を切り替え、スティームと共に昼食を食べに向かい、万全な状態で二回戦を迎える。
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