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四百八十五話 真っすぐな賞賛
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『これはこれはこれは!! 予想以上に激しい打撃戦だぁああああああああッ!!!! 正直なところ、アラッド選手のワンサイドゲームで終わると思っていたが、想像以上の激闘が繰り広げられています!!!!!』
女性冒険者……ソニアのメイン武器は徒手格闘。
徒手格闘の腕に関してはレイを越えており、力任せではない技術に……アラッドは再度、無意識に笑みを浮かべる。
「くっ! 随分と、余裕だね!!!!」
「笑ってたか? すまん、無意識だ。ただ、あんたとの試合が楽しくてな」
「ッ!!!! ……はっ!!!!!」
あんたとの試合が楽しい。
そう告げられて……様々な感情が混ざり合い、雑念を振り払うために一喝。
(本当に、ムカつく男だねっ!!!!!)
性別が女だからと言って、男に負けたくない。
そんな思いが強いため、いつも男の冒険者を相手にガン飛ばすことが多かった。
喧嘩に発展することもあったが、苦戦はすれど……大概の喧嘩では勝利を収めてきた。
女だからと言って見下してくる野郎たちは気に入らない。
そういう視線ばかり向けてくるんじゃねぇよ玉無し共と、何度も心の中で叫んだことがある。
そんな人生を送ってきたソニアにとって……久しぶりに戦闘者として真っすぐ見られた。
(……それでも、ぶっ飛ばして上に上がるのは私だ!!!!!)
悪くない気分ではある。
しかし、それと勝敗は別問題。
身体強化を全力で使用し、四肢に岩を纏って攻撃力と防御力を同時に上げる。
身体強化以外のスキルも併用している為、岩を纏ったことによるスピードダウンの弊害は殆どない。
(岩のグローブに脚甲か。それじゃ、こっちももっと魔力を厚く纏わないとな!!)
ここからがクライマックスだと判断し、アラッドもギアを上げる。
当然のことながら狂化は使用しない。
それでも今まで自身が培ってきた格闘技術と身体能力を駆使し、目の前の戦士を叩きのめすことに集中する。
「ぬぁああああッ!!!!」
「ふんっ!!!!!」
両者の強烈な右ストレートが激突。
「「ッ!?」」
二人は予想外の威力に差はあれど驚き、同時に後方へと下がる。
(ロックナックルにヒビが!?)
(この威力……魔力を厚くしてなければ、完全に骨にヒビが入っていたな)
この時、両者は更に同じ行動を取った。
「「すぅぅぅぅぅ……ッ!!!!!」」
大きく深呼吸をし……完全に息を止めた。
『と、とんでもない速さと衝撃!!!! そして二人共、全く止まらない!!! それどころか、加速してるようにすら見えるぞおおおおおおお!!!!!』
呼吸という行動を消すことで、二人の動きは更に加速。
徐々に思考すらそぎ落とし、反射だけで動き始める。
奇しくも同じ行動を、選択肢を取った二人は……心の中で、最高の格闘戦を続けられるという思いが湧き出ていた。
だが、そういう至高の時間ほど、長くは続かないものである。
「ッ!! ぁ、はっ!!??」
「ッ!!!!」
無呼吸での連続行動で先に限界が来たのはソニアだった。
(嘘だろ、待て……私は、まだ、こいつと……)
対戦相手であるアラッドも同じ気持ちだった。
しかし……ここで動きを止めるのは、相手の闘志に無礼というもの。
思考を捨てた反射が下手に伸びてしまったソニアの右腕を取り……そのまま場外へ投げ飛ばした。
「がっ、はッ……」
「そこまで!!!! 勝者、アラッド!!!!!!!」
幕切れの攻防こそやや失速したものの、素晴らしい激闘であったことに変わりはない。
観客たちは二人に盛大な拍手を送った。
「楽しかった。また機会があれば戦ろうな」
「……次は、負けないよ」
アラッドの手を借りて起き上がり、恨み言を呟くのではなく、良い笑顔で次は勝つと宣言してその場から去る。
(スティーム以外の試合はそこまで楽しめないかもしれないなんて思ってたが、全くそんな事はなかったな)
非常に満足気な笑みを浮かべて通路へと戻るアラッド。
「お疲れ様。随分嬉しそうな顔だね」
「まぁな。正直、お前との試合以外はそこまで楽しめないと思ってたんだが、案外そうでもなかったからな」
「ふ~~~ん……アラッドがそこまで言う実力者が参加してるってなると、あんまり余裕ぶってたら痛い目を見そうだね」
若干……ほんの少しだけだが、スティームは先程アラッドと戦ったソニアに嫉妬した。
(別にアラッドとはライバル関係とかじゃないけど、パーティーメンバーとして……やっぱり、他の同世代たちには負けられないよね)
十分後、ようやくスティームの出番がやって来た。
対戦相手の冒険者は男性にしては珍しくレイピアを使う技巧派。
(もしかして僕やアラッドと同じ冒険者かな?)
試合前は参加者である選手が二言三言話す者だが……スティームの対戦相手である青年は、予選での戦いっぷりを観ていたため、試合前に対戦相手と軽く言葉を交わす余裕はなかった。
(あのアラッドと……俺らの世代を含めても最強の王者と一緒に行動してる奴だ。何の縁があって一緒に行動してるのかは知らないけど、絶対に油断したら負ける)
準決勝、決勝戦のことなど気にしてられない。
レイピア使いの男は、この試合に全てを出し切るつもりで挑む。
女性冒険者……ソニアのメイン武器は徒手格闘。
徒手格闘の腕に関してはレイを越えており、力任せではない技術に……アラッドは再度、無意識に笑みを浮かべる。
「くっ! 随分と、余裕だね!!!!」
「笑ってたか? すまん、無意識だ。ただ、あんたとの試合が楽しくてな」
「ッ!!!! ……はっ!!!!!」
あんたとの試合が楽しい。
そう告げられて……様々な感情が混ざり合い、雑念を振り払うために一喝。
(本当に、ムカつく男だねっ!!!!!)
性別が女だからと言って、男に負けたくない。
そんな思いが強いため、いつも男の冒険者を相手にガン飛ばすことが多かった。
喧嘩に発展することもあったが、苦戦はすれど……大概の喧嘩では勝利を収めてきた。
女だからと言って見下してくる野郎たちは気に入らない。
そういう視線ばかり向けてくるんじゃねぇよ玉無し共と、何度も心の中で叫んだことがある。
そんな人生を送ってきたソニアにとって……久しぶりに戦闘者として真っすぐ見られた。
(……それでも、ぶっ飛ばして上に上がるのは私だ!!!!!)
悪くない気分ではある。
しかし、それと勝敗は別問題。
身体強化を全力で使用し、四肢に岩を纏って攻撃力と防御力を同時に上げる。
身体強化以外のスキルも併用している為、岩を纏ったことによるスピードダウンの弊害は殆どない。
(岩のグローブに脚甲か。それじゃ、こっちももっと魔力を厚く纏わないとな!!)
ここからがクライマックスだと判断し、アラッドもギアを上げる。
当然のことながら狂化は使用しない。
それでも今まで自身が培ってきた格闘技術と身体能力を駆使し、目の前の戦士を叩きのめすことに集中する。
「ぬぁああああッ!!!!」
「ふんっ!!!!!」
両者の強烈な右ストレートが激突。
「「ッ!?」」
二人は予想外の威力に差はあれど驚き、同時に後方へと下がる。
(ロックナックルにヒビが!?)
(この威力……魔力を厚くしてなければ、完全に骨にヒビが入っていたな)
この時、両者は更に同じ行動を取った。
「「すぅぅぅぅぅ……ッ!!!!!」」
大きく深呼吸をし……完全に息を止めた。
『と、とんでもない速さと衝撃!!!! そして二人共、全く止まらない!!! それどころか、加速してるようにすら見えるぞおおおおおおお!!!!!』
呼吸という行動を消すことで、二人の動きは更に加速。
徐々に思考すらそぎ落とし、反射だけで動き始める。
奇しくも同じ行動を、選択肢を取った二人は……心の中で、最高の格闘戦を続けられるという思いが湧き出ていた。
だが、そういう至高の時間ほど、長くは続かないものである。
「ッ!! ぁ、はっ!!??」
「ッ!!!!」
無呼吸での連続行動で先に限界が来たのはソニアだった。
(嘘だろ、待て……私は、まだ、こいつと……)
対戦相手であるアラッドも同じ気持ちだった。
しかし……ここで動きを止めるのは、相手の闘志に無礼というもの。
思考を捨てた反射が下手に伸びてしまったソニアの右腕を取り……そのまま場外へ投げ飛ばした。
「がっ、はッ……」
「そこまで!!!! 勝者、アラッド!!!!!!!」
幕切れの攻防こそやや失速したものの、素晴らしい激闘であったことに変わりはない。
観客たちは二人に盛大な拍手を送った。
「楽しかった。また機会があれば戦ろうな」
「……次は、負けないよ」
アラッドの手を借りて起き上がり、恨み言を呟くのではなく、良い笑顔で次は勝つと宣言してその場から去る。
(スティーム以外の試合はそこまで楽しめないかもしれないなんて思ってたが、全くそんな事はなかったな)
非常に満足気な笑みを浮かべて通路へと戻るアラッド。
「お疲れ様。随分嬉しそうな顔だね」
「まぁな。正直、お前との試合以外はそこまで楽しめないと思ってたんだが、案外そうでもなかったからな」
「ふ~~~ん……アラッドがそこまで言う実力者が参加してるってなると、あんまり余裕ぶってたら痛い目を見そうだね」
若干……ほんの少しだけだが、スティームは先程アラッドと戦ったソニアに嫉妬した。
(別にアラッドとはライバル関係とかじゃないけど、パーティーメンバーとして……やっぱり、他の同世代たちには負けられないよね)
十分後、ようやくスティームの出番がやって来た。
対戦相手の冒険者は男性にしては珍しくレイピアを使う技巧派。
(もしかして僕やアラッドと同じ冒険者かな?)
試合前は参加者である選手が二言三言話す者だが……スティームの対戦相手である青年は、予選での戦いっぷりを観ていたため、試合前に対戦相手と軽く言葉を交わす余裕はなかった。
(あのアラッドと……俺らの世代を含めても最強の王者と一緒に行動してる奴だ。何の縁があって一緒に行動してるのかは知らないけど、絶対に油断したら負ける)
準決勝、決勝戦のことなど気にしてられない。
レイピア使いの男は、この試合に全てを出し切るつもりで挑む。
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