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四百八十話 そういう殺し方?
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「ん~~~……まぁ、君たちなら大丈夫か?」
「何がだ? もしかしてあれか、そのトーナメント……実は年齢偽って参加する奴がいるのか?」
「そんな事は多分ないと思うよ。ただ、そのトーナメントは冒険者だけじゃなくて騎士も参加するんだ」
「騎士か……なるほどな。普通の冒険者たちからすれば、まず気に入らない相手だよな」
冒険者たち側の気持ちを堂々と代弁する貴族の令息。
そんな人物に対して、奇妙な何かを見る眼を向けるオルフェン。
「おいおい、なんだよその眼」
「いや、えっと…………君は貴族の令息、なんだよね?」
「あぁ、そうだぞ。一応侯爵家三男だ」
あまり貴族に対して興味がないオルフェンだが、爵位の序列ぐらいは把握してる。
「アラッドは珍しいタイプの貴族だから、あまり変に考えない方が良いと思うよ。考えるだけ時間の無駄だからね」
「はっはっは!!!! 確かにそうだな。ぶっちゃけ、同じ貴族の令息から見ても、信じられねぇって思う連中は多いだろうな。せっかく得た大金で屋敷の庭に孤児院を移すなんて、俺ぐらいしかやらないだろ」
「ッ!!!???」
全く聞いたことがなかった情報を耳にし、普段からあまり表情に変化がないオルフェンが……面白いほど目を見開き、驚き固まる。
二人は失礼だと思い、笑い出すのを必死で堪えた。
「えっ…………そ、そんな事、やってるの?」
「ま、まぁな。色々とやりたい事をやってたら金が貯まってな。その金を貯め続けとくのは勿体ないから……生きたいって意志が強い連中たちに、他の子供たちより行きたくてもその道が選べない奴らの為に、父さんから庭の面積分を支払って場所を移したんだよ」
「世の中、そういう所に目を付けてパーシブル侯爵やアラッドに嫌がらせしようって輩がいるもんね」
スティームの言葉通り、世の中にはそういった残念な輩が中々消えない。
「……なんか、凄いね」
孤児院出身のオルフェンにとって、アラッドは全てがとにかく凄いと感じた
本心は読めないが、その眼からは適当の娯楽、遊びでやってるようには思えない。
本気で、頑張りたくても頑張れる環境がない子供たちの為に動いているように思えた。
その日の夜、アラッドたちは三人で夕食を食べ、そのままバーへ直行。
「はは、意外と強いんだな。オルフェン」
「アラッド君こそ強いね。やっぱり貴族は皆強いの?」
「貴族が好んで吞む酒はワインだからな。皆は強くないと思うぜ。現に、スティームはリタイアしてるしな」
呑み始め、アラッドはあまり強くなさそうに思えたオルフェンに気を使い、アルコール度数が高くないカクテルを勧めていた。
しかし、一番最初に潰れたのはオルフェンではなく、スティームだった。
「あんまりお酒は好きじゃなかったけど、悪くないね」
「スティームは、騒いで飲むのがそこまで好きじゃないってだけなのかもな」
数時間程ゆったりとした会話を楽しんだ後、アラッドはスティームを担ぎながらオルフェンを宿まで見送り、自分たちの宿に帰宅。
翌日はスティームが二日酔いに若干苦しめられながらも、いつも通り一対三の稽古や改善点などの話し合いを行っていた。
「アラッド様ですね」
「ん?」
「少しお時間宜しいでしょうか」
酒場で夕食を食べ終えて出来たアラッドに声をかけてきたのは……一人の老人、一人の騎士らしき人物。
「……良いですよ。クロ、お前は先にスティームと一緒に帰ってろ」
「…………ワゥ!!!」
本当は主人に付いていたい。
しかし、直ぐに主人が万が一の……最悪の結果を予想しているのだと把握し、スティームと一緒に宿へ戻ることに同意。
「アラッド、日を跨ぐまでには帰ってきなよ」
「おぅ、解ってる」
完全にスティームたちと別れ、アラッドは一人となり……声をかけてきた二人組に付いて行く。
到着した場所は隠れ家的なバー。
そこの個室に入り、アラッドがカクテルを頼むか否かを考えている間に、老人が一つの木箱を取り出した。
「こちらを収めください」
蓋が開けられ、その中には……大量の白金貨がぎっちりと詰められていた。
冒険者ではなく、貴族であってもその金額に余裕で目が眩む。
アラッドもほんの少しだけ驚きはしたが、次のアクションは……言われた通りぎっしりと白金貨が詰まった木箱を受け取るのではなく、大爆笑。
「だっはっはっはっはっはっは!!!!!!!」
「「ッ!!??」」
完全防音機能が付与されている為、アラッドの爆笑が外に零れることはない。
ただ、老人と騎士からすれば何事なのだと、構えずにはいられない。
「はー、はー、はー…………なんだよあんたら、そうやって俺を笑い殺す算段だったのか?」
断じてそんな訳はない。
大量の白金貨を渡すのは、人前では言えない頼みを聞いてもらう為。
彼らはアラッドを笑い殺そうとする暗殺者たちではない。
アラッドもそれは理解している。
理解しているのだが……思わずそんなあり得ない可能性が頭に浮かんでしまい、爆笑を堪え切れなかった。
「あんたらな……俺を金でどうにか出来るって、本当に思ってるのか?」
「何がだ? もしかしてあれか、そのトーナメント……実は年齢偽って参加する奴がいるのか?」
「そんな事は多分ないと思うよ。ただ、そのトーナメントは冒険者だけじゃなくて騎士も参加するんだ」
「騎士か……なるほどな。普通の冒険者たちからすれば、まず気に入らない相手だよな」
冒険者たち側の気持ちを堂々と代弁する貴族の令息。
そんな人物に対して、奇妙な何かを見る眼を向けるオルフェン。
「おいおい、なんだよその眼」
「いや、えっと…………君は貴族の令息、なんだよね?」
「あぁ、そうだぞ。一応侯爵家三男だ」
あまり貴族に対して興味がないオルフェンだが、爵位の序列ぐらいは把握してる。
「アラッドは珍しいタイプの貴族だから、あまり変に考えない方が良いと思うよ。考えるだけ時間の無駄だからね」
「はっはっは!!!! 確かにそうだな。ぶっちゃけ、同じ貴族の令息から見ても、信じられねぇって思う連中は多いだろうな。せっかく得た大金で屋敷の庭に孤児院を移すなんて、俺ぐらいしかやらないだろ」
「ッ!!!???」
全く聞いたことがなかった情報を耳にし、普段からあまり表情に変化がないオルフェンが……面白いほど目を見開き、驚き固まる。
二人は失礼だと思い、笑い出すのを必死で堪えた。
「えっ…………そ、そんな事、やってるの?」
「ま、まぁな。色々とやりたい事をやってたら金が貯まってな。その金を貯め続けとくのは勿体ないから……生きたいって意志が強い連中たちに、他の子供たちより行きたくてもその道が選べない奴らの為に、父さんから庭の面積分を支払って場所を移したんだよ」
「世の中、そういう所に目を付けてパーシブル侯爵やアラッドに嫌がらせしようって輩がいるもんね」
スティームの言葉通り、世の中にはそういった残念な輩が中々消えない。
「……なんか、凄いね」
孤児院出身のオルフェンにとって、アラッドは全てがとにかく凄いと感じた
本心は読めないが、その眼からは適当の娯楽、遊びでやってるようには思えない。
本気で、頑張りたくても頑張れる環境がない子供たちの為に動いているように思えた。
その日の夜、アラッドたちは三人で夕食を食べ、そのままバーへ直行。
「はは、意外と強いんだな。オルフェン」
「アラッド君こそ強いね。やっぱり貴族は皆強いの?」
「貴族が好んで吞む酒はワインだからな。皆は強くないと思うぜ。現に、スティームはリタイアしてるしな」
呑み始め、アラッドはあまり強くなさそうに思えたオルフェンに気を使い、アルコール度数が高くないカクテルを勧めていた。
しかし、一番最初に潰れたのはオルフェンではなく、スティームだった。
「あんまりお酒は好きじゃなかったけど、悪くないね」
「スティームは、騒いで飲むのがそこまで好きじゃないってだけなのかもな」
数時間程ゆったりとした会話を楽しんだ後、アラッドはスティームを担ぎながらオルフェンを宿まで見送り、自分たちの宿に帰宅。
翌日はスティームが二日酔いに若干苦しめられながらも、いつも通り一対三の稽古や改善点などの話し合いを行っていた。
「アラッド様ですね」
「ん?」
「少しお時間宜しいでしょうか」
酒場で夕食を食べ終えて出来たアラッドに声をかけてきたのは……一人の老人、一人の騎士らしき人物。
「……良いですよ。クロ、お前は先にスティームと一緒に帰ってろ」
「…………ワゥ!!!」
本当は主人に付いていたい。
しかし、直ぐに主人が万が一の……最悪の結果を予想しているのだと把握し、スティームと一緒に宿へ戻ることに同意。
「アラッド、日を跨ぐまでには帰ってきなよ」
「おぅ、解ってる」
完全にスティームたちと別れ、アラッドは一人となり……声をかけてきた二人組に付いて行く。
到着した場所は隠れ家的なバー。
そこの個室に入り、アラッドがカクテルを頼むか否かを考えている間に、老人が一つの木箱を取り出した。
「こちらを収めください」
蓋が開けられ、その中には……大量の白金貨がぎっちりと詰められていた。
冒険者ではなく、貴族であってもその金額に余裕で目が眩む。
アラッドもほんの少しだけ驚きはしたが、次のアクションは……言われた通りぎっしりと白金貨が詰まった木箱を受け取るのではなく、大爆笑。
「だっはっはっはっはっはっは!!!!!!!」
「「ッ!!??」」
完全防音機能が付与されている為、アラッドの爆笑が外に零れることはない。
ただ、老人と騎士からすれば何事なのだと、構えずにはいられない。
「はー、はー、はー…………なんだよあんたら、そうやって俺を笑い殺す算段だったのか?」
断じてそんな訳はない。
大量の白金貨を渡すのは、人前では言えない頼みを聞いてもらう為。
彼らはアラッドを笑い殺そうとする暗殺者たちではない。
アラッドもそれは理解している。
理解しているのだが……思わずそんなあり得ない可能性が頭に浮かんでしまい、爆笑を堪え切れなかった。
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