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四百七十八話 勝敗のコントロール
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一回目の賭けは二人とも狙い通りの戦闘者が勝利。
しかし、それ以降での戦いでは勝ったり負けたり、奇跡的な大逆転が起きたりと、予想外の結果になることもあった。
その結果、二人は最終的に金貨一枚程度の儲けで終了。
「中々熱い戦いが多かったね」
「そうだな……まっ、闘技場専属の戦闘者たちに限っては、何かしらの縛りを入れて戦ってたみたいだけどな」
「そうなのかい?」
アラッドでも直ぐに気付くことはなかったが、途中から小さな違和感に気付いた。
「全力を出せばどちらかが死ぬかもしれないからな」
「ん~~~……でも、それを承知で闘技場のリングに上がってるんだよね」
「覚悟は持ってると思うぞ。でもな、闘技場は一種のギャンブル。つまり、経営が成り立たないと意味がないんだ」
「……あっ、なるほど。そういうことか」
レドルスには複数の闘技場が存在し、各闘技場に在籍している闘技者の中には、頭一つか二つ抜けた者たちが存在する。
結果として、彼らが毎回全力で戦ってしまえば、賭けは盛り上がらない。
なので運営側は何かしらの縛りを提示し、勝敗のコントロールを行っている。
とはいえ、真に強さを追及する闘技者であれば、その縛りを完全に受け入れた上で、勝つ方法を模索する。
そして縛りによって不利な状況であっても、対戦相手を倒し、運営の勝敗コントロールを無視してしまう。
ただ、真に強さを追加する闘技者であっても、苦戦は避けられない為、そこからの大逆転も含めて観客たちは非常に盛り上がる。
「まぁ縛りって言っても、呪われたマジックアイテムとかを装備させて、デバフした状態でリングに上げるとかはないと思うけどな」
「さすがにそこまでしたら、観客たちから不満が出そうだね…………ねぇ、また闘技場で戦ってみない?」
「良いぞ」
スティームの提案に、アラッドはノータイムで答えた。
「……もう少し悩んでも良いと思うんだけど」
「せっかくこういう街に来たんだからな。リングの上に立つの一回だけってのは勿体ないだろ」
「ふふ、アラッドらしいね。ギルドから頼まれた十連戦だけでは満足出来なかったみたいだね」
「あれはなぁ~~。正直、本当に満足がいく戦いは最後のオルフェンとの戦いだけだったからな」
絶対に本人達の前では言えないが、それは紛れもないアラッドの本心だった。
「それで、どういう戦いに参加するんだ?」
「十日後ぐらいに、ニ十歳以下の人限定のトーナメントが行われるんだ。優勝賞品はそれなりに豪華らしいよ」
「ニ十歳以下限定のトーナメントか……まっ、とりあえず参加してみるか」
それはそれで楽しめるだろうと思い、二人はトーナメントに参加することが決定。
翌日、そのトーナメントが行われる闘技場に向かい、参加を申し込む。
「あぁ~~~、申し訳ねぇんだが、推薦がない人達は予選に参加してもらうことになるんだ」
「予選って言うと、何試合かするってことですか?」
「いや、十人から十五人ぐらいをリングに上げて勝ち残り戦を行ってもらうんですよ」
闘技場のスタッフとしては、目の前の二人からの申し出を断るのは……非常に内心、ビクビクと震えていた。
アラッドの先日の活躍っぷりは観ており、侯爵家の三男という事も知っている。
そして隣に立つ人物も、それなりの分析力が備わっている為、歳相応以上の実力を持つ冒険者ではないことが解かる。
「その枠が今三つあるんですよ」
「ふ~~~ん……それなら、その訳で構わないんで、参加手続きをお願いします」
「かしこまりました」
受付係としては非常に筋骨隆々な男は、心に誓った。
絶対に二人が同じグループに入らない様にしようと。
アラッドが強いのはもう十分に解っている。
ただ、隣に立つ仲間らしき青年も並みならる実力を有していることが解かる。
(予選に参加したいと申してきた若者は多いが……その若者たちと比べても頭一つか二つ抜けている。彼は、絶対にトーナメントに参加すべきだ!!!!)
従業員ではなく、一闘技者ファンとして、スティームという名の参加者がトーナメントで戦う姿が見たい。
という要望を男は、出来る限り熱意を持って上司に伝えた。
「スティーム、本当に良いのか?」
「あぁ、勿論。とはいえ、さすがに全力で来られると速攻で死んじゃうから、手加減してね」
「解ってるよ」
トーナメントに参加した翌日、二人は従魔たちと一緒にレドルス周辺の森を訪れていた。
「んじゃ、行くぞ!!!
「ワゥ!!!」
「グルルルゥウウウッ!!!!」
約十日後に控えるトーナメントの予選を突破するために、スティームはアラッドたちに一対三の模擬戦を行って欲しいと伝えた。
スティーム自身、自分は同世代の中でも強い方に部類されるという自覚はある。
しかし、アラッドやオルフェンといった歳の近い実力者たちの戦いぶりを間近で観て……余裕ぶっこいてられないという思いが爆発。
まずは予選の勝ち残り戦で生き残らないことにはトーナメントに参加すら出来ない為、アラッドたちに頼んで集団戦の強化を行うことにした。
しかし、それ以降での戦いでは勝ったり負けたり、奇跡的な大逆転が起きたりと、予想外の結果になることもあった。
その結果、二人は最終的に金貨一枚程度の儲けで終了。
「中々熱い戦いが多かったね」
「そうだな……まっ、闘技場専属の戦闘者たちに限っては、何かしらの縛りを入れて戦ってたみたいだけどな」
「そうなのかい?」
アラッドでも直ぐに気付くことはなかったが、途中から小さな違和感に気付いた。
「全力を出せばどちらかが死ぬかもしれないからな」
「ん~~~……でも、それを承知で闘技場のリングに上がってるんだよね」
「覚悟は持ってると思うぞ。でもな、闘技場は一種のギャンブル。つまり、経営が成り立たないと意味がないんだ」
「……あっ、なるほど。そういうことか」
レドルスには複数の闘技場が存在し、各闘技場に在籍している闘技者の中には、頭一つか二つ抜けた者たちが存在する。
結果として、彼らが毎回全力で戦ってしまえば、賭けは盛り上がらない。
なので運営側は何かしらの縛りを提示し、勝敗のコントロールを行っている。
とはいえ、真に強さを追及する闘技者であれば、その縛りを完全に受け入れた上で、勝つ方法を模索する。
そして縛りによって不利な状況であっても、対戦相手を倒し、運営の勝敗コントロールを無視してしまう。
ただ、真に強さを追加する闘技者であっても、苦戦は避けられない為、そこからの大逆転も含めて観客たちは非常に盛り上がる。
「まぁ縛りって言っても、呪われたマジックアイテムとかを装備させて、デバフした状態でリングに上げるとかはないと思うけどな」
「さすがにそこまでしたら、観客たちから不満が出そうだね…………ねぇ、また闘技場で戦ってみない?」
「良いぞ」
スティームの提案に、アラッドはノータイムで答えた。
「……もう少し悩んでも良いと思うんだけど」
「せっかくこういう街に来たんだからな。リングの上に立つの一回だけってのは勿体ないだろ」
「ふふ、アラッドらしいね。ギルドから頼まれた十連戦だけでは満足出来なかったみたいだね」
「あれはなぁ~~。正直、本当に満足がいく戦いは最後のオルフェンとの戦いだけだったからな」
絶対に本人達の前では言えないが、それは紛れもないアラッドの本心だった。
「それで、どういう戦いに参加するんだ?」
「十日後ぐらいに、ニ十歳以下の人限定のトーナメントが行われるんだ。優勝賞品はそれなりに豪華らしいよ」
「ニ十歳以下限定のトーナメントか……まっ、とりあえず参加してみるか」
それはそれで楽しめるだろうと思い、二人はトーナメントに参加することが決定。
翌日、そのトーナメントが行われる闘技場に向かい、参加を申し込む。
「あぁ~~~、申し訳ねぇんだが、推薦がない人達は予選に参加してもらうことになるんだ」
「予選って言うと、何試合かするってことですか?」
「いや、十人から十五人ぐらいをリングに上げて勝ち残り戦を行ってもらうんですよ」
闘技場のスタッフとしては、目の前の二人からの申し出を断るのは……非常に内心、ビクビクと震えていた。
アラッドの先日の活躍っぷりは観ており、侯爵家の三男という事も知っている。
そして隣に立つ人物も、それなりの分析力が備わっている為、歳相応以上の実力を持つ冒険者ではないことが解かる。
「その枠が今三つあるんですよ」
「ふ~~~ん……それなら、その訳で構わないんで、参加手続きをお願いします」
「かしこまりました」
受付係としては非常に筋骨隆々な男は、心に誓った。
絶対に二人が同じグループに入らない様にしようと。
アラッドが強いのはもう十分に解っている。
ただ、隣に立つ仲間らしき青年も並みならる実力を有していることが解かる。
(予選に参加したいと申してきた若者は多いが……その若者たちと比べても頭一つか二つ抜けている。彼は、絶対にトーナメントに参加すべきだ!!!!)
従業員ではなく、一闘技者ファンとして、スティームという名の参加者がトーナメントで戦う姿が見たい。
という要望を男は、出来る限り熱意を持って上司に伝えた。
「スティーム、本当に良いのか?」
「あぁ、勿論。とはいえ、さすがに全力で来られると速攻で死んじゃうから、手加減してね」
「解ってるよ」
トーナメントに参加した翌日、二人は従魔たちと一緒にレドルス周辺の森を訪れていた。
「んじゃ、行くぞ!!!
「ワゥ!!!」
「グルルルゥウウウッ!!!!」
約十日後に控えるトーナメントの予選を突破するために、スティームはアラッドたちに一対三の模擬戦を行って欲しいと伝えた。
スティーム自身、自分は同世代の中でも強い方に部類されるという自覚はある。
しかし、アラッドやオルフェンといった歳の近い実力者たちの戦いぶりを間近で観て……余裕ぶっこいてられないという思いが爆発。
まずは予選の勝ち残り戦で生き残らないことにはトーナメントに参加すら出来ない為、アラッドたちに頼んで集団戦の強化を行うことにした。
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