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四百六十六話 それはそれで燃える
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「まずは宿を取るか」
「ギルドに向かわなくても良いのかい?」
「ゆっくり来たとはいえ、まだ到着してない連中もいるだろうから、そこまで報告を急ぐ必要はないだろ」
空き部屋がなくなる前に質の良い宿を取り、露店で料理を摘まみながらギルドへと向かう。
到着した二人はクロとファルに待っててくれと頼み、中へ入る。
「……なんだ、あいつら?」
「新入りか?」
「新入りっつーか、ルーキーっつーか……見ねぇ顔ではあるが、装備を見る限り丸っきりルーキーではねぇだろ」
よっぽどの馬鹿ではない限り、二人が歳相応の実力しかないと思う者はいない。
考える頭が足りない者であれば、高品質の装備品を身に付けているのは、親が金を持っているボンボンだからと騒ぐが……だからといって、二人に対してそうそう絡めるものではない。
「頼まれた来たアラッドです」
「「「「ッ!!!!」」」」
まだギルド内には冒険者の数が少ない。
それでも、併設されている酒場などで食事を取っている者たちの視線が、一斉に集まった。
「あ、あなたが……ぎ、ギルドカードを確認させていただきますね」
「どうぞ」
提出されたギルドカードには、間違いなく家名まで記されていた。
「か、確認出来ました。う、上の者を呼んできますので、少々お待ちください」
「分かりました」
一度にアラッドの実力に関して真偽を確かめたい者たちを相手にする為の案は、既にアラッド本人が伝えており、今回はそれの最終確認。
現在ギルド内にいる冒険者たちも、その話については軽く耳にしている為、今すぐどうこうしようという気はない。
そういった考えはないのだが……それでもアラッドや隣に立つスティームに対して厳しい視線を向けていた。
「何と言うか、こういう状況はどこにいても起こるね」
「冒険者らしいって言葉で済ますしかないだろ。それに、下手に絡んで俺の怒りに触れてこないだけで、あのバカよりはまたもだ」
「あぁ、あの子の話か……ふふ、それもそうだね」
スティームもギルの話は聞いており、確かに今の状況はまだ良い方だと、苦笑いするしかない。
「お待たせしました。お部屋にご案内します」
受付嬢によって通された部屋には、既に一人のギルド職員が椅子に座っていた。
「アラッドさん、スティームさん。本日はレドルスに来ていただき、ありがとうございます」
「いえいえ、こっちとしても面白そうなイベントだと思ったんで」
「そう言って頂けると、こちらとしても幸いです」
職員は封筒から取り出した書類をテーブルに並べる。
「こちらは、予定日にアラッドさんと試合を行う者たちのデートですが……拝見なさいますか?」
「遠慮しておきます。楽しみは当日まで取っておこうかと」
「かしこまりました」
次に決めるのは、ギルドが当日確保しているコロシアムで、どう戦うか。
「集団戦、もしくは連戦という形になりますが」
「……個人的には、俺に挑んでくる冒険者たちの名誉を守るなら、一対一の連戦の方が良いかと」
「…………そうですね。確かにその方が、一応彼らの名誉は守られそうですね」
今回の試合、勝負は勝負であるため、アラッドは別に負けても構わないなどと……一ミリも考えていない。
その為、自分のあれこれに文句がある人物たちが一斉に襲い掛かってくるのであれば、手加減出来なくなる可能性は十分にある。
出力が一定ラインを越えてしまった場合、参加者たちの命は保証されるが、リングでは紙クズの様に吹き飛ばされてもおかしくない。
そうなれば、結果として外野たちに「あの冒険者たちはいくらなんでも弱すぎるだろ」と大声で笑われてしまう。
アラッド本人は、今現在の状況はこの世界ならではの出来事であり、仕方ないと受け止めているからこその寛容さだった。
「それと、賭けを行うのであれば、挑戦者たちが何戦目で俺に勝てるのか。そういった賭け方にしておいた方が良いと思います。ギルドか開催されるコロシアムのどちらかが運営されるか分かりませんけど」
「ッ……凄い、自信ですね」
「もしや、Aランクモンスター……とまでは言わずとも、Bランクモンスターをソロで倒せる冒険者が参加するんですか?」
それは少々不味いかも、とアラッドが判断するラインはそこ。
「えっと……その、おそらく、いないかと」
「そうなんですね。まぁ、そういう人が参加してるなら参加してるで、個人的に燃えるところはありますけど」
まさかの言葉に、ギルド職員は目の前のまだ歳若い冒険者が、多くの意味で本物なのだと感じた。
そして数分後には最終チェックのやり取りが終わり、二人は部屋から退室。
ギルド内にはまだ仕事終わりの冒険者たちが帰ってきてなかったこともあり、一騒動起こることはなかった。
「さっきの話だけど、アラッドみたいに一人でBランクモンスターを倒せる人が参加してたら、大人げないって理由でその人が集中砲火を食らうだろうね」
「そうなってしまうか……そういう場ってのを考えると、俺が満足出来るほど強い人は参加してこないか」
それでも、完全には気落ちしていない。
なぜなら……Bランクモンスターを確実に倒せる腕はなくとも、倒せる可能性を秘めた者は参加するかもしれない。
コロシアムでの試合が行われる間、アラッドは体が鈍らない様に休むことなく、仕事と狩りと模擬戦を行い続けた。
「ギルドに向かわなくても良いのかい?」
「ゆっくり来たとはいえ、まだ到着してない連中もいるだろうから、そこまで報告を急ぐ必要はないだろ」
空き部屋がなくなる前に質の良い宿を取り、露店で料理を摘まみながらギルドへと向かう。
到着した二人はクロとファルに待っててくれと頼み、中へ入る。
「……なんだ、あいつら?」
「新入りか?」
「新入りっつーか、ルーキーっつーか……見ねぇ顔ではあるが、装備を見る限り丸っきりルーキーではねぇだろ」
よっぽどの馬鹿ではない限り、二人が歳相応の実力しかないと思う者はいない。
考える頭が足りない者であれば、高品質の装備品を身に付けているのは、親が金を持っているボンボンだからと騒ぐが……だからといって、二人に対してそうそう絡めるものではない。
「頼まれた来たアラッドです」
「「「「ッ!!!!」」」」
まだギルド内には冒険者の数が少ない。
それでも、併設されている酒場などで食事を取っている者たちの視線が、一斉に集まった。
「あ、あなたが……ぎ、ギルドカードを確認させていただきますね」
「どうぞ」
提出されたギルドカードには、間違いなく家名まで記されていた。
「か、確認出来ました。う、上の者を呼んできますので、少々お待ちください」
「分かりました」
一度にアラッドの実力に関して真偽を確かめたい者たちを相手にする為の案は、既にアラッド本人が伝えており、今回はそれの最終確認。
現在ギルド内にいる冒険者たちも、その話については軽く耳にしている為、今すぐどうこうしようという気はない。
そういった考えはないのだが……それでもアラッドや隣に立つスティームに対して厳しい視線を向けていた。
「何と言うか、こういう状況はどこにいても起こるね」
「冒険者らしいって言葉で済ますしかないだろ。それに、下手に絡んで俺の怒りに触れてこないだけで、あのバカよりはまたもだ」
「あぁ、あの子の話か……ふふ、それもそうだね」
スティームもギルの話は聞いており、確かに今の状況はまだ良い方だと、苦笑いするしかない。
「お待たせしました。お部屋にご案内します」
受付嬢によって通された部屋には、既に一人のギルド職員が椅子に座っていた。
「アラッドさん、スティームさん。本日はレドルスに来ていただき、ありがとうございます」
「いえいえ、こっちとしても面白そうなイベントだと思ったんで」
「そう言って頂けると、こちらとしても幸いです」
職員は封筒から取り出した書類をテーブルに並べる。
「こちらは、予定日にアラッドさんと試合を行う者たちのデートですが……拝見なさいますか?」
「遠慮しておきます。楽しみは当日まで取っておこうかと」
「かしこまりました」
次に決めるのは、ギルドが当日確保しているコロシアムで、どう戦うか。
「集団戦、もしくは連戦という形になりますが」
「……個人的には、俺に挑んでくる冒険者たちの名誉を守るなら、一対一の連戦の方が良いかと」
「…………そうですね。確かにその方が、一応彼らの名誉は守られそうですね」
今回の試合、勝負は勝負であるため、アラッドは別に負けても構わないなどと……一ミリも考えていない。
その為、自分のあれこれに文句がある人物たちが一斉に襲い掛かってくるのであれば、手加減出来なくなる可能性は十分にある。
出力が一定ラインを越えてしまった場合、参加者たちの命は保証されるが、リングでは紙クズの様に吹き飛ばされてもおかしくない。
そうなれば、結果として外野たちに「あの冒険者たちはいくらなんでも弱すぎるだろ」と大声で笑われてしまう。
アラッド本人は、今現在の状況はこの世界ならではの出来事であり、仕方ないと受け止めているからこその寛容さだった。
「それと、賭けを行うのであれば、挑戦者たちが何戦目で俺に勝てるのか。そういった賭け方にしておいた方が良いと思います。ギルドか開催されるコロシアムのどちらかが運営されるか分かりませんけど」
「ッ……凄い、自信ですね」
「もしや、Aランクモンスター……とまでは言わずとも、Bランクモンスターをソロで倒せる冒険者が参加するんですか?」
それは少々不味いかも、とアラッドが判断するラインはそこ。
「えっと……その、おそらく、いないかと」
「そうなんですね。まぁ、そういう人が参加してるなら参加してるで、個人的に燃えるところはありますけど」
まさかの言葉に、ギルド職員は目の前のまだ歳若い冒険者が、多くの意味で本物なのだと感じた。
そして数分後には最終チェックのやり取りが終わり、二人は部屋から退室。
ギルド内にはまだ仕事終わりの冒険者たちが帰ってきてなかったこともあり、一騒動起こることはなかった。
「さっきの話だけど、アラッドみたいに一人でBランクモンスターを倒せる人が参加してたら、大人げないって理由でその人が集中砲火を食らうだろうね」
「そうなってしまうか……そういう場ってのを考えると、俺が満足出来るほど強い人は参加してこないか」
それでも、完全には気落ちしていない。
なぜなら……Bランクモンスターを確実に倒せる腕はなくとも、倒せる可能性を秘めた者は参加するかもしれない。
コロシアムでの試合が行われる間、アラッドは体が鈍らない様に休むことなく、仕事と狩りと模擬戦を行い続けた。
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