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四百五十一話 顔を合わせれば……どうなる!?
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ギーラスが風竜、ストールをソロで討伐したという話は即座にラダスに伝えられ、直ぐにお祭りの準備が始まった。
ソロでドラゴンを討伐したギーラスとしては色々と納得出来ない結果ではあったが、何にしろBランクの属性ドラゴンをソロで倒したという結果には変わらない。
騒ぐ場でずっと納得がいかない表情を浮かべる訳にはいかない。
それぐらいの常識は当然身に付けている為、途中からは全力で宴会を楽しんだ。
「どうしたんだい、アラッド。なんだが元気がなさげじゃないかい」
「スティーム…………ギーラス兄さんに付いて行って、王都に行くか否かちょっと迷っててな」
「王都に嫌な思いでもあるのかい?」
嫌な思いなどは殆どなく、面白い思い出の方が多い。
とはいえ、アラッドにはアラッドなりの事情がある。
「そういうのはないが、王都に行くと……あいつに遭遇する可能性がある」
「あいつって言うと、フローレンス・カルロストのことかい」
「そう、そいつだ」
「もしかして、彼女と運命的な出会いをしたくないからってのが主な理由?」
「万が一であったとしても、それは運命的な出会いじゃねぇから」
アラッドはスティームの冗談を食い気味に否定。
「そ、そうかい。でも、そんなにフローレンス・カルロストと遭遇するのが嫌なら、こちらから向かわなければ良いだけじゃないか」
「向こうから会いに来るかもしれないだろ」
「…………アラッドは、彼女のことがあまり好きじゃないんだよね」
数秒ほどじっくり考え、事実確認を行う。
「あぁ、勿論。二人で話す機会があったが、我ながら顔と態度に出てたと思う」
「なるほど。なら……向こうが一方的に、アラッドに対して興味を……好意を持ってるってことだね」
「……なんだそりゃ」
何とも言えない変な表情を見て、スティームは思わず小さく笑ってしまった。
「ふふっ、そんなに驚かなくても良いだろ。君は異性にモテる顔、体を持ってる。そして強靭な戦闘力を有している。他の令息たちにとって高嶺の花である存在でも、君にとっては対等な存在……向こうとしても、普通に気になる存在なんだよ」
「……そうなのかもな。後、俺……ささっと学園を辞めたから、何と言うか……個人的に、友達だった奴らと顔を合わせ辛いんだよな」
騎士の爵位だけ欲しいという理由で学園に入学し。条件である学生による大会で見事優勝をもぎ取った。
ついでにアラッドが特例として騎士の称号を手に入れたことに文句を持つ現役騎士たちを、全員丁寧にがっつりボコボコにした。
そしてサラッと特別に卒業し、冒険者としての道を歩み始めた。
「もしかして、喧嘩別れみたいな形で別れたの?」
「いや、別にそういう訳じゃないんだが……あっ」
「ん?」
「いや……なんでもない」
スティームの顔を見て「あっ」と呟き、直ぐに顔を逸らす……そんな対応を取られて、なんでもないとは思えない。
(ただ俺が過剰に捉えてるというか、妄想というか……自意識過剰、だよな。でも……もしレイ嬢とスティームが顔話合わせたら……どうなるんだ)
自分の自意識過剰と思いたい。
しかし、ラブコメ漫画に出てくるような鈍感系主人公ではないため、レイが自分に対してどういった感情を持っていたのか……本当に解からない程、バカではない。
(もしかしなくても、スティームにガチの勝負を挑んだりする、よな……)
容易にその光景がイメージ出来てしまい、王都に行きたくない気持ちが強まる。
「あっ! もしかして俺と同じで、仲が良くない弟と顔が合わせ辛いってのもある?」
「あぁ~~~……まぁ、そうだな。それもある。一応長年のわだかまり? 的なのは解消出来たと思うんだけど、別に仲良くなったわけじゃないからな」
そろそろ冬に差し掛かろうとする季節。
既に生徒たちの記憶から、アラッドという存在が消えかけて……はおらず、教師たちが特例で卒業したアラッドの功績について度々話し合っている。
そこから生徒たちにアラッドの冒険者としての功績が広まり……相変わらず苦い顔を浮かべる者たちがチラホラといる。
そんな者たちにとってアラッドとの再会は正直なところ、吉と出るか凶と出るか解らない。
「会うにしても……なんだかんだで、フィリアスが一番気楽かもしれないな」
「フィリアス……えっ、もしかしてアルバース王国の、第三王女の……あのフィリアス、様?」
「昔、本当に偶々偶然知り合ってな。そりゃやっぱり緊張する相手ではあるけど、変なしがらみというか……とにかく、今であれば一番面倒がない再会相手、かな」
「…………もしかしてたけど、フィリアス様もアラッドに興味と好意を持ってる、のかな」
なんとも鋭い質問を口にするスティームだが、アラッドは笑って流す。
「興味は持ってくれてると思うが、好意に関しては単純に友人としてだな……仮にそういう想いを持たれてたとしても、俺は侯爵家の三男。今は騎士という爵位こそ持ってるが、立場は冒険者。それはこれからも変わらない」
万が一、億が一の奇跡が起きたとしても、それはないと断言。
それからも悩みに悩んだ結果……一先ず、アラッドはギーラスと一緒に王都へは行かないと決めた。
ソロでドラゴンを討伐したギーラスとしては色々と納得出来ない結果ではあったが、何にしろBランクの属性ドラゴンをソロで倒したという結果には変わらない。
騒ぐ場でずっと納得がいかない表情を浮かべる訳にはいかない。
それぐらいの常識は当然身に付けている為、途中からは全力で宴会を楽しんだ。
「どうしたんだい、アラッド。なんだが元気がなさげじゃないかい」
「スティーム…………ギーラス兄さんに付いて行って、王都に行くか否かちょっと迷っててな」
「王都に嫌な思いでもあるのかい?」
嫌な思いなどは殆どなく、面白い思い出の方が多い。
とはいえ、アラッドにはアラッドなりの事情がある。
「そういうのはないが、王都に行くと……あいつに遭遇する可能性がある」
「あいつって言うと、フローレンス・カルロストのことかい」
「そう、そいつだ」
「もしかして、彼女と運命的な出会いをしたくないからってのが主な理由?」
「万が一であったとしても、それは運命的な出会いじゃねぇから」
アラッドはスティームの冗談を食い気味に否定。
「そ、そうかい。でも、そんなにフローレンス・カルロストと遭遇するのが嫌なら、こちらから向かわなければ良いだけじゃないか」
「向こうから会いに来るかもしれないだろ」
「…………アラッドは、彼女のことがあまり好きじゃないんだよね」
数秒ほどじっくり考え、事実確認を行う。
「あぁ、勿論。二人で話す機会があったが、我ながら顔と態度に出てたと思う」
「なるほど。なら……向こうが一方的に、アラッドに対して興味を……好意を持ってるってことだね」
「……なんだそりゃ」
何とも言えない変な表情を見て、スティームは思わず小さく笑ってしまった。
「ふふっ、そんなに驚かなくても良いだろ。君は異性にモテる顔、体を持ってる。そして強靭な戦闘力を有している。他の令息たちにとって高嶺の花である存在でも、君にとっては対等な存在……向こうとしても、普通に気になる存在なんだよ」
「……そうなのかもな。後、俺……ささっと学園を辞めたから、何と言うか……個人的に、友達だった奴らと顔を合わせ辛いんだよな」
騎士の爵位だけ欲しいという理由で学園に入学し。条件である学生による大会で見事優勝をもぎ取った。
ついでにアラッドが特例として騎士の称号を手に入れたことに文句を持つ現役騎士たちを、全員丁寧にがっつりボコボコにした。
そしてサラッと特別に卒業し、冒険者としての道を歩み始めた。
「もしかして、喧嘩別れみたいな形で別れたの?」
「いや、別にそういう訳じゃないんだが……あっ」
「ん?」
「いや……なんでもない」
スティームの顔を見て「あっ」と呟き、直ぐに顔を逸らす……そんな対応を取られて、なんでもないとは思えない。
(ただ俺が過剰に捉えてるというか、妄想というか……自意識過剰、だよな。でも……もしレイ嬢とスティームが顔話合わせたら……どうなるんだ)
自分の自意識過剰と思いたい。
しかし、ラブコメ漫画に出てくるような鈍感系主人公ではないため、レイが自分に対してどういった感情を持っていたのか……本当に解からない程、バカではない。
(もしかしなくても、スティームにガチの勝負を挑んだりする、よな……)
容易にその光景がイメージ出来てしまい、王都に行きたくない気持ちが強まる。
「あっ! もしかして俺と同じで、仲が良くない弟と顔が合わせ辛いってのもある?」
「あぁ~~~……まぁ、そうだな。それもある。一応長年のわだかまり? 的なのは解消出来たと思うんだけど、別に仲良くなったわけじゃないからな」
そろそろ冬に差し掛かろうとする季節。
既に生徒たちの記憶から、アラッドという存在が消えかけて……はおらず、教師たちが特例で卒業したアラッドの功績について度々話し合っている。
そこから生徒たちにアラッドの冒険者としての功績が広まり……相変わらず苦い顔を浮かべる者たちがチラホラといる。
そんな者たちにとってアラッドとの再会は正直なところ、吉と出るか凶と出るか解らない。
「会うにしても……なんだかんだで、フィリアスが一番気楽かもしれないな」
「フィリアス……えっ、もしかしてアルバース王国の、第三王女の……あのフィリアス、様?」
「昔、本当に偶々偶然知り合ってな。そりゃやっぱり緊張する相手ではあるけど、変なしがらみというか……とにかく、今であれば一番面倒がない再会相手、かな」
「…………もしかしてたけど、フィリアス様もアラッドに興味と好意を持ってる、のかな」
なんとも鋭い質問を口にするスティームだが、アラッドは笑って流す。
「興味は持ってくれてると思うが、好意に関しては単純に友人としてだな……仮にそういう想いを持たれてたとしても、俺は侯爵家の三男。今は騎士という爵位こそ持ってるが、立場は冒険者。それはこれからも変わらない」
万が一、億が一の奇跡が起きたとしても、それはないと断言。
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