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四百四十八話 与える筈の絶望は……
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(何故、だ……俺は、俺はドラゴンだ!!!! あの暴風竜の、子供なんだぞ!!!!!)
まさにその考えが子供だった。
ドラゴンと人の差というのもあり、どんな言葉を伝えたところで、ストールの心にギーラスやアラッドの言葉が届くことはない。
(チッ!! 本当は、こいつを殺す寸前に、追い込んで伝える、つもりだったが……)
しかし、ストールはこのままただ死ぬつもりはなかった。
「人間に、しては……少しは、戦れるようだった、な」
「……あまり人の態度にどうこう言うつもりはないけど、君の場合そうやってカッコつけた喋り方をしても、全くカッコ良くないどころかダサいだけだから、今からでも止めた方が良いよ」
「黙って、聞いてろ」
本当の風前の灯火であるため、先程までの様にギーラスの言葉に対して怒声を上げるれない。
それでもストールはニヤッと……最後までドラゴンらしからぬ、小者らしい笑みを浮かべる。
「お前が住んでいた街に、大量のワイバーンとアサルフワイバーンを向かわせた」
「…………」
「人間は、歳を取れば直ぐに弱くなる。貴様の、故郷が灰となるのも、時間の問題、だ」
「…………ふふ。はは、あははははっ!!!!!」
気が触れた? と思うかのような笑い声を上げるギーラスだが、その目に狂いはなく、ただただストールに可哀想な目を向ける。
それと同時に……その表情には、確かな自信があった。
「本当に、君は最後の最後まで愚かだ。確かに人を歳を取れば、弱くなる。それは間違っていないが、俺の故郷で生活する住人たちのことまでは詳しくしらないみたいだね」
「どういう、ことだ」
「……君はもう直ぐ死ぬ。冥土の土産をあげよう」
そこからギーラスは故郷について、自分たちに戦う術を教えてくれた強者たちについて話し始めた。
学園に入るまで、彼らは何度も何度も自分たちの疑問に答えてくれ、適切な指導を行ってくれた。
今でも彼らの強さはその身が覚えており、感謝の念が尽きない。
「それに、俺の弟は非常に優秀……いや、優秀という言葉だけでは足りないね。実家に帰った時、色々と驚かされたよ」
元々パーシブル家に仕えていた騎士たちだけではなく、アラッドが奴隷として購入した最初の五人。
そして孤児院の子供たちを守るため、彼らの教師として購入した追加の戦士たち。
彼らと手合わせした時の衝撃も覚えている。
「大量のワイバーンに、アサルフワイバーン……狂暴性と統率力を有する稀有なワイバーン、だね。確かに、普通に考えれば恐ろしい連中だ……そこら辺の街がそんな大群に襲撃されれば、本当に街が潰れてしまうだろう」
恐ろしい内容を口にしながらも、やはりその表情に恐れは一欠片もない。
「けどね、強いのは父さんだけじゃない。人間は君たちと違って強さを求めれば……貪欲に己を鍛えるんだ。そういった欲を……君は知らない。君の大きな敗因はそれだね」
言いたい事を言い終わり、冥土の土産を渡し終えた。
ギーラスはこの駄竜に解釈を与えることなく、その命が尽きるまで……目の前から離れなかった。
「ギーラス兄さん、お疲れ様」
「あぁ、ありがとう。アラッド」
弟からの労いの言葉を受け取ったギーラスは、面白そうな顔をしながら最後の最後にストールが口にした内容を伝えた。
「ちょっ、それって今すぐにでも向かった方が良いんじゃ!!??」
多数のワイバーンとアサルフワイバーンが、フールが治める街へと向かった。
その情報を聞いて驚きの声を上げたのはアラッド……ではなく、パーティーメンバーのスティームだった。
その反応が普通であり、バカにされる反応ではない。
ただ……話を聞いたアラッドはおかしそうに笑い、既にこと切れているストールに憐みの目を向けた。
「ドラゴンになりきれなかった駄竜って感じですね」
「そうだね。ワイバーンの大群が襲いに行ったところで、仮に父さんが居なくてもなんとかなってしまうといのに」
二人の会話に、スティームとファルは首を傾げるしかなかった。
「ふっふっふ、なんだかよく解らないけど、面白い事になってるじゃない!!!!!!」
ワイバーンの大群と、それを統べるアサルフワイバーン。
何故かこれまでの街を全て無視し、狙っていたかのように現れた大量の亜竜たちを目前に……アラッドの母、アリサは息子と同じく非常に好戦的な笑みを浮かべていた。
「だ、団長。本当にアリサ様の参戦を許可して宜しかったのですか?」
「無駄な質問をするな。主が、フール様が参戦を認めたのだ。私たちがこれ以上何を行ったところで、止まるような方ではない。それに……お前たちもアリサ様の強さは十分身に染みて解っているだろ」
「そ、それはそうですが」
貴族夫人が決してお遊びとは言えない戦場に参加することなど、まずあり得ない。
しかし、アリサは例外中の例外に当てはまる人物。
既に年齢は四十代に突入したにもかかわらず、容姿は二十代半ばから後半。
鍛え上げられた肉体は全盛期を思わせる強さを放っていた。
「あれだけのワイバーンがこの街を狙っている、か……何か裏がありそうだな」
「ガル兄、何か裏があっても私たちにどうこう出来ることはないよね」
「残念ですが、レオナさんの言う通りです。今は、目の前の敵を倒すことだけに集中しましょう」
「はい! エリナ姉さん!!!」
「今日はいつもより調子が良かったから鍛冶に集中したかったんだけど……まぁ、しょうがないか」
当然、ガルシアたち五人も今回の討伐戦に参加する。
まさにその考えが子供だった。
ドラゴンと人の差というのもあり、どんな言葉を伝えたところで、ストールの心にギーラスやアラッドの言葉が届くことはない。
(チッ!! 本当は、こいつを殺す寸前に、追い込んで伝える、つもりだったが……)
しかし、ストールはこのままただ死ぬつもりはなかった。
「人間に、しては……少しは、戦れるようだった、な」
「……あまり人の態度にどうこう言うつもりはないけど、君の場合そうやってカッコつけた喋り方をしても、全くカッコ良くないどころかダサいだけだから、今からでも止めた方が良いよ」
「黙って、聞いてろ」
本当の風前の灯火であるため、先程までの様にギーラスの言葉に対して怒声を上げるれない。
それでもストールはニヤッと……最後までドラゴンらしからぬ、小者らしい笑みを浮かべる。
「お前が住んでいた街に、大量のワイバーンとアサルフワイバーンを向かわせた」
「…………」
「人間は、歳を取れば直ぐに弱くなる。貴様の、故郷が灰となるのも、時間の問題、だ」
「…………ふふ。はは、あははははっ!!!!!」
気が触れた? と思うかのような笑い声を上げるギーラスだが、その目に狂いはなく、ただただストールに可哀想な目を向ける。
それと同時に……その表情には、確かな自信があった。
「本当に、君は最後の最後まで愚かだ。確かに人を歳を取れば、弱くなる。それは間違っていないが、俺の故郷で生活する住人たちのことまでは詳しくしらないみたいだね」
「どういう、ことだ」
「……君はもう直ぐ死ぬ。冥土の土産をあげよう」
そこからギーラスは故郷について、自分たちに戦う術を教えてくれた強者たちについて話し始めた。
学園に入るまで、彼らは何度も何度も自分たちの疑問に答えてくれ、適切な指導を行ってくれた。
今でも彼らの強さはその身が覚えており、感謝の念が尽きない。
「それに、俺の弟は非常に優秀……いや、優秀という言葉だけでは足りないね。実家に帰った時、色々と驚かされたよ」
元々パーシブル家に仕えていた騎士たちだけではなく、アラッドが奴隷として購入した最初の五人。
そして孤児院の子供たちを守るため、彼らの教師として購入した追加の戦士たち。
彼らと手合わせした時の衝撃も覚えている。
「大量のワイバーンに、アサルフワイバーン……狂暴性と統率力を有する稀有なワイバーン、だね。確かに、普通に考えれば恐ろしい連中だ……そこら辺の街がそんな大群に襲撃されれば、本当に街が潰れてしまうだろう」
恐ろしい内容を口にしながらも、やはりその表情に恐れは一欠片もない。
「けどね、強いのは父さんだけじゃない。人間は君たちと違って強さを求めれば……貪欲に己を鍛えるんだ。そういった欲を……君は知らない。君の大きな敗因はそれだね」
言いたい事を言い終わり、冥土の土産を渡し終えた。
ギーラスはこの駄竜に解釈を与えることなく、その命が尽きるまで……目の前から離れなかった。
「ギーラス兄さん、お疲れ様」
「あぁ、ありがとう。アラッド」
弟からの労いの言葉を受け取ったギーラスは、面白そうな顔をしながら最後の最後にストールが口にした内容を伝えた。
「ちょっ、それって今すぐにでも向かった方が良いんじゃ!!??」
多数のワイバーンとアサルフワイバーンが、フールが治める街へと向かった。
その情報を聞いて驚きの声を上げたのはアラッド……ではなく、パーティーメンバーのスティームだった。
その反応が普通であり、バカにされる反応ではない。
ただ……話を聞いたアラッドはおかしそうに笑い、既にこと切れているストールに憐みの目を向けた。
「ドラゴンになりきれなかった駄竜って感じですね」
「そうだね。ワイバーンの大群が襲いに行ったところで、仮に父さんが居なくてもなんとかなってしまうといのに」
二人の会話に、スティームとファルは首を傾げるしかなかった。
「ふっふっふ、なんだかよく解らないけど、面白い事になってるじゃない!!!!!!」
ワイバーンの大群と、それを統べるアサルフワイバーン。
何故かこれまでの街を全て無視し、狙っていたかのように現れた大量の亜竜たちを目前に……アラッドの母、アリサは息子と同じく非常に好戦的な笑みを浮かべていた。
「だ、団長。本当にアリサ様の参戦を許可して宜しかったのですか?」
「無駄な質問をするな。主が、フール様が参戦を認めたのだ。私たちがこれ以上何を行ったところで、止まるような方ではない。それに……お前たちもアリサ様の強さは十分身に染みて解っているだろ」
「そ、それはそうですが」
貴族夫人が決してお遊びとは言えない戦場に参加することなど、まずあり得ない。
しかし、アリサは例外中の例外に当てはまる人物。
既に年齢は四十代に突入したにもかかわらず、容姿は二十代半ばから後半。
鍛え上げられた肉体は全盛期を思わせる強さを放っていた。
「あれだけのワイバーンがこの街を狙っている、か……何か裏がありそうだな」
「ガル兄、何か裏があっても私たちにどうこう出来ることはないよね」
「残念ですが、レオナさんの言う通りです。今は、目の前の敵を倒すことだけに集中しましょう」
「はい! エリナ姉さん!!!」
「今日はいつもより調子が良かったから鍛冶に集中したかったんだけど……まぁ、しょうがないか」
当然、ガルシアたち五人も今回の討伐戦に参加する。
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