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四百三十八話 そこには一応惚れた
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「それじゃ、五人の活躍に……乾杯!!!!」
「「「「「乾杯!!!!」」」」」
全員一気にエールを飲み干し、速攻で二杯目のエールを注文。
ペースが早過ぎると思いながらも、数分後には三杯目のエールを注文するアラッド。
「なぁ、噂でアラッドがAランクのモンスターを倒したって話聞いたことがあるんだけど、それってマジなのか」
身を乗り出しながら訪ねてきたジョウグに、アラッドはAランクモンスターを倒したのは事実だと伝えた。
相変わらず一人では倒せなかったと口にするが、四人にとってはそんな事情は関係無い。
誰の手を借りようがまぐれであっても、Aランクモンスターという怪物をソロで討伐したという話題に大興奮。
「そういえば、アラッドは貴族なのよね。婚約者とかいないの?」
エスティーナが何気なく口にした話題に、同じく貴族であるスティームも興味を持った。
「気になるね。アラッドほどハイスペックなら、絶対に選ぶ側だよね」
嫌味は一ミリもなく、それが純粋なアラッドに対する評価だった。
「……いや、俺はそういうの興味なかったから、婚約者はいないぞ」
「そうなのかい? 君が興味なくとも、周りが放っておかないと思うんだけど」
「小さい頃から冒険者になるって明言してたからな」
アラッドらしいと思える理由に、スティームはなるほどと頷く。
一方で、貴族の暮らしは解らないが、冒険者の暮らしは解る四人もある程度理解した。
「ん~~、解らなくもないけど、アラッドぐらい強かったらそれでも付いて行こう!! って思う女なの子はいなかったの?」
「ルイーゼ、俺たちが付いてる職業は、いつ死ぬか分からない。そんな危険な度にわざわざついて来ようと思う令嬢がいると思うか」
「…………あんまりなさそうだね」
「そうだろ。ゼロとは断言できないが、まずいない」
ここで一つ、四人の中で一番総合的な戦闘力が高いジョウグが核心を突く言葉を口にする。
「てことは、あれか。やっぱり才能ある貴族の女たちでも、アラッドの実力には付いてこれないってことだな」
「女王? って異名が付いてる化け物を倒したんだよな。そりゃ確かについて来れるパートナーはいないか」
何名かは今でも隣に立てるように努力と実戦を重ねているが、パロンの言葉通り……現役騎士などを含めても、アラッドの隣に立てる女性の強者は殆どいない。
「ってことは、もしかして……アラッドはまだ恋愛をしたことがないのか?」
意外な弱点を見つけたと思い、ニヤッとした表情を浮かべるパロン。
同じくニヤニヤとした表情を浮かべる四人から答えを求められも……アラッドは平然とした表情で答える。
「そうだな……恋愛らしい恋愛はしたことない。ただ、惚れた人はいるな」
「「「「「ッ!?」」」」」
まさかの答えに、思わず全員食事の手を止めてしまう。
数秒後、おそるおそるエスティーナが候補を口にする。
「それって、もしかしてこの前話していたフローレンス・カルロスト?」
「違う」
ノータイムで違うと断言。
「あいつの強さには、確かに惚れた部分はある。歳が三つ上だとしても、あの強さは格別だ」
結晶でフローレンス・カルロストぶつかる前、アラッドは準決勝戦で三年生で二番目に強い男子学生と戦った。
実際に戦ったからこそ、フローレンス・カルロストさえいなければ彼が学生でトップだと言える。
同時に……可哀想な世代だとも思えた。
(あの精霊同化は本気でビビった。中途半端な状態だから良かったものの、完成した状態だったら……クロに頼らざるを得なかったな)
狂化には当然リスクがある。
精霊同化にも魔力の消費が激しいというデメリットはあるが、狂化と違って魔力が尽きるまで使い続けたとしても、暴走することはない。
アラッドとしては今後何処かで会ってみたいとは一ミリも思っていないが、再戦すれば今度は自分がヤバいという思いが強い。
「それじゃあ、誰に惚れたの!!??」
人並みに恋バナが好きなルイーゼは即座に尋ねた。
いったい怪物オブ怪物が惚れた異性は誰なのかと。
「教える訳ないだろ。結果として付き合ったりすることはなかったが、彼女の多くの部分に惚れた」
「ケチだな~。でも、やっぱりアラッドも童貞じゃなかったんだ」
「俺も男だからな。他の令息たちがそこら辺をどうしてるのかは知らないが、婚約者が初めての相手って言うのは……多分ないんじゃないか?」
ベルやリオたちと男らしい会話をしたことは何度もあるが、実体験の話までには発展したことがなかった。
(まっ、俺の時みたいに変装のマジックアイテムを使って店に行ってるか、家のメイドに相手をしてもらってるかのどちらかだろうな)
惚れた相手の件についてサラッと躱したアラッドだったが、宴会が終わるまで所々でスティームを含む五人に掘り起こされるも、最後の最後まで相手の名前を口にしなかった。
そして数時間後、パロンとルイーゼがほぼ酔い潰れたため、そこで解散。
「スティーム、まだ吞めるか?」
「もしかして惚れた相手について教えてくれるのかい」
「だから教えないって言ってるだろ。呑めないなら、こもまま解散で構わない」
「冗談だよ」
解散後、アラッドとスティーム二人だけで二次会へと移った。
「「「「「乾杯!!!!」」」」」
全員一気にエールを飲み干し、速攻で二杯目のエールを注文。
ペースが早過ぎると思いながらも、数分後には三杯目のエールを注文するアラッド。
「なぁ、噂でアラッドがAランクのモンスターを倒したって話聞いたことがあるんだけど、それってマジなのか」
身を乗り出しながら訪ねてきたジョウグに、アラッドはAランクモンスターを倒したのは事実だと伝えた。
相変わらず一人では倒せなかったと口にするが、四人にとってはそんな事情は関係無い。
誰の手を借りようがまぐれであっても、Aランクモンスターという怪物をソロで討伐したという話題に大興奮。
「そういえば、アラッドは貴族なのよね。婚約者とかいないの?」
エスティーナが何気なく口にした話題に、同じく貴族であるスティームも興味を持った。
「気になるね。アラッドほどハイスペックなら、絶対に選ぶ側だよね」
嫌味は一ミリもなく、それが純粋なアラッドに対する評価だった。
「……いや、俺はそういうの興味なかったから、婚約者はいないぞ」
「そうなのかい? 君が興味なくとも、周りが放っておかないと思うんだけど」
「小さい頃から冒険者になるって明言してたからな」
アラッドらしいと思える理由に、スティームはなるほどと頷く。
一方で、貴族の暮らしは解らないが、冒険者の暮らしは解る四人もある程度理解した。
「ん~~、解らなくもないけど、アラッドぐらい強かったらそれでも付いて行こう!! って思う女なの子はいなかったの?」
「ルイーゼ、俺たちが付いてる職業は、いつ死ぬか分からない。そんな危険な度にわざわざついて来ようと思う令嬢がいると思うか」
「…………あんまりなさそうだね」
「そうだろ。ゼロとは断言できないが、まずいない」
ここで一つ、四人の中で一番総合的な戦闘力が高いジョウグが核心を突く言葉を口にする。
「てことは、あれか。やっぱり才能ある貴族の女たちでも、アラッドの実力には付いてこれないってことだな」
「女王? って異名が付いてる化け物を倒したんだよな。そりゃ確かについて来れるパートナーはいないか」
何名かは今でも隣に立てるように努力と実戦を重ねているが、パロンの言葉通り……現役騎士などを含めても、アラッドの隣に立てる女性の強者は殆どいない。
「ってことは、もしかして……アラッドはまだ恋愛をしたことがないのか?」
意外な弱点を見つけたと思い、ニヤッとした表情を浮かべるパロン。
同じくニヤニヤとした表情を浮かべる四人から答えを求められも……アラッドは平然とした表情で答える。
「そうだな……恋愛らしい恋愛はしたことない。ただ、惚れた人はいるな」
「「「「「ッ!?」」」」」
まさかの答えに、思わず全員食事の手を止めてしまう。
数秒後、おそるおそるエスティーナが候補を口にする。
「それって、もしかしてこの前話していたフローレンス・カルロスト?」
「違う」
ノータイムで違うと断言。
「あいつの強さには、確かに惚れた部分はある。歳が三つ上だとしても、あの強さは格別だ」
結晶でフローレンス・カルロストぶつかる前、アラッドは準決勝戦で三年生で二番目に強い男子学生と戦った。
実際に戦ったからこそ、フローレンス・カルロストさえいなければ彼が学生でトップだと言える。
同時に……可哀想な世代だとも思えた。
(あの精霊同化は本気でビビった。中途半端な状態だから良かったものの、完成した状態だったら……クロに頼らざるを得なかったな)
狂化には当然リスクがある。
精霊同化にも魔力の消費が激しいというデメリットはあるが、狂化と違って魔力が尽きるまで使い続けたとしても、暴走することはない。
アラッドとしては今後何処かで会ってみたいとは一ミリも思っていないが、再戦すれば今度は自分がヤバいという思いが強い。
「それじゃあ、誰に惚れたの!!??」
人並みに恋バナが好きなルイーゼは即座に尋ねた。
いったい怪物オブ怪物が惚れた異性は誰なのかと。
「教える訳ないだろ。結果として付き合ったりすることはなかったが、彼女の多くの部分に惚れた」
「ケチだな~。でも、やっぱりアラッドも童貞じゃなかったんだ」
「俺も男だからな。他の令息たちがそこら辺をどうしてるのかは知らないが、婚約者が初めての相手って言うのは……多分ないんじゃないか?」
ベルやリオたちと男らしい会話をしたことは何度もあるが、実体験の話までには発展したことがなかった。
(まっ、俺の時みたいに変装のマジックアイテムを使って店に行ってるか、家のメイドに相手をしてもらってるかのどちらかだろうな)
惚れた相手の件についてサラッと躱したアラッドだったが、宴会が終わるまで所々でスティームを含む五人に掘り起こされるも、最後の最後まで相手の名前を口にしなかった。
そして数時間後、パロンとルイーゼがほぼ酔い潰れたため、そこで解散。
「スティーム、まだ吞めるか?」
「もしかして惚れた相手について教えてくれるのかい」
「だから教えないって言ってるだろ。呑めないなら、こもまま解散で構わない」
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