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四百話 違う笑み
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「来てくれてありがとう」
マジットに誘われた翌日、ギルド前で合流後……デートに行くことはなく、そのまま中へ入り、訓練場へ向かう。
「では、始める前に体を軽く動かそうか」
「あぁ、そうだな」
本日はデートや話し合い、食事がメインではなく、バチバチの模擬戦がメイン。
それはアラッドも理解しているため、浮かれた気持ちなど一切ない。
(……ちょっと、人数多くないか?)
マジリストンの訓練場には来たことがない。
そんなアラッドでも、周囲の同業者たちの数は、さすがに多過ぎないかと感じた。
その違和感は正しく、現在訓練場にはいつも以上の冒険者たちがいる。
一応訓練自体は行っているものの、正確にはデート? に誘われたアラッドの監視。
(構わないけど……あまり俺ばかりに視線を向けてたら、怪我するんじゃないか?)
アラッドの想像通り、目的の人物が訓練場に現れてから、ついよそ見に集中し過ぎてしまう者たちが、何度も不意にダメージを食らい、ダウンしていた。
「それじゃ、軽く始めようか」
「分かった」
「? 素手でやるのか」
マジットの中で、アラッドはロングソードを振るいながら、攻撃魔法も同時に発動する魔剣士のイメージが根付いている。
「あぁ、そうだけど……何か武器を使った方が良いか?」
素手で強い相手は、ガルシア以来。
己の五体のみを使って戦うのも得意なアラッドとしては、是非とも拳で戦いたいという思いがある。
(あいつ、マジットさん相手にマジか?)
(ロングソードの使い手、だろ?)
(あれ、でもあいつって確か……)
アラッドに嫉妬する多くのルーキーたちが忘れていた。
自分たちと同じルーキーをアラッドがオーガファイターを助けた時、決め手となったのは拳による攻撃ということを。
「なるほど。流石、という他ない、動きだ」
「マジットの方こそ、本当に現役を、引退してるのか?」
まだ魔力を纏う強化や、身体強化系のスキルは使用していない。
お互い素の状態で拳や蹴りを放つが、どちらも相手の攻撃を回避。
紙一重での回避もあるが、模擬戦が始まってから一分間は、お互いに掠りもしない攻避のやり取りが続いた。
そしてお互いに距離を取った瞬間、それが合図となり、身体強化のスキルを発動。
「「「「「「っ!!??」」」」」」
自分たちの訓練を忘れて観ていたルーキーたちは、思わず目を大きく見開く。
二人が行っている内容は先程までと大して変わらないが、明らかにスピード、パワーに攻撃のキレが格段に上がっている。
観戦中のルーキーたちの中にも己の五体を武器に戦う者がいるが、自身と違い過ぎるレベル差に……血が出ることなどお構いなしに握り拳に力を入れる。
(ガルシアの様な、荒々しさは、ない。ただ、元冒険者なのに、対人の格闘戦に、慣れ過ぎてる!)
(これほどまで、高いレベルで、格闘戦が行える、とは! 熱くなり過ぎないように、気を付けなければ!)
アラッドはアラッドで、そしてマジットはマジットで度々模擬戦ということを忘れそうになる。
マジットは今まで後輩との訓練で、闘争心に駆られたことは一度もない。
相手側が模擬戦ということを忘れ、マジットがその闘志に応えることはあったが、その逆はなかった。
だが、現在戦闘中の後輩は……確実に自身の闘争心に火を付ける実力を持っている。
手合わせしたことで、改めてその実力の高さ、練度を感じ取り……普段、後輩との模擬戦で浮かべる笑顔とは、全く違う笑顔を浮かべた。
そして先程の様に意図して距離を取ることなく、体に魔力を纏う。
「っ!」
アラッドは咄嗟に反応こそできたものの、模擬戦が始まってから発のヒット。
その場で威力を止めきることは出来ず、数メートルほど後方にとんだ。
「っ……要らない心配だったな」
先に魔力を纏うという戦闘力の強化を行ったことに対し、やってしまった感じ、アラッドの方に目を向けた……が、そこにはマジットと同じ笑みを浮かべる怪物がいた。
マジットに誘われた翌日、ギルド前で合流後……デートに行くことはなく、そのまま中へ入り、訓練場へ向かう。
「では、始める前に体を軽く動かそうか」
「あぁ、そうだな」
本日はデートや話し合い、食事がメインではなく、バチバチの模擬戦がメイン。
それはアラッドも理解しているため、浮かれた気持ちなど一切ない。
(……ちょっと、人数多くないか?)
マジリストンの訓練場には来たことがない。
そんなアラッドでも、周囲の同業者たちの数は、さすがに多過ぎないかと感じた。
その違和感は正しく、現在訓練場にはいつも以上の冒険者たちがいる。
一応訓練自体は行っているものの、正確にはデート? に誘われたアラッドの監視。
(構わないけど……あまり俺ばかりに視線を向けてたら、怪我するんじゃないか?)
アラッドの想像通り、目的の人物が訓練場に現れてから、ついよそ見に集中し過ぎてしまう者たちが、何度も不意にダメージを食らい、ダウンしていた。
「それじゃ、軽く始めようか」
「分かった」
「? 素手でやるのか」
マジットの中で、アラッドはロングソードを振るいながら、攻撃魔法も同時に発動する魔剣士のイメージが根付いている。
「あぁ、そうだけど……何か武器を使った方が良いか?」
素手で強い相手は、ガルシア以来。
己の五体のみを使って戦うのも得意なアラッドとしては、是非とも拳で戦いたいという思いがある。
(あいつ、マジットさん相手にマジか?)
(ロングソードの使い手、だろ?)
(あれ、でもあいつって確か……)
アラッドに嫉妬する多くのルーキーたちが忘れていた。
自分たちと同じルーキーをアラッドがオーガファイターを助けた時、決め手となったのは拳による攻撃ということを。
「なるほど。流石、という他ない、動きだ」
「マジットの方こそ、本当に現役を、引退してるのか?」
まだ魔力を纏う強化や、身体強化系のスキルは使用していない。
お互い素の状態で拳や蹴りを放つが、どちらも相手の攻撃を回避。
紙一重での回避もあるが、模擬戦が始まってから一分間は、お互いに掠りもしない攻避のやり取りが続いた。
そしてお互いに距離を取った瞬間、それが合図となり、身体強化のスキルを発動。
「「「「「「っ!!??」」」」」」
自分たちの訓練を忘れて観ていたルーキーたちは、思わず目を大きく見開く。
二人が行っている内容は先程までと大して変わらないが、明らかにスピード、パワーに攻撃のキレが格段に上がっている。
観戦中のルーキーたちの中にも己の五体を武器に戦う者がいるが、自身と違い過ぎるレベル差に……血が出ることなどお構いなしに握り拳に力を入れる。
(ガルシアの様な、荒々しさは、ない。ただ、元冒険者なのに、対人の格闘戦に、慣れ過ぎてる!)
(これほどまで、高いレベルで、格闘戦が行える、とは! 熱くなり過ぎないように、気を付けなければ!)
アラッドはアラッドで、そしてマジットはマジットで度々模擬戦ということを忘れそうになる。
マジットは今まで後輩との訓練で、闘争心に駆られたことは一度もない。
相手側が模擬戦ということを忘れ、マジットがその闘志に応えることはあったが、その逆はなかった。
だが、現在戦闘中の後輩は……確実に自身の闘争心に火を付ける実力を持っている。
手合わせしたことで、改めてその実力の高さ、練度を感じ取り……普段、後輩との模擬戦で浮かべる笑顔とは、全く違う笑顔を浮かべた。
そして先程の様に意図して距離を取ることなく、体に魔力を纏う。
「っ!」
アラッドは咄嗟に反応こそできたものの、模擬戦が始まってから発のヒット。
その場で威力を止めきることは出来ず、数メートルほど後方にとんだ。
「っ……要らない心配だったな」
先に魔力を纏うという戦闘力の強化を行ったことに対し、やってしまった感じ、アラッドの方に目を向けた……が、そこにはマジットと同じ笑みを浮かべる怪物がいた。
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