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三百七十一話 そろそろ別の場所に
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(もう、ゴルドスに滞在する意味はなさそうだな)
あまりルーキーがスタートするには相応しくなく、中堅どころが集まる街、ゴルドス。
街の周辺に生息するモンスターの強さを考えれば、その強さは解らなくもない。
Cランクのモンスターは決して珍しくなく、一日の間に数体も遭遇することだって珍しくない。
とはいえ、それだけではあまりアラッドの心は踊らない。
先日前に戦った、人の言葉を喋るオークシャーマンとの戦闘に関しては、それなりに冒険したという達成感を得た。
本来のランクよりも、何かしらの方法で強い力を手に入れ、後衛タイプらしくない強さを発揮し、アラッドを相手に善戦したといっても過言ではなかった。
その後の偶々受けた依頼に関しても、非常に満足していた。
結局オークシャーマンの様な強敵と戦うことはなく、その類と戦ったのは従魔のクロだったが、実際に初めてユニコーンを見ることが出来た、黒い体と捻じれた角を持つ変異体のケルピーを見ることが出来た。
当然変異体のケルピーの素材や魔石は亜空間に入っており、ユニコーンの角も合計二個手に入り、一つはアラッドの手にある。
冒険者として……錬金術師としても、美味しい体験ができた。
とはいえ、ゴルドス周辺にそれ以上の何かはなく……美味と噂の料理店はだいたい訪れたため、アラッドがこれ以上ゴルドスに滞在する意味はないと思うのも、むりはなかった。
(冒険者ランクはどの街にいても上げられる……そうなると、強いモンスターと戦うのが一番だよな)
ゴルドスは、ルーキーがスタートを始めるにはあまり相応しくなく、中堅冒険者が集まる街という理由で、最初に訪れる街として選んだ。
その情報通りの街であることは体感したが、これ以上の楽しさは手に入らない。
元々一つの街に長居するつもりはないため、依頼必要な素材を手に入れて帰ってきたアラッドは、直ぐに次の目的地について探し始めた。
「はぁ~~、あんまり良い情報はないな」
数日後、泊っている宿の食堂でうなだれているアラッド。
依頼を受けたり狩りをストップして、情報収集に専念しているのだが、これといってアラッドが興味をそそられる情報は見つからない。
一部、面白そうだと感じるものもあったが、そこまでの距離や、遭遇する可能性が決して低くないモンスターの強さなどを考え、選択肢から除外。
強いモンスターと戦いたいという思いはあるが、アラッドは死に場所を求めている訳ではない。
強力な味方、仲間であるクロという相棒もいるが、死ぬときはあっさり死んでしまう。
「よぅ。元気がないな、アラッド」
「どうも」
「中々良い情報が集まらないみたいだな」
「そうなんですよ。あんまり得意じゃないですけど、頑張って探してるんですけどね」
アラッドが仕事、狩りを行わずに情報を集めているという話は、冒険者内では既に広まっていた。
冒険者ギルドとしては、アラッド程有能な冒険者を他の街に行かせたくない……という思いはあるが、そんなことをすれば冒険者の象徴である自由を奪ってしまうことになる。
なので、アラッドにそれらの情報に関して尋ねても、無視したり嘘は付けない。
「本当かどうか分からねぇけど、面白い情報を手に入れたが、どうする?」
「一杯でも十杯でも奢ります」
「はっはっは! 話が早いな」
先輩冒険者の目、表情から嘘はないと判断し、アラッドは早速店員に一杯目のエールを頼んだ。
「実はな……ここ最近、墓から死体が盗まれる事件が起きてるんだよ。勿論、ゴルドスだけで起こってる事件じゃないぞ」
速攻で一杯目がなくなったため、即座に二杯目を注文。
「死体が盗まれる……もしかしなくても、悪い研究に使用されてる可能性が高いってことですか?」
「可能性は高いだろうな。一応、俺たちみたいなCランクにもそれとなく探ってくれって言われてるが、盗まれてる街が一つじゃないからな」
あまりにも捜索範囲が広いため、ギルドからの頼み通り、それとなく探ることしか出来ない。
だが……アラッドであれば、その常識を覆せた。
あまりルーキーがスタートするには相応しくなく、中堅どころが集まる街、ゴルドス。
街の周辺に生息するモンスターの強さを考えれば、その強さは解らなくもない。
Cランクのモンスターは決して珍しくなく、一日の間に数体も遭遇することだって珍しくない。
とはいえ、それだけではあまりアラッドの心は踊らない。
先日前に戦った、人の言葉を喋るオークシャーマンとの戦闘に関しては、それなりに冒険したという達成感を得た。
本来のランクよりも、何かしらの方法で強い力を手に入れ、後衛タイプらしくない強さを発揮し、アラッドを相手に善戦したといっても過言ではなかった。
その後の偶々受けた依頼に関しても、非常に満足していた。
結局オークシャーマンの様な強敵と戦うことはなく、その類と戦ったのは従魔のクロだったが、実際に初めてユニコーンを見ることが出来た、黒い体と捻じれた角を持つ変異体のケルピーを見ることが出来た。
当然変異体のケルピーの素材や魔石は亜空間に入っており、ユニコーンの角も合計二個手に入り、一つはアラッドの手にある。
冒険者として……錬金術師としても、美味しい体験ができた。
とはいえ、ゴルドス周辺にそれ以上の何かはなく……美味と噂の料理店はだいたい訪れたため、アラッドがこれ以上ゴルドスに滞在する意味はないと思うのも、むりはなかった。
(冒険者ランクはどの街にいても上げられる……そうなると、強いモンスターと戦うのが一番だよな)
ゴルドスは、ルーキーがスタートを始めるにはあまり相応しくなく、中堅冒険者が集まる街という理由で、最初に訪れる街として選んだ。
その情報通りの街であることは体感したが、これ以上の楽しさは手に入らない。
元々一つの街に長居するつもりはないため、依頼必要な素材を手に入れて帰ってきたアラッドは、直ぐに次の目的地について探し始めた。
「はぁ~~、あんまり良い情報はないな」
数日後、泊っている宿の食堂でうなだれているアラッド。
依頼を受けたり狩りをストップして、情報収集に専念しているのだが、これといってアラッドが興味をそそられる情報は見つからない。
一部、面白そうだと感じるものもあったが、そこまでの距離や、遭遇する可能性が決して低くないモンスターの強さなどを考え、選択肢から除外。
強いモンスターと戦いたいという思いはあるが、アラッドは死に場所を求めている訳ではない。
強力な味方、仲間であるクロという相棒もいるが、死ぬときはあっさり死んでしまう。
「よぅ。元気がないな、アラッド」
「どうも」
「中々良い情報が集まらないみたいだな」
「そうなんですよ。あんまり得意じゃないですけど、頑張って探してるんですけどね」
アラッドが仕事、狩りを行わずに情報を集めているという話は、冒険者内では既に広まっていた。
冒険者ギルドとしては、アラッド程有能な冒険者を他の街に行かせたくない……という思いはあるが、そんなことをすれば冒険者の象徴である自由を奪ってしまうことになる。
なので、アラッドにそれらの情報に関して尋ねても、無視したり嘘は付けない。
「本当かどうか分からねぇけど、面白い情報を手に入れたが、どうする?」
「一杯でも十杯でも奢ります」
「はっはっは! 話が早いな」
先輩冒険者の目、表情から嘘はないと判断し、アラッドは早速店員に一杯目のエールを頼んだ。
「実はな……ここ最近、墓から死体が盗まれる事件が起きてるんだよ。勿論、ゴルドスだけで起こってる事件じゃないぞ」
速攻で一杯目がなくなったため、即座に二杯目を注文。
「死体が盗まれる……もしかしなくても、悪い研究に使用されてる可能性が高いってことですか?」
「可能性は高いだろうな。一応、俺たちみたいなCランクにもそれとなく探ってくれって言われてるが、盗まれてる街が一つじゃないからな」
あまりにも捜索範囲が広いため、ギルドからの頼み通り、それとなく探ることしか出来ない。
だが……アラッドであれば、その常識を覆せた。
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