スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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三百六十一話 それは制限にならない

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「……まぁ、まだ問題無いような」

目撃情報があった森に到着。

現在の時刻は完全に昼を過ぎ……あと数時間も経てば、日が沈み始める。

「クロ、なるべく存在感を薄めてといてくれ」

「ワゥ!」

存在感を薄くするだけではなく、体も小さくすることで、Aランクモンスターという印象は限りなく薄くさせる。

勿論、アラッドもなるべく自身の強さを表に出さないように心がけ、森の中を移動。

ユニコーンの角を手に入れるには、森の中の水飲み場で水を飲みに来る瞬間をじっと待つのが得策。
そう考える者は少なくなく、実際に体力を消耗しない方法なので、アラッドも悪くはないと思っている。

(ありと言えばありなんだが、そうなると……完全に殺気を抑えられる気がしないんだよな)

実際に殺すつもりは一ミリもない。
だが、標的を狙う状態となれば、必然的にそういった意思が体から無意識に零れる。

完全な暗殺者スタイルで戦っている訳ではないので、個人的にその方法は合ってないと判断。
そのため、歩き回った結果ただスタミナを消耗するだけかもしれないが、地道に歩いて探し回る方が自分に合っていると判断。

(まっ、スマホやゲームもないのに長時間、一つの場所で待ち続けるってのは無理なんだよな。って、標的を狙うならスマホやゲームで遊んでられないか)

兎にも角にも、ユニコーンが一定の場所に現れるのを待つスタイルは、アラッドには合わない。

今後の予定が特にないこともあり、絶対に見つけてやろうという思いで動く。
とはいえ、森の中にいるモンスターはユニコーンだけではない。

「グゥアアアアアッ!!!!」

「こいつは、フォレストグリズリーだったか」

緑色の毛を持つ巨大な熊。
ランクはCと、その巨体に見合うだけの強さを有している。

「ワゥ!!」

「おっ、戦る気か? それじゃ、任せるぞ」

「ワゥッ!!!!」

久しぶりに体を動かしたいと思い、クロは主人に自分が戦いたいと申し出た。

そして許可を貰い……元の姿には戻らず、自身に制限を掛けたままフォレストグリズリーとの戦闘を始めた。
少しでもユニコーンに気付かれない為に、体の大きさも変化させているため、現在はフォレストグリズリーよりも小さい。

身体能力はそこまで下がっていないが、それでも制限がある状態と言っても過言ではない。

(制限を掛けた戦いか……次それなりに戦える奴と遭遇したら、糸だけで戦うか?)

自身の制限内容を幾つか思い付いたが、糸だけを使って戦うという内容だけに関しては、全く制限になっていないと思い、選択肢から消した。

「ワゥ!!」

「終わったか。よし、解体するからちょっと見張っててくれ」

慣れた手つきで解体していき、再びユニコーン探しをスタート。

日が暮れるまで探し続けたが、本日は結局見つからず、タイムアップ。
開けて平らな場所を探し、野営の準備を始める。

「ふふ、美味いか」

「ワフっ!」

昼過ぎ頃にクロが倒したフォレストグリズリーの肉を焼いて味付け。
それがメインの夕食となり、ゆったり風呂まで入ってさっぱりしたアラッドは、見張りをクロに任せてテントの中に入った。

(依頼が終わったら、美味い飯を食べさせてやらないとな)

翌日の行動を考えながらベッドに入るが、数分後には夢の中へダイブ。

「今日も気張って探すか」

快眠から覚め、朝食を食べ終えれたら即探索をスタート。

森を探索できる時間は、昨日以上にある。
小さな変化を見逃さない為に歩いて移動しているが、それでも先日よりも広い範囲を捜索できる。

待つために向かう訳ではないが、モンスターたちの水飲み場であろう場所に足を運ぶ。

しかし……あっという間に昼過ぎになったが、ユニコーンの足跡すら見つからない状況が続いていた。

「……まっ、焦りは禁物だよな」

焦っても仕方ないと自身に言い聞かせ、心を落ち着かせる。

少し遅めの昼食にしようと思った瞬間、ソウスケはとある方向に目を向けた。
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