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三百五十七話 本当に偶々なのか
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「クロ、いけるか?」
「ワゥ!!」
悪くない言い訳を考え付いたアラッドは、リネアたちと共にゴルドスへと戻る。
当然、中々距離が遠いので、クロの背中に乗って移動。
人数は合計で五人だが、サイズ調整をすれば問題無く移動可能。
バランス調整は少々難しいが、スピードを落とせば誰かを落としてしまうことはない。
普段よりも移動スピードは落ちるが、スタミナなどを考えれば、五人で歩幅を合わせて移動するよりもよっぽど早く到着できる。
「お、おい。あれ!!!!」
大きな狼系モンスター……デルドウルフの背中に乗って向かってくるアラッドたちを確認し、門兵たちは仕事を忘れて喜んだ!!!
「リネア様、よくぞご無事で!!!!」
「アラッドさんが駆けつけてくれたからな。そのお陰で、私たちは無事に戻ってくることが出来た」
領主の娘が、護衛も含めて五体満足の状態で戻ってきた。
この知らせは直ぐにギルド、領主の元へ届く。
そして娘を非常に心配していた領主は、普段の厳格な雰囲気を取っ払い、妻と共にリネアの元へ猛ダッシュ。
「と、父様! 恥ずかしいから、止めて!!!」
「本当に、本当に良かった!!!」
ギルドで依頼達成の確認などを行っている最中に、領主が妻と共にギルドへ到着。
娘が嫌がる様子を無視し、涙を流しながら抱きしめ続けた。
「ふぅ~~~……アラッド殿、あなたのお陰で娘は救われたと聞いた」
「どうも。ですが、リネア嬢や護衛たちがモンスターの襲撃に何とか耐えていたからこそ、自分の救援が間に合いました」
言い訳の話上、そういった言葉を返すのがベストであり、少しでも良い訳を事実に変えられるチャンスでもあった。
「そうか……それでも、君が救援に向かわなければ、娘たちの命はなかった。本当に、感謝する」
きっちり九十度……とまではいかないが、腰を四十五度まで折り、感謝の意を示した。
「冒険者なので、依頼を達成に全力を尽くすのは当然のことです」
それらしい言葉を返し、即座に頭を上げてもらう。
領主が本当に、心の底から感謝してもしきれないほど、今回の一件に対して、自分に感謝しているという事は解る。
それは解るが、あまり人の目がある場所で下げ続けさせるのは良くないと思い、ささっと返事をして頭を上げてもらった。
「とりあえず、詳しい話をしましょう」
領主も含め、ゴルドスのギルドマスターも含めて、今回の一件に関して……真実も含めながら嘘を伝えた。
「そうか……そんな個体がいたのか」
「後で解体所でお見せします。正直なところ、もしそのオークシャーマンが余裕ぶって遊んでいなければ、リネア嬢たちの命は危なかったです」
アラッドの言葉に同意するように、リネアは当時の恐怖を思い出し、僅かに振るえた。
後方から戦いを見ていたが、目で追うので精一杯。
理解出来ない内容もあり、もしオークシャーマンが自分たちを何かに利用するつもりがなかったら……そう考えるだけで、再度体が震える。
「だろうな。ところで、オークシャーマンは本当に他の同種を成長させる力を持っていたのか?」
ギルドマスターは、ソウスケからの報告内容の中で、そこが一番気がかりだった。
人……もしくは女性の肉体、命を利用して同種を成長させる能力。
もしその力が、偶々オークシャーマンだけが有していたのではなく、他のモンスターも会得……もしくは授かる可能性があるのなら、ゾッとする光景が浮かぶ。
「今まで戦ってきたオークの上位種達と比べて、一回り……とは言い切れませんが、確実に体が大きかったです。加えて、身体能力も確実に平均以上。最後にシャーマンが自身に何かしらの魔法、術を施して自己強化した点を考えれば、決して不可能ではないかと」
今回のオークシャーマンが本当に偶々特別だったのかもしれない。
ギルドマスターとしても、領主としてもきっとそうなのだろうと願いたいところだが……現実は自分たちの意志通りに、都合良くいかないことを大人たちは知っていた。
「ワゥ!!」
悪くない言い訳を考え付いたアラッドは、リネアたちと共にゴルドスへと戻る。
当然、中々距離が遠いので、クロの背中に乗って移動。
人数は合計で五人だが、サイズ調整をすれば問題無く移動可能。
バランス調整は少々難しいが、スピードを落とせば誰かを落としてしまうことはない。
普段よりも移動スピードは落ちるが、スタミナなどを考えれば、五人で歩幅を合わせて移動するよりもよっぽど早く到着できる。
「お、おい。あれ!!!!」
大きな狼系モンスター……デルドウルフの背中に乗って向かってくるアラッドたちを確認し、門兵たちは仕事を忘れて喜んだ!!!
「リネア様、よくぞご無事で!!!!」
「アラッドさんが駆けつけてくれたからな。そのお陰で、私たちは無事に戻ってくることが出来た」
領主の娘が、護衛も含めて五体満足の状態で戻ってきた。
この知らせは直ぐにギルド、領主の元へ届く。
そして娘を非常に心配していた領主は、普段の厳格な雰囲気を取っ払い、妻と共にリネアの元へ猛ダッシュ。
「と、父様! 恥ずかしいから、止めて!!!」
「本当に、本当に良かった!!!」
ギルドで依頼達成の確認などを行っている最中に、領主が妻と共にギルドへ到着。
娘が嫌がる様子を無視し、涙を流しながら抱きしめ続けた。
「ふぅ~~~……アラッド殿、あなたのお陰で娘は救われたと聞いた」
「どうも。ですが、リネア嬢や護衛たちがモンスターの襲撃に何とか耐えていたからこそ、自分の救援が間に合いました」
言い訳の話上、そういった言葉を返すのがベストであり、少しでも良い訳を事実に変えられるチャンスでもあった。
「そうか……それでも、君が救援に向かわなければ、娘たちの命はなかった。本当に、感謝する」
きっちり九十度……とまではいかないが、腰を四十五度まで折り、感謝の意を示した。
「冒険者なので、依頼を達成に全力を尽くすのは当然のことです」
それらしい言葉を返し、即座に頭を上げてもらう。
領主が本当に、心の底から感謝してもしきれないほど、今回の一件に対して、自分に感謝しているという事は解る。
それは解るが、あまり人の目がある場所で下げ続けさせるのは良くないと思い、ささっと返事をして頭を上げてもらった。
「とりあえず、詳しい話をしましょう」
領主も含め、ゴルドスのギルドマスターも含めて、今回の一件に関して……真実も含めながら嘘を伝えた。
「そうか……そんな個体がいたのか」
「後で解体所でお見せします。正直なところ、もしそのオークシャーマンが余裕ぶって遊んでいなければ、リネア嬢たちの命は危なかったです」
アラッドの言葉に同意するように、リネアは当時の恐怖を思い出し、僅かに振るえた。
後方から戦いを見ていたが、目で追うので精一杯。
理解出来ない内容もあり、もしオークシャーマンが自分たちを何かに利用するつもりがなかったら……そう考えるだけで、再度体が震える。
「だろうな。ところで、オークシャーマンは本当に他の同種を成長させる力を持っていたのか?」
ギルドマスターは、ソウスケからの報告内容の中で、そこが一番気がかりだった。
人……もしくは女性の肉体、命を利用して同種を成長させる能力。
もしその力が、偶々オークシャーマンだけが有していたのではなく、他のモンスターも会得……もしくは授かる可能性があるのなら、ゾッとする光景が浮かぶ。
「今まで戦ってきたオークの上位種達と比べて、一回り……とは言い切れませんが、確実に体が大きかったです。加えて、身体能力も確実に平均以上。最後にシャーマンが自身に何かしらの魔法、術を施して自己強化した点を考えれば、決して不可能ではないかと」
今回のオークシャーマンが本当に偶々特別だったのかもしれない。
ギルドマスターとしても、領主としてもきっとそうなのだろうと願いたいところだが……現実は自分たちの意志通りに、都合良くいかないことを大人たちは知っていた。
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