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三百三十八話 卒倒もの
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「おい、てめぇ。あんま調子に乗ってんじゃねぇぞ」
「……」
目の前に立ちふさがった四人の内、リーダー格の少年がアラッドに向かって「調子に乗ってんじゃねぇぞ」と告げた。
この光景に、アラッドの素性を知っているギルド職員たちは、卒倒しそうになった。
「お前が強がれてんのは、あの従魔のお陰だろ!!」
「クロのことか。そうだな、あいつは強いよ」
ブラックウルフの頃に出会い、トロル亜種との一件でデルドウルフというAランクモンスターに存在進化を果たした。
Aランクモンスターが冒険者になりたてのルーキーより弱いわけがなく、紛れもない事実。
故に……アラッドが冒険者になりたてのルーキーらしからぬ振る舞いが出来ているのも、その従魔のお陰だと断言した。
その少年のパーティーメンバーも同じことを思っており、他のルーキーたちも同じ考えを持っていた。
ただ、先日アラッドの殺気を直に感じた先輩冒険者だけが「あいつら死んだな」と思い、心の中で彼らに合掌を送っていた。
「っ! 冒険者になりたてのくせに、粋がってんじゃねぇつってんだよ!!!」
「……はっはっは!! はっはっはっはっは!!!!!」
「「「「っ!?」」」」
いきなり笑い出した生意気なルーキー。
アラッドが突然笑ったことで、周囲の冒険者たちもギョっとし、気でも狂ったかと思い始めた。
本人は全く狂ってなどいない。
自分があまり貴族らしくないというのは自覚しているが、それでも立場は侯爵家の三男。
騎士の爵位も持っており、普通は冒険者登録した時期が先とはいえ、ルーキーが大口を叩ける相手ではない。
そんな自分に対して「調子に乗ってんじゃねぇ!!!」「粋がってんじゃねぇ!!!」と、大真面目な表情でぶつけてきた。
普通に考えれば不敬なのだが、アラッドはそんなルーキーたちが非常に面白く感じた。
(まっ、冒険者になりたて……いや、ベテランでも興味がなければ、俺がどういった人間なのか、そこまで詳しく知らないよな)
そもそも、いずれは目の前の少年の様な同業者がぶつかってくるとは予想していた。
予想はしていたが……いざ目の前に現れると、面白くて笑ってしまう。
「な、何がおかしいんだ!!!! 俺の言葉が聞こえてなかったのか!!!!!」
「いや、聞こえてるよ。これだけ距離が近いんだから、聞こえてるに決まってるだろ」
目の前の同じルーキーが、どういった意図で自分にその様な発言をしてきたのか、おおよそ予想は出来ている。
「ただ、それでも俺の立場からすれば、面白いんだよ」
「ッ!!!!!」
アラッドの口から本心が零れると、リーダー格の少年は……無意識に得物に手を伸ばしていた。
「おっと、それは止めた方が良い」
得物を抜く前に、アラッドは手を前に出し、ストップの合図をした。
「んだよ、やっぱり腰抜けか。従魔に助けてもらってばっかりで、本気でぶつかることなんて出来ないんだろ!!!」
「全然そんなことはないんだけどさ。あんまり、簡単に自分の得物は良くないと思うんだよ。だって、こんな状況で負けたら、一生ものの恥だろ」
これは、相手の少年を思っての言葉だった。
その言葉がどちらにしろ、少年を傷付ける可能性があるというのは理解している。
しかし、人間は言葉にして貰わないと解らないことが多い。
今現在、自身がどの様な状況に置かれているのか。
アラッドは善意でリーダー格の少年に伝えた。
「ッ~~~~~~!!!! ふざけんな!!!!!」
結局は怒りの燃料を投下するだけで終わってしまったが、気付いたときには目の前から消えていた。
「それと、俺はあまりそういう態度を気にしないけど、他の令息や令嬢にそんな態度を取ったら、その場でぶった斬られるかもしれないから、少しは気を付けた方が良いぞ」
アラッドは一瞬の間に少年たちの後方に移動し、アドバイスを告げてギルドから出て行った。
「……」
目の前に立ちふさがった四人の内、リーダー格の少年がアラッドに向かって「調子に乗ってんじゃねぇぞ」と告げた。
この光景に、アラッドの素性を知っているギルド職員たちは、卒倒しそうになった。
「お前が強がれてんのは、あの従魔のお陰だろ!!」
「クロのことか。そうだな、あいつは強いよ」
ブラックウルフの頃に出会い、トロル亜種との一件でデルドウルフというAランクモンスターに存在進化を果たした。
Aランクモンスターが冒険者になりたてのルーキーより弱いわけがなく、紛れもない事実。
故に……アラッドが冒険者になりたてのルーキーらしからぬ振る舞いが出来ているのも、その従魔のお陰だと断言した。
その少年のパーティーメンバーも同じことを思っており、他のルーキーたちも同じ考えを持っていた。
ただ、先日アラッドの殺気を直に感じた先輩冒険者だけが「あいつら死んだな」と思い、心の中で彼らに合掌を送っていた。
「っ! 冒険者になりたてのくせに、粋がってんじゃねぇつってんだよ!!!」
「……はっはっは!! はっはっはっはっは!!!!!」
「「「「っ!?」」」」
いきなり笑い出した生意気なルーキー。
アラッドが突然笑ったことで、周囲の冒険者たちもギョっとし、気でも狂ったかと思い始めた。
本人は全く狂ってなどいない。
自分があまり貴族らしくないというのは自覚しているが、それでも立場は侯爵家の三男。
騎士の爵位も持っており、普通は冒険者登録した時期が先とはいえ、ルーキーが大口を叩ける相手ではない。
そんな自分に対して「調子に乗ってんじゃねぇ!!!」「粋がってんじゃねぇ!!!」と、大真面目な表情でぶつけてきた。
普通に考えれば不敬なのだが、アラッドはそんなルーキーたちが非常に面白く感じた。
(まっ、冒険者になりたて……いや、ベテランでも興味がなければ、俺がどういった人間なのか、そこまで詳しく知らないよな)
そもそも、いずれは目の前の少年の様な同業者がぶつかってくるとは予想していた。
予想はしていたが……いざ目の前に現れると、面白くて笑ってしまう。
「な、何がおかしいんだ!!!! 俺の言葉が聞こえてなかったのか!!!!!」
「いや、聞こえてるよ。これだけ距離が近いんだから、聞こえてるに決まってるだろ」
目の前の同じルーキーが、どういった意図で自分にその様な発言をしてきたのか、おおよそ予想は出来ている。
「ただ、それでも俺の立場からすれば、面白いんだよ」
「ッ!!!!!」
アラッドの口から本心が零れると、リーダー格の少年は……無意識に得物に手を伸ばしていた。
「おっと、それは止めた方が良い」
得物を抜く前に、アラッドは手を前に出し、ストップの合図をした。
「んだよ、やっぱり腰抜けか。従魔に助けてもらってばっかりで、本気でぶつかることなんて出来ないんだろ!!!」
「全然そんなことはないんだけどさ。あんまり、簡単に自分の得物は良くないと思うんだよ。だって、こんな状況で負けたら、一生ものの恥だろ」
これは、相手の少年を思っての言葉だった。
その言葉がどちらにしろ、少年を傷付ける可能性があるというのは理解している。
しかし、人間は言葉にして貰わないと解らないことが多い。
今現在、自身がどの様な状況に置かれているのか。
アラッドは善意でリーダー格の少年に伝えた。
「ッ~~~~~~!!!! ふざけんな!!!!!」
結局は怒りの燃料を投下するだけで終わってしまったが、気付いたときには目の前から消えていた。
「それと、俺はあまりそういう態度を気にしないけど、他の令息や令嬢にそんな態度を取ったら、その場でぶった斬られるかもしれないから、少しは気を付けた方が良いぞ」
アラッドは一瞬の間に少年たちの後方に移動し、アドバイスを告げてギルドから出て行った。
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