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三百二十九話 バキバキに折ってやってくれ
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「悪いな、アラッド。バカ共がどうしてもと聞かなくてよ」
「負けん気が強いのは良いことだが、あの戦いを見ても君が騎士の爵位を持つことに不満を持つのは、私としても関心ないところなんだがな」
「は、ははは。そうなんですね」
王国に属する複数の騎士団の内、二つの騎士団団長に挟まれるアラッド。
フールからも、その二人については知らされているので、相変わらず緊張の糸が解けない。
ちなみに、今回は万が一……新人騎士たちがアラッドの勝利に文句を付けない為に、国王が試合に場に同席する。
「だからよ、骨の一本や二本折ってくれても構わねぇからな。なんなら、手足全部折っても構わねぇぞ」
「っ!?」
「そうだね。治癒師が治療すれば、それぐらいの傷は短時間で治る。彼らには、それぐらいの苦痛という名の良薬が必要だろう」
「っ!!!???」
アラッドは騎士団長二人の言葉に、何度も目を瞬きして驚く。
(……騎士団長、なんだよな?)
自分の団に所属する騎士たちを、ボコボコにして欲しい。
骨の一本や二本、手足全てを折ってくれても構わないと言われた。
王城に属する治癒師であれば、確かに骨折ぐらいの傷は即座に治せる。
だが、その痛みは並ではない。
頭のネジが一本か二本外れた者であれば、無理矢理体を動かせるだろう。
そういったスキルも存在する。
しかし、騎士になったばかりの新人では、折れた時点でアウト。
(まっ、そうなるかもしれないと予想していたとはいえ、難癖付けてきたことに対して、怒りがない訳じゃない)
確かに、狂化を使い始めてからの戦闘スタイルは、騎士らしくはない。
最後のフローレンスを降伏させた方法も、騎士らしからぬものだったのは認めている。
認めたくない気持ちを持つことは咎められないが……難癖を付けられると、あの戦いを否定された気持ちになる。
フローレンス・カルロストに対して、未だに知人としての好意は持っていない。
それでも……あの戦いは、今までの人生の中で、最高に素晴らしく……熱い、記憶に残り続ける戦いだったのは間違いない。
「分かりました。正式に騎士の爵位が貰えるよう、全力を尽くします」
「うむ、そうしてくれ」
「あのバカたちに、世界の広さと……最終的に必要なものは、絶対的な力だと教えてやってくれ」
アラッドを挟んで喋る二人の団長は、奔放と真面目。ワイルドとクール。
パッと見、外見や中身はかなり違う。
その直感通り、二人は話し合えば意見がぶつかり合うことが多い。
そんな二人でも……騎士として、民を守る者として最終的に必要な要素は、絶対的な力。
力がなければ、何も成し遂げられず、守ることも出来ない。
根っこが同じな二人だからこそ、是非ともアラッドには自分の騎士団に入団してほしいという思いが強かった。
「それでは、頼むぞ」
訓練場に到着すると、明らかにアラッドに対して不満を持つ騎士たちがいたが……国王が訪れたと解ると、これま目玉が飛び出そうなほど驚き、即座に膝をついた。
「よい。準備が終われば、直ぐに始めるのだ」
そう告げられると、アラッドは早速体を動かし始めた。
ただ……特に素振りや、シャドーを行うことはなく、ただただ柔軟運動を繰り返した。
(あいつらに、少しでも生の動きを見せる必要はない)
負けるつもりはない……とはいえ、相手は一応現役の騎士。
嘗めて挑めば、足元を刈られてしまう。
今回の試合……結果どうなると、消化試合であることに変わりはない。
結果がどうであれ、アラッドが騎士の爵位を授与することは確定済み。
それはアラッドも何となく予想できているが、やはり男として……戦闘者として、負けられない気持ちで一杯。
「準備出来ました」
試合で扱う武器は真剣。
アラッドの武器だけ細工がされている、なんて不利な状況ではない。
ただ、普通に考えればやり過ぎだが……アラッドはその提案に、一切戸惑うことなく了承し、静かに構えた。
「負けん気が強いのは良いことだが、あの戦いを見ても君が騎士の爵位を持つことに不満を持つのは、私としても関心ないところなんだがな」
「は、ははは。そうなんですね」
王国に属する複数の騎士団の内、二つの騎士団団長に挟まれるアラッド。
フールからも、その二人については知らされているので、相変わらず緊張の糸が解けない。
ちなみに、今回は万が一……新人騎士たちがアラッドの勝利に文句を付けない為に、国王が試合に場に同席する。
「だからよ、骨の一本や二本折ってくれても構わねぇからな。なんなら、手足全部折っても構わねぇぞ」
「っ!?」
「そうだね。治癒師が治療すれば、それぐらいの傷は短時間で治る。彼らには、それぐらいの苦痛という名の良薬が必要だろう」
「っ!!!???」
アラッドは騎士団長二人の言葉に、何度も目を瞬きして驚く。
(……騎士団長、なんだよな?)
自分の団に所属する騎士たちを、ボコボコにして欲しい。
骨の一本や二本、手足全てを折ってくれても構わないと言われた。
王城に属する治癒師であれば、確かに骨折ぐらいの傷は即座に治せる。
だが、その痛みは並ではない。
頭のネジが一本か二本外れた者であれば、無理矢理体を動かせるだろう。
そういったスキルも存在する。
しかし、騎士になったばかりの新人では、折れた時点でアウト。
(まっ、そうなるかもしれないと予想していたとはいえ、難癖付けてきたことに対して、怒りがない訳じゃない)
確かに、狂化を使い始めてからの戦闘スタイルは、騎士らしくはない。
最後のフローレンスを降伏させた方法も、騎士らしからぬものだったのは認めている。
認めたくない気持ちを持つことは咎められないが……難癖を付けられると、あの戦いを否定された気持ちになる。
フローレンス・カルロストに対して、未だに知人としての好意は持っていない。
それでも……あの戦いは、今までの人生の中で、最高に素晴らしく……熱い、記憶に残り続ける戦いだったのは間違いない。
「分かりました。正式に騎士の爵位が貰えるよう、全力を尽くします」
「うむ、そうしてくれ」
「あのバカたちに、世界の広さと……最終的に必要なものは、絶対的な力だと教えてやってくれ」
アラッドを挟んで喋る二人の団長は、奔放と真面目。ワイルドとクール。
パッと見、外見や中身はかなり違う。
その直感通り、二人は話し合えば意見がぶつかり合うことが多い。
そんな二人でも……騎士として、民を守る者として最終的に必要な要素は、絶対的な力。
力がなければ、何も成し遂げられず、守ることも出来ない。
根っこが同じな二人だからこそ、是非ともアラッドには自分の騎士団に入団してほしいという思いが強かった。
「それでは、頼むぞ」
訓練場に到着すると、明らかにアラッドに対して不満を持つ騎士たちがいたが……国王が訪れたと解ると、これま目玉が飛び出そうなほど驚き、即座に膝をついた。
「よい。準備が終われば、直ぐに始めるのだ」
そう告げられると、アラッドは早速体を動かし始めた。
ただ……特に素振りや、シャドーを行うことはなく、ただただ柔軟運動を繰り返した。
(あいつらに、少しでも生の動きを見せる必要はない)
負けるつもりはない……とはいえ、相手は一応現役の騎士。
嘗めて挑めば、足元を刈られてしまう。
今回の試合……結果どうなると、消化試合であることに変わりはない。
結果がどうであれ、アラッドが騎士の爵位を授与することは確定済み。
それはアラッドも何となく予想できているが、やはり男として……戦闘者として、負けられない気持ちで一杯。
「準備出来ました」
試合で扱う武器は真剣。
アラッドの武器だけ細工がされている、なんて不利な状況ではない。
ただ、普通に考えればやり過ぎだが……アラッドはその提案に、一切戸惑うことなく了承し、静かに構えた。
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