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二百八十三話 木箱?
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「アラッド、君に手紙が来ている」
「手紙、ですか」
「あぁ、そうだ。しっかりと読むんだぞ」
教師から渡されたのは封筒……が、入った箱だった。
「……箱、だよな?」
「箱だな」
「箱ね」
全員、教師から渡された物に関して、手紙ではなく箱という認識は同じだった。
(何故に普通の手紙ではないんだ? もしかして、恐ろしいデザインの封筒? …………駄目だ、ぱっと出てこないな)
いったい何故箱を渡されたのか、直ぐに答えは出てこなかった。
とりあえず木箱をテーブルの上に置き、まずは夕食を済ませる。
そして木箱は亜空間の中に入れ、入浴後に自室で教師から渡された木箱を開けた。
すると、中には教師に言われた通り、手紙が入っていた。
「っ……なるほどな。そりゃ木箱に入れて渡される訳だ」
アラッドは手紙の封の部分を見て、直ぐに手紙が木箱に入っている理由を納得した。
封には王印が記されていた。
(国王陛下からか? でも、既にキャバリオンに関してはきっちり送ったんだけどな)
キャバリオンの存在は、既に国王陛下の耳にも入っており、アラッドには特別依頼が届いた。
素材などは全て国王が持つので、とびっきりの一品を造って欲しいと。
その為に用意されたモンスターの素材や鉱石はどれも、思わず涎が出そうなほどの超高級品ばかり。
国王からは余った素材は好きに使ってくれ、という優しさが手紙に記されていたが、アラッドは国王陛下専用のキャバリオン制作に用意された素材を全てつぎ込んだ。
結果、ランク九のフール専用である赤龍帝を超える一品が完成した。
そんな今でも最高傑作として君臨し続けるキャバリオンを送られた国王は、アラッドに大金……加えて、錬金術の素材として使えそうな宝石や鉱石などを大量に報酬として送った。
「フィリアス様からか」
しかし、手紙の主は予想していた国王陛下ではなく、その娘である王女のフィリアスだった。
偶々街中で出会った時以降、数回だけアラッドはフィリアスと会い、互いの近況について紅茶を飲みながら語り合ったことがある。
「……………………その日は、空いてそうだな」
学園に入学するまでの近況と、入学してからの日々についての感想。
そして最後に、指定の日にまたお茶しながら話せないかと記されていた。
(この日は確かに、なにも予定が入っていなかったな。というか、予定が入っていたとしても、こちらの約束を優先しないとって話だ)
フィリアスとしては、指定した日ではない別の日付でも構わないが……基本的に周囲の大人がそれを許さない。
「忘れる前に返事を書かないとな」
ベッドから腰を上げ、椅子に座って早速手紙の返事を書き始める。
フィリアスと同じく学園に入学する前の近況に加えて、学園に入学してからの出来事……に関しては、言葉をマイルドにして記す。
そして最後に二人でのお茶を了承する言葉を知るし、就寝前に既にしっかりと面識がある教師に手紙の送付を頼む。
後日、無事に手紙がフィリアスの元に届いた。
そして当日、フィリアスの手紙に記されていた場所まで赴くアラッド。
「……これ、絶対に普通の木じゃないだろ」
とある喫茶店の前に到着したアラッドは、喫茶店の素材として使用されている木に興味を惹かれる。
(トレント系の木か……それとも、一般的には手に入らない系統の木材か?)
少々恐ろしい雰囲気が漂っており、アラッドとしてはおいそれと魔眼の鑑定効果を使えなかった。
「アラッド様ですね。中へどうぞ」
「あ、どうも」
店の前に到着したアラッドの前に店の店員が現れ、中へと案内。
中へ入ったアラッドはそのまま個室へと通された。
「あの人、絶対に強いよな……勝てるか?」
店の店員と戦うような事態に発展するとは思っていないが、アラッドは店員の隠れた強者のオーラをギリギリ感知し、その強さに驚きを隠せなかった。
色々な事情がある店なのだろうと考えていると、約束の十分前にフィリアスが喫茶店に到着した。
「手紙、ですか」
「あぁ、そうだ。しっかりと読むんだぞ」
教師から渡されたのは封筒……が、入った箱だった。
「……箱、だよな?」
「箱だな」
「箱ね」
全員、教師から渡された物に関して、手紙ではなく箱という認識は同じだった。
(何故に普通の手紙ではないんだ? もしかして、恐ろしいデザインの封筒? …………駄目だ、ぱっと出てこないな)
いったい何故箱を渡されたのか、直ぐに答えは出てこなかった。
とりあえず木箱をテーブルの上に置き、まずは夕食を済ませる。
そして木箱は亜空間の中に入れ、入浴後に自室で教師から渡された木箱を開けた。
すると、中には教師に言われた通り、手紙が入っていた。
「っ……なるほどな。そりゃ木箱に入れて渡される訳だ」
アラッドは手紙の封の部分を見て、直ぐに手紙が木箱に入っている理由を納得した。
封には王印が記されていた。
(国王陛下からか? でも、既にキャバリオンに関してはきっちり送ったんだけどな)
キャバリオンの存在は、既に国王陛下の耳にも入っており、アラッドには特別依頼が届いた。
素材などは全て国王が持つので、とびっきりの一品を造って欲しいと。
その為に用意されたモンスターの素材や鉱石はどれも、思わず涎が出そうなほどの超高級品ばかり。
国王からは余った素材は好きに使ってくれ、という優しさが手紙に記されていたが、アラッドは国王陛下専用のキャバリオン制作に用意された素材を全てつぎ込んだ。
結果、ランク九のフール専用である赤龍帝を超える一品が完成した。
そんな今でも最高傑作として君臨し続けるキャバリオンを送られた国王は、アラッドに大金……加えて、錬金術の素材として使えそうな宝石や鉱石などを大量に報酬として送った。
「フィリアス様からか」
しかし、手紙の主は予想していた国王陛下ではなく、その娘である王女のフィリアスだった。
偶々街中で出会った時以降、数回だけアラッドはフィリアスと会い、互いの近況について紅茶を飲みながら語り合ったことがある。
「……………………その日は、空いてそうだな」
学園に入学するまでの近況と、入学してからの日々についての感想。
そして最後に、指定の日にまたお茶しながら話せないかと記されていた。
(この日は確かに、なにも予定が入っていなかったな。というか、予定が入っていたとしても、こちらの約束を優先しないとって話だ)
フィリアスとしては、指定した日ではない別の日付でも構わないが……基本的に周囲の大人がそれを許さない。
「忘れる前に返事を書かないとな」
ベッドから腰を上げ、椅子に座って早速手紙の返事を書き始める。
フィリアスと同じく学園に入学する前の近況に加えて、学園に入学してからの出来事……に関しては、言葉をマイルドにして記す。
そして最後に二人でのお茶を了承する言葉を知るし、就寝前に既にしっかりと面識がある教師に手紙の送付を頼む。
後日、無事に手紙がフィリアスの元に届いた。
そして当日、フィリアスの手紙に記されていた場所まで赴くアラッド。
「……これ、絶対に普通の木じゃないだろ」
とある喫茶店の前に到着したアラッドは、喫茶店の素材として使用されている木に興味を惹かれる。
(トレント系の木か……それとも、一般的には手に入らない系統の木材か?)
少々恐ろしい雰囲気が漂っており、アラッドとしてはおいそれと魔眼の鑑定効果を使えなかった。
「アラッド様ですね。中へどうぞ」
「あ、どうも」
店の前に到着したアラッドの前に店の店員が現れ、中へと案内。
中へ入ったアラッドはそのまま個室へと通された。
「あの人、絶対に強いよな……勝てるか?」
店の店員と戦うような事態に発展するとは思っていないが、アラッドは店員の隠れた強者のオーラをギリギリ感知し、その強さに驚きを隠せなかった。
色々な事情がある店なのだろうと考えていると、約束の十分前にフィリアスが喫茶店に到着した。
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