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二百八十二話 皆よく食べる
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アイガスとの試合もあっさり終えたアラッド。
ここまで全戦全勝を更新中。
まだ全ての校内戦は終了していないが、それでもアラッドが公式の場で結果を残し始めたことで、周囲の見る目が徐々に変わってきた。
勿論、あまり好意的な思いを持つ者は増えていない。
しかし……アラッドの実力に関しては、認めなければならない。
そう認識する者たちが増えた。
加えて、アラッドは毎日のように授業が終われば、レイたちとの訓練を行っている。
当然その訓練光景を見ている者もいるので、才能だけで暴れ回っているクソ野郎……という印象も消えた。
「俺たちからすれば、今更かよって感じだけどな」
「仕方ないでしょう。アラッドさんは今まで公式の場に出ることは殆どありませんでしたし」
「そうだね。アラッドが過去に公式の場で実力を示したのは……あれだねロンバーとの喧嘩ぐらいかな」
ベルの言葉を聞き、アラッドは過去にその人物と社交場やりあったのを思い出した。
「そういえば、そんな事あったな。すっかり忘れてた」
「マジかよ。俺は超しっかり覚えてるぜ。だって、あの戦いでアラッドは結局糸だけで勝ったんだしよ」
「ロンバーのズボンを解体しちゃったしね」
「あの光景には、本当に驚いたよ」
ルーンたち三人は、社交場でアラッドがロンバーに行った恐ろしい攻撃方法を、一度も忘れたことがない。
「うむ……あれは恐ろしかった」
「え、えぇ。そうですわね」
「アラッドも、よくあんな攻撃方法を思い付きましたわよね」
「……うん、凄かった」
女性陣もあの時の光景は覚えており、ヴェーラ以外の三人は過去の光景を思い出し、若干頬が赤くなっていた。
「それで、アラッド。大会でも使うのか?」
「いや、さすがに使わない……って訳にはいかないだろうな。高い実力を持っている相手なら、普通に切ったり捕縛したりって感じで使うな」
さすがにアラッドも、貴族の令息や令嬢を大観衆の前ですっぽんぽんにしよう……とは、一応考えていない。
そう……今のところ、一応実行しようとは思っていない。
「必要になるまでは剣技と体技をメイン……後は、場合によってはちょっと魔法を使ったりするかもな」
「接近戦メインの大会でも、激しく動きながら攻撃魔法を使ってくる人もいるからね」
「仮に相手がそうしてきたら、俺も全力で対抗するだけだ……さて、今日も満腹になるまで食うか」
自主練終わりのアラッドたちが訪れた場所は、当然食堂。
現在七時だが、まだまだ夕食を食べている学生や職員がチラホラといる。
食堂に来ればしょっちゅう多数の視線に囲まれていたアラッドだが、今ではその数もだいぶ減った。
「……その体のどこに、そんなに入るのか不思議ですわ」
アラッドが頼んだ料理の量は一人前ではなく、三人前近くある。
身長は百八十を超え、それなりに筋肉も付いているが……それでも細マッチョ程度の体格。
巨漢……といえるほどの体ではなく、エリザからしらアラッドの前に置かれている料理が、どこに入るのか不思議でたまらない。
「腹が減ってるからな。これぐらい普通だろ。なっ、リオ」
「あぁ、だな」
リオもがっつり体を動かしているので、毎日アラッドに負けず劣らずの量を食べている。
「というか、エリザだって一人前以上は頼んでるだろ」
「うっ」
風魔法の才を持つ遠距離タイプのエリザだが、アラッドと出会ってから短剣や鞭などの武器にも手を出し始めた。
ルーンやヴェーラもエリザと同じ様に、弱点を放っておかずに努力しているため、ひょろっとした見た目以上に毎日夕食を食べている。
「まっ、腹が減ったら飯を食べるのは当然だし……何も気にする事はないだろ」
食べ過ぎると太るぞ、なんてアホな発言はせずに目の前の高級料理を平らげていくアラッド。
そしてアラッドがもう少しで食べ終わるといったタイミングで、一人の教師が声を掛けてきた。
ここまで全戦全勝を更新中。
まだ全ての校内戦は終了していないが、それでもアラッドが公式の場で結果を残し始めたことで、周囲の見る目が徐々に変わってきた。
勿論、あまり好意的な思いを持つ者は増えていない。
しかし……アラッドの実力に関しては、認めなければならない。
そう認識する者たちが増えた。
加えて、アラッドは毎日のように授業が終われば、レイたちとの訓練を行っている。
当然その訓練光景を見ている者もいるので、才能だけで暴れ回っているクソ野郎……という印象も消えた。
「俺たちからすれば、今更かよって感じだけどな」
「仕方ないでしょう。アラッドさんは今まで公式の場に出ることは殆どありませんでしたし」
「そうだね。アラッドが過去に公式の場で実力を示したのは……あれだねロンバーとの喧嘩ぐらいかな」
ベルの言葉を聞き、アラッドは過去にその人物と社交場やりあったのを思い出した。
「そういえば、そんな事あったな。すっかり忘れてた」
「マジかよ。俺は超しっかり覚えてるぜ。だって、あの戦いでアラッドは結局糸だけで勝ったんだしよ」
「ロンバーのズボンを解体しちゃったしね」
「あの光景には、本当に驚いたよ」
ルーンたち三人は、社交場でアラッドがロンバーに行った恐ろしい攻撃方法を、一度も忘れたことがない。
「うむ……あれは恐ろしかった」
「え、えぇ。そうですわね」
「アラッドも、よくあんな攻撃方法を思い付きましたわよね」
「……うん、凄かった」
女性陣もあの時の光景は覚えており、ヴェーラ以外の三人は過去の光景を思い出し、若干頬が赤くなっていた。
「それで、アラッド。大会でも使うのか?」
「いや、さすがに使わない……って訳にはいかないだろうな。高い実力を持っている相手なら、普通に切ったり捕縛したりって感じで使うな」
さすがにアラッドも、貴族の令息や令嬢を大観衆の前ですっぽんぽんにしよう……とは、一応考えていない。
そう……今のところ、一応実行しようとは思っていない。
「必要になるまでは剣技と体技をメイン……後は、場合によってはちょっと魔法を使ったりするかもな」
「接近戦メインの大会でも、激しく動きながら攻撃魔法を使ってくる人もいるからね」
「仮に相手がそうしてきたら、俺も全力で対抗するだけだ……さて、今日も満腹になるまで食うか」
自主練終わりのアラッドたちが訪れた場所は、当然食堂。
現在七時だが、まだまだ夕食を食べている学生や職員がチラホラといる。
食堂に来ればしょっちゅう多数の視線に囲まれていたアラッドだが、今ではその数もだいぶ減った。
「……その体のどこに、そんなに入るのか不思議ですわ」
アラッドが頼んだ料理の量は一人前ではなく、三人前近くある。
身長は百八十を超え、それなりに筋肉も付いているが……それでも細マッチョ程度の体格。
巨漢……といえるほどの体ではなく、エリザからしらアラッドの前に置かれている料理が、どこに入るのか不思議でたまらない。
「腹が減ってるからな。これぐらい普通だろ。なっ、リオ」
「あぁ、だな」
リオもがっつり体を動かしているので、毎日アラッドに負けず劣らずの量を食べている。
「というか、エリザだって一人前以上は頼んでるだろ」
「うっ」
風魔法の才を持つ遠距離タイプのエリザだが、アラッドと出会ってから短剣や鞭などの武器にも手を出し始めた。
ルーンやヴェーラもエリザと同じ様に、弱点を放っておかずに努力しているため、ひょろっとした見た目以上に毎日夕食を食べている。
「まっ、腹が減ったら飯を食べるのは当然だし……何も気にする事はないだろ」
食べ過ぎると太るぞ、なんてアホな発言はせずに目の前の高級料理を平らげていくアラッド。
そしてアラッドがもう少しで食べ終わるといったタイミングで、一人の教師が声を掛けてきた。
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