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二百七十九話 計り知れない衝撃
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「アラッド兄さん! お疲れ様!!」
「おう、シルフィー。そっちも校内戦があったんだろ。どうだった」
「勿論、勝ったわ!!」
アラッドがレイたちと合流した後……何故か、そもそも校舎が違うシルフィーとアッシュがいた。
「あっ、どうも。アラッド兄さんの妹のシルフィーです。よろしくお願いします」
「同じく弟のアッシュです。よろしくお願いします」
レイたちに向けて軽く挨拶をするシルフィーとアッシュ……その二人が並ではないことを、直ぐにレイたちは見抜いた。
「おい、アラッド。お前のとこはお前も含めて、どうなってるんだ?」
「どうなってるって言われてもな……はは、どうなってるんだろうな」
自分は大多数よりセンスはある方。
そういった恵まれた点と、糸という武器に加えて早い段階から本気で実力を上げようと、密度が高い鍛錬を積んできた。
シルフィーもアラッドに似ているといえば、似ている。
ただ……アッシュに関しては、必要以上のトレーニングは行っていない。
狩りに関しては鍛錬よりやや積極的だったが、それでも二人ほどの熱さはない……にも拘わらず、今でもその実力はシルフィーを上回っている。
「ところで……あれか、アッシュもエントリーしてないんだな」
「はい。僕は卒業できれば良いんで」
「「「「「「「ッ!!!???」」」」」」」
アラッドの言葉に対し、その通りですと返したアッシュを見て……リオたち高等部一年組は、表情の起伏が小さいヴェーラも含めて全員が驚いた。
「えっと……な、なんでなんだい?」
「僕はこの学園に錬金術を学びに来たので」
「……な、なるほど……そうなんだね」
確かに、あまり希望する人数が多くないとはいえ、授業の質は高い。
そして授業に参加する生徒の意欲も高く、卒業生の中には王城に属する錬金術まで輩出した。
「てか、良く納得したな、シルフィー」
「私は出ろと言ったのですけど、頑なに拒むんですの」
「言ったでしょ。僕は錬金術を学びに来たんだ。それに、屋敷で生活してた時の様に、普段通りの訓練を行ってるから、文句ないでしょ」
学園に入ったから、剣技や魔法の修行は全てサボる……なんてことはせず、そこだけはキッチリと学園に入学してからも続けている。
「それに、個人戦の校内戦にエントリーしない代わりに、シルフィーとの模擬戦に付き合ってるじゃないか」
「そうなのか? はは、シルフィー。だったら、それ以上アッシュに文句を言うのは良くないぞ」
「うっ……はい。ごめんなさい、アッシュ」
「良いよ……それに、シルフィーが出場するなら、優勝してほしいとは思ってるから」
あまりそりが合わない双子……ではあるが、その前にシルフィーはアッシュにとって家族であることに変わりはない。
なので、自分の時間を削ってもシルフィーが優勝に近づけるなら、という想いが確かにある。
「アッシュ……あっ、一応言っておくけど、アッシュは今のところシルフィーよりタイマン勝負では上なんだよ」
「「「えっ」」」
「あと、俺個人の見立てだけど、パーシブル家の中で一番戦闘センスがあるのはアッシュだと俺は思ってる」
「「「「「え~~~ッ!!!???」」」」」
あの……あのアラッドが、自分よりも弟であるアッシュの方がセンスを持っていると、口にした。
その衝撃はレイたちにとって計り知れず……全員の視線がアッシュに集まった。
「っとと。お前ら、あんまりアッシュに強烈な眼を向けるな」
アッシュとレイたちの間に割って入り、友人たちにもう少し感情を和らげろと伝える。
「ご、ごめん。いや、でもさ……いや、うん。分かってるよ。進む道は人それぞれだというのは分かってるけど……ちょっと、衝撃が大き過ぎるかな」
ベルの言葉に残りの六人は全面的に賛成だった。
そして、そんな話を聞き……我慢できない者が、一人いた。
「おう、シルフィー。そっちも校内戦があったんだろ。どうだった」
「勿論、勝ったわ!!」
アラッドがレイたちと合流した後……何故か、そもそも校舎が違うシルフィーとアッシュがいた。
「あっ、どうも。アラッド兄さんの妹のシルフィーです。よろしくお願いします」
「同じく弟のアッシュです。よろしくお願いします」
レイたちに向けて軽く挨拶をするシルフィーとアッシュ……その二人が並ではないことを、直ぐにレイたちは見抜いた。
「おい、アラッド。お前のとこはお前も含めて、どうなってるんだ?」
「どうなってるって言われてもな……はは、どうなってるんだろうな」
自分は大多数よりセンスはある方。
そういった恵まれた点と、糸という武器に加えて早い段階から本気で実力を上げようと、密度が高い鍛錬を積んできた。
シルフィーもアラッドに似ているといえば、似ている。
ただ……アッシュに関しては、必要以上のトレーニングは行っていない。
狩りに関しては鍛錬よりやや積極的だったが、それでも二人ほどの熱さはない……にも拘わらず、今でもその実力はシルフィーを上回っている。
「ところで……あれか、アッシュもエントリーしてないんだな」
「はい。僕は卒業できれば良いんで」
「「「「「「「ッ!!!???」」」」」」」
アラッドの言葉に対し、その通りですと返したアッシュを見て……リオたち高等部一年組は、表情の起伏が小さいヴェーラも含めて全員が驚いた。
「えっと……な、なんでなんだい?」
「僕はこの学園に錬金術を学びに来たので」
「……な、なるほど……そうなんだね」
確かに、あまり希望する人数が多くないとはいえ、授業の質は高い。
そして授業に参加する生徒の意欲も高く、卒業生の中には王城に属する錬金術まで輩出した。
「てか、良く納得したな、シルフィー」
「私は出ろと言ったのですけど、頑なに拒むんですの」
「言ったでしょ。僕は錬金術を学びに来たんだ。それに、屋敷で生活してた時の様に、普段通りの訓練を行ってるから、文句ないでしょ」
学園に入ったから、剣技や魔法の修行は全てサボる……なんてことはせず、そこだけはキッチリと学園に入学してからも続けている。
「それに、個人戦の校内戦にエントリーしない代わりに、シルフィーとの模擬戦に付き合ってるじゃないか」
「そうなのか? はは、シルフィー。だったら、それ以上アッシュに文句を言うのは良くないぞ」
「うっ……はい。ごめんなさい、アッシュ」
「良いよ……それに、シルフィーが出場するなら、優勝してほしいとは思ってるから」
あまりそりが合わない双子……ではあるが、その前にシルフィーはアッシュにとって家族であることに変わりはない。
なので、自分の時間を削ってもシルフィーが優勝に近づけるなら、という想いが確かにある。
「アッシュ……あっ、一応言っておくけど、アッシュは今のところシルフィーよりタイマン勝負では上なんだよ」
「「「えっ」」」
「あと、俺個人の見立てだけど、パーシブル家の中で一番戦闘センスがあるのはアッシュだと俺は思ってる」
「「「「「え~~~ッ!!!???」」」」」
あの……あのアラッドが、自分よりも弟であるアッシュの方がセンスを持っていると、口にした。
その衝撃はレイたちにとって計り知れず……全員の視線がアッシュに集まった。
「っとと。お前ら、あんまりアッシュに強烈な眼を向けるな」
アッシュとレイたちの間に割って入り、友人たちにもう少し感情を和らげろと伝える。
「ご、ごめん。いや、でもさ……いや、うん。分かってるよ。進む道は人それぞれだというのは分かってるけど……ちょっと、衝撃が大き過ぎるかな」
ベルの言葉に残りの六人は全面的に賛成だった。
そして、そんな話を聞き……我慢できない者が、一人いた。
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