スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
上 下
271 / 1,043

二百七十一話 戦い方の確認

しおりを挟む
意外と平和な日々が過ごせそう……なんてことを登校初日の間だけは考えていた。

しかし、翌日……通常通り授業が始まる。
授業には座学もあるが、当然実技もある。

実技の授業を担当するのは、勿論担任であるアレク。
そして魔法を専門とする生徒の為に、魔法をメインにして戦う教師が補佐に付く。

「さて、体がほぐれたところで本格的に授業を始める訳だけど……アラッド君、一応騎士の戦闘スタイル的なのは学んでいるかな」

アラッドが学生の枠を超える強さを持っているという情報は得ており、それが本当だということも実際に視て、把握している。

先日、訓練場でレイたちを相手に何度も何度も連続で模擬戦を行い、全てに勝利したという話も耳に入っている。

ただ……この学園は騎士、宮廷魔術師を育成する学園。
冒険者の道に進むアラッドであっても、一応騎士の戦い方などを叩きこまなければならない。

「先生、ここは実戦で確認する方がよろしいかと」

そう宣言した人物は、先日アラッドにあっさりと転ばされたアイガス・ナスト。
どう考えても、実戦という環境でアラッドを下すことしか考えてない目。

そんなアイガスの考えを一目で見抜くアレク。

(間違ってはいないけど、本当にアラッドがそういう戦い方が出来るのか確認……そんな考えで提案したわけじゃないよな)

悪い考えではないが、直ぐには決めあぐねる提案。

しかし、チラッとアラッドの方を見ると、全く困った表情をしていなかった。

(……噂だけど、本気のバイアード先輩と戦える力を秘めているらしいし……問題無いか)

因みにこの時、レイたちは全くアラッドのことを可哀そうと思ったり、道場の目を向けたりなどしていなかった。
寧ろ、ベルやリオ、マリアたちはこれからアラッドと戦うであろうアイガスに憐みの目を向けていた。

「それもそうだね。それじゃあ、アラッド君とアイガス君には模擬戦を行ってもらおう。アラッド君、この模擬戦は騎士としての戦い方が出来ているのかの確認だから、そこら辺を注意して動いてね」

「分かりました」

アレクの言葉を聞き、アイガスはニヤッと笑った。

(先日の不覚は武器を持っていなかったから。武器を持っていれば、自分が負けることはない。そこに、縛りが入れば自分の負けは絶対にあり得ない……なんて考えているのかな)

ベルの考えはまさにドンピシャ。
まさにアイガスは剣を持った自分なら、アラッドに負ける筈がないと考えていた。

(愚かだね……才なんてアドバンテージは、アラッドに対して関係無いというのに)

アイガスと同じく剣技の才を持つベルだが、剣技の才を持たないアラッドよりも剣技で大きく上回れているとは思っていない。

「それでは……あくまで、剣のみの模擬戦。そこを忘れないように……始め!!!」

「はぁぁああああああッ!!!!」

アレクが開始の合図を行ったと同時に、アイガスは気合入魂とばかり大きな声を張り上げ、アラッドに斬りかかった。

(思いっきり怒気が漏れてるな。若干殺気も混ざってるか? アレク先生がため息吐いてるのが見えてないのかこいつは……って、見えてるわけがないか)

今のアイガスは、この模擬戦で絶対にアラッドを下し、自分の方が上であり……アラッドがこの学園に在籍するのは相応しくないと証明することしか考えていない。

そんなアイガスに対し、アラッドは先日は測れなかったアイガスの戦力を冷静に測っていた。

(思い切りが良い斬撃。重心はぶれない……恵まれた体格の活かし方を理解している。ただ面倒な奴って訳じゃなくて、こいつはこいつなりに研鑽を重ねてきたんだろうな)

口先だけの人物ではない。
それは何度か剣を交えた結果、直ぐに解った。

(嘗めるな!!!!)

模擬戦中にアラッドの口角が上がったのが見え、アイガスの攻撃は更に苛烈さを増す。
だが、依然としてアラッドの表情は殆ど変わらなかった。
しおりを挟む
感想 466

あなたにおすすめの小説

『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。

もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです! そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、 精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です! 更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります! 主人公の種族が変わったもしります。 他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。 面白さや文章の良さに等について気になる方は 第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

処理中です...