264 / 992
二百六十四話 噂は本当だった
しおりを挟む
入学式が終われば、アラッドは完全にシルフィーとアッシュとは別行動。
入学式の前に教師から伝えられたクラスへと向かう。
クラスはC、B、A、Sクラスの四つ。
勿論、首席で入学したアラッドはSクラス。
クラスは基本的にCからSの順に実力や学力が分けられている。
(アッシュの奴、随分と覇気がないというか……いや、雑ではなかったんだけど……ちょっと心配だな)
雑でも下手でもなく、アッシュは先程パーシブル家の恥にならない挨拶を壇上で行った。
しかし、元々アッシュがあまり闘争心を撒き散らさないタイプということもあり、身内から見ても覇気がない様子が丸見え。
(虐められたりしないよな……そんなことすれば、逆にアッシュのボコボコにされるか)
首席となったのは学力の高さだけではなく、戦闘力の高さも相まっての結果。
(というか、仮にそんなことになれば、シルフィーが黙ってないか)
アッシュの強くなることにあまり関心がないという態度に関しては、今でもあまり良く思ってないない。
それでも、あまり興味がないことでも毎日最低限の分は続けている。
この事に関してシルフィー素直にアッシュを尊敬しているため、もし……仮にアッシュの身になにかあれば、アッシュが行動を起こす前に、シルフィーの鉄拳がとんでもおかしくない。
「……あ、アラッド、か?」
「その声は……レイ嬢。お久しぶりですね」
「……アラッド!!!」
声を掛けられ、後ろを振り向くと……そこには三年前よりも成長したレイがいた。
元々キリっとした容姿を持っていたが、今は凛とした美しさがある。
スタイルも女性らしくなっており、これは周囲の異性が放っておかないだろう……そう思って当然。
実際のところ、その考えは間違っていない。
間違っていないが……今のところ、レイが同じ学生に好意を抱くことはない。
「っと、あの……レイ嬢」
「……す、すまない!!」
昨年は色々と忙しい時期であったため、レイは一度もアラッドに会っていない。
それはいつも同じグループで行動しているベルたちも同じだった。
(い、良い匂いがしたな)
久しぶりにアラッドに合えたことが嬉しく、レイは思わずアラッドにハグをしてしまった。
「はは、どうやら噂は本当だったみたいだね」
「ベル……それに皆も久しぶりだな」
少し離れた場所から子供の頃より成長したベル、リオ、ルーフ、マリア、エリザ、ヴェーラが現れた。
「あらあら、本当に入学したのですね、アラッドさん」
「お前がここパロスト学園に入学したって話、ちょっと噂になってたんだぜ」
「マジか……まっ、そうなるのも無理はないか」
十五歳になれば、学園に入学はせず、冒険者になる。
これはアラッドが幼い頃から明言していた内容。
この内容はベルたち以外の令息や令嬢たちも知っていたので、本当に何故学園に? と思ってしまう噂の内容だった。
しかし、現にこのとおり……アラッドはパロスト学園の入試を受けて合格し、パロスト学園の制服を着ている。
「それで……アラッド、何が目的で学園に入学したんだい」
友人として、アラッドが冒険者になることを止めた……そんな選択肢を取るとは思えない。
それはリオたちも同じ考えだった。
「……とりあえず、教室まで移動しようぜ」
教室には直ぐに集合し、アラッドは速攻でベルたちに囲まれる。
「えっとだな……簡単に言うと、倒したい奴がいるから、だな」
「倒したい奴というと、僕たちと同じ学園の生徒ということかな」
「そうだな。パロスト学園の生徒ではないけどな」
パロスト学園の生徒ではない……この言葉だけで、頭の回転が速いベルとマリアは直ぐにアラッドがどういった目的で学園に入学したのか、ある程度予想が付いた。
(なるほどなるほど……確かに、アラッドならあの人を倒せる強さがあるね)
だが、それでもベルには少し引っ掛かる部分があった。
入学式の前に教師から伝えられたクラスへと向かう。
クラスはC、B、A、Sクラスの四つ。
勿論、首席で入学したアラッドはSクラス。
クラスは基本的にCからSの順に実力や学力が分けられている。
(アッシュの奴、随分と覇気がないというか……いや、雑ではなかったんだけど……ちょっと心配だな)
雑でも下手でもなく、アッシュは先程パーシブル家の恥にならない挨拶を壇上で行った。
しかし、元々アッシュがあまり闘争心を撒き散らさないタイプということもあり、身内から見ても覇気がない様子が丸見え。
(虐められたりしないよな……そんなことすれば、逆にアッシュのボコボコにされるか)
首席となったのは学力の高さだけではなく、戦闘力の高さも相まっての結果。
(というか、仮にそんなことになれば、シルフィーが黙ってないか)
アッシュの強くなることにあまり関心がないという態度に関しては、今でもあまり良く思ってないない。
それでも、あまり興味がないことでも毎日最低限の分は続けている。
この事に関してシルフィー素直にアッシュを尊敬しているため、もし……仮にアッシュの身になにかあれば、アッシュが行動を起こす前に、シルフィーの鉄拳がとんでもおかしくない。
「……あ、アラッド、か?」
「その声は……レイ嬢。お久しぶりですね」
「……アラッド!!!」
声を掛けられ、後ろを振り向くと……そこには三年前よりも成長したレイがいた。
元々キリっとした容姿を持っていたが、今は凛とした美しさがある。
スタイルも女性らしくなっており、これは周囲の異性が放っておかないだろう……そう思って当然。
実際のところ、その考えは間違っていない。
間違っていないが……今のところ、レイが同じ学生に好意を抱くことはない。
「っと、あの……レイ嬢」
「……す、すまない!!」
昨年は色々と忙しい時期であったため、レイは一度もアラッドに会っていない。
それはいつも同じグループで行動しているベルたちも同じだった。
(い、良い匂いがしたな)
久しぶりにアラッドに合えたことが嬉しく、レイは思わずアラッドにハグをしてしまった。
「はは、どうやら噂は本当だったみたいだね」
「ベル……それに皆も久しぶりだな」
少し離れた場所から子供の頃より成長したベル、リオ、ルーフ、マリア、エリザ、ヴェーラが現れた。
「あらあら、本当に入学したのですね、アラッドさん」
「お前がここパロスト学園に入学したって話、ちょっと噂になってたんだぜ」
「マジか……まっ、そうなるのも無理はないか」
十五歳になれば、学園に入学はせず、冒険者になる。
これはアラッドが幼い頃から明言していた内容。
この内容はベルたち以外の令息や令嬢たちも知っていたので、本当に何故学園に? と思ってしまう噂の内容だった。
しかし、現にこのとおり……アラッドはパロスト学園の入試を受けて合格し、パロスト学園の制服を着ている。
「それで……アラッド、何が目的で学園に入学したんだい」
友人として、アラッドが冒険者になることを止めた……そんな選択肢を取るとは思えない。
それはリオたちも同じ考えだった。
「……とりあえず、教室まで移動しようぜ」
教室には直ぐに集合し、アラッドは速攻でベルたちに囲まれる。
「えっとだな……簡単に言うと、倒したい奴がいるから、だな」
「倒したい奴というと、僕たちと同じ学園の生徒ということかな」
「そうだな。パロスト学園の生徒ではないけどな」
パロスト学園の生徒ではない……この言葉だけで、頭の回転が速いベルとマリアは直ぐにアラッドがどういった目的で学園に入学したのか、ある程度予想が付いた。
(なるほどなるほど……確かに、アラッドならあの人を倒せる強さがあるね)
だが、それでもベルには少し引っ掛かる部分があった。
210
お気に入りに追加
6,090
あなたにおすすめの小説
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる