263 / 1,023
二百六十三話 本人は気付いていないが
しおりを挟む
アラッドたちは王都に到着し、その日はゆっくりと過ごし……翌日にはアラッド、シルフィー、アッシュの三人はパロスト学園の制服に着替えた。
「アラッド兄さん、どうかしら?」
「似合ってるぞ、シルフィー。アッシュもな」
「そうですか? ちょっとぶかぶかで……変な感じです」
「はは、それは仕方ない」
アラッドはもう、殆ど身長は伸びきったので、制服のサイズはほぼピッタリな状態。
しかし、シルフィーとアッシュの制服は今後の成長を考え、ピッタリなサイズよりも大きくなっている。
因みにアラッドの身長は百八十を超えており、悪人顔な面もあって……アラッドは自分が思っている以上に、見た目だけでも異性の視線を集めるよう外見に成長していた。
「アラッド兄さんも似合ってるね!」
「そうか? まぁ……変ではないと思うけど」
部屋の鏡で自身の制服姿を見るアラッド。
見た目は高校生なので、制服を着ていてもおかしくない……というのは、自分でも分かっている。
だが……中身は前世を含めれば、重ねた年齢は三十を超えている。
そんな自分が制服を着ている……その現状に、やはり小さな違和感を感じる。
(でも、この制服を着るのも三か月だけの我慢だ)
パロスト学園の入試を終えて首席での合格が決まり、家に帰ってからアラッドは戦って戦って戦いまくった。
勿論、錬金術の訓練や……貴族たちから依頼された、キャバリオンの制作を怠ってはいない。
ただ……入学するまでの約二か月間、戦闘面での強化に力を使った。
そのお陰で屋敷でアラッドと生活するようになってから強くなったガルシアたちにも、模擬戦でそれなりに勝てるようになった。
他学園のトップ……現時点で、学生最強であるフローレンス・カルロストもかなりの化け物であることは調べた。
とはいえ、アラッド的にはあまり好きな人物ではなかった。
倒すべき相手が人間的に好きな人物ではない……そうなれば、一般的な対人戦では湧いてこないエネルギーも湧いてくるというもの。
慢心し過ぎてはいないが、今からフローレンス・カルロストと対峙し……負ける気がなかった。
「三人とも、行くよ」
「「「はい」」」
馬車に乗り込み、寄り道せずパロスト学園へ向かう。
入学式に関しては、三人ともフールに目立つから着いて来ないでくれ、なんて悲しいことは言えない。
(親にとって、子供が学園に入学する姿ってのは一生ものだろうし……さすがに言えないよな)
その想いはシルフィーとアッシュもなんとなく察し、二人とも特に苦言を呈さなかった。
そしてパロスト学園に多数の馬車が集まる中、そこにアラッドたちも混ざり、到着したので馬車から降りる。
「あれは……ん? どういうことだ」
「フール様、本当にカッコいいわ」
「あの子は……何故学園にいるのだ?」
「あの話は本当だったのか」
アラッドたちが馬車から降りたことで、一気に視線が集まってくる。
(ちょっと鬱陶しいが、文句言ってたらきりがない)
今まで視線が集まるという状況は何度も体験してきた。
何チラチラ見てんだ!!!! なんて、チンピラみたいなセリフが吐ける立場ではない。
なのでひたすら我慢して案内される場所に向かい……体育館の様な場所に到着。
(……早く終わって欲しいな)
中等部と高等部もあるので、合同で入学式は行われる。
ちなみに、中等部から高等部に内部進学する生徒は参加しない。
入学式と言えば……超長い。
そんなイメージが強いアラッド。
だが、そんなイメージは直ぐに消滅。
バイアードと親友である学園長から五分ほどのお言葉を受け、次に今年からパロスト学園の教師として働く教師が紹介され、中等部の新入生代表として……アッシュが壇上で挨拶を行った。
(何度も社交界に参加してるからか、意外と緊張してないな)
堂々とした……しかし、あまり覇気がない挨拶が行われ、入学式は終了した。
「アラッド兄さん、どうかしら?」
「似合ってるぞ、シルフィー。アッシュもな」
「そうですか? ちょっとぶかぶかで……変な感じです」
「はは、それは仕方ない」
アラッドはもう、殆ど身長は伸びきったので、制服のサイズはほぼピッタリな状態。
しかし、シルフィーとアッシュの制服は今後の成長を考え、ピッタリなサイズよりも大きくなっている。
因みにアラッドの身長は百八十を超えており、悪人顔な面もあって……アラッドは自分が思っている以上に、見た目だけでも異性の視線を集めるよう外見に成長していた。
「アラッド兄さんも似合ってるね!」
「そうか? まぁ……変ではないと思うけど」
部屋の鏡で自身の制服姿を見るアラッド。
見た目は高校生なので、制服を着ていてもおかしくない……というのは、自分でも分かっている。
だが……中身は前世を含めれば、重ねた年齢は三十を超えている。
そんな自分が制服を着ている……その現状に、やはり小さな違和感を感じる。
(でも、この制服を着るのも三か月だけの我慢だ)
パロスト学園の入試を終えて首席での合格が決まり、家に帰ってからアラッドは戦って戦って戦いまくった。
勿論、錬金術の訓練や……貴族たちから依頼された、キャバリオンの制作を怠ってはいない。
ただ……入学するまでの約二か月間、戦闘面での強化に力を使った。
そのお陰で屋敷でアラッドと生活するようになってから強くなったガルシアたちにも、模擬戦でそれなりに勝てるようになった。
他学園のトップ……現時点で、学生最強であるフローレンス・カルロストもかなりの化け物であることは調べた。
とはいえ、アラッド的にはあまり好きな人物ではなかった。
倒すべき相手が人間的に好きな人物ではない……そうなれば、一般的な対人戦では湧いてこないエネルギーも湧いてくるというもの。
慢心し過ぎてはいないが、今からフローレンス・カルロストと対峙し……負ける気がなかった。
「三人とも、行くよ」
「「「はい」」」
馬車に乗り込み、寄り道せずパロスト学園へ向かう。
入学式に関しては、三人ともフールに目立つから着いて来ないでくれ、なんて悲しいことは言えない。
(親にとって、子供が学園に入学する姿ってのは一生ものだろうし……さすがに言えないよな)
その想いはシルフィーとアッシュもなんとなく察し、二人とも特に苦言を呈さなかった。
そしてパロスト学園に多数の馬車が集まる中、そこにアラッドたちも混ざり、到着したので馬車から降りる。
「あれは……ん? どういうことだ」
「フール様、本当にカッコいいわ」
「あの子は……何故学園にいるのだ?」
「あの話は本当だったのか」
アラッドたちが馬車から降りたことで、一気に視線が集まってくる。
(ちょっと鬱陶しいが、文句言ってたらきりがない)
今まで視線が集まるという状況は何度も体験してきた。
何チラチラ見てんだ!!!! なんて、チンピラみたいなセリフが吐ける立場ではない。
なのでひたすら我慢して案内される場所に向かい……体育館の様な場所に到着。
(……早く終わって欲しいな)
中等部と高等部もあるので、合同で入学式は行われる。
ちなみに、中等部から高等部に内部進学する生徒は参加しない。
入学式と言えば……超長い。
そんなイメージが強いアラッド。
だが、そんなイメージは直ぐに消滅。
バイアードと親友である学園長から五分ほどのお言葉を受け、次に今年からパロスト学園の教師として働く教師が紹介され、中等部の新入生代表として……アッシュが壇上で挨拶を行った。
(何度も社交界に参加してるからか、意外と緊張してないな)
堂々とした……しかし、あまり覇気がない挨拶が行われ、入学式は終了した。
215
お気に入りに追加
6,108
あなたにおすすめの小説
スキルを極めろ!
アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作
何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める!
神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。
不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。
異世界でジンとして生きていく。
だって私、悪役令嬢なんですもの(笑)
みなせ
ファンタジー
転生先は、ゲーム由来の異世界。
ヒロインの意地悪な姉役だったわ。
でも、私、お約束のチートを手に入れましたの。
ヒロインの邪魔をせず、
とっとと舞台から退場……の筈だったのに……
なかなか家から離れられないし、
せっかくのチートを使いたいのに、
使う暇も無い。
これどうしたらいいのかしら?
一人暮らしのおばさん薬師を黒髪の青年は崇めたてる
朝山みどり
ファンタジー
冤罪で辺境に追放された元聖女。のんびりまったり平和に暮らしていたが、過去が彼女の生活を壊そうとしてきた。
彼女を慕う青年はこっそり彼女を守り続ける。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
おばあちゃん(28)は自由ですヨ
美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。
その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。
どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。
「おまけのババアは引っ込んでろ」
そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。
その途端、響く悲鳴。
突然、年寄りになった王子らしき人。
そして気付く。
あれ、あたし……おばあちゃんになってない!?
ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!?
魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。
召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。
普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。
自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く)
元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。
外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。
※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。
※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要)
※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。
※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
【完結】小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。目指せスローライフ!〜
むらくも航
ファンタジー
ブラック企業で働き、心身が疲労している『低目野やすひろ』。彼は苦痛の日々に、とにかく“癒し”を求めていた。
そんな時、やすひろは深夜の夜道で小犬のような魔物を見つける。これが求めていた癒しだと思った彼は、小犬を飼うことを決めたのだが、実は小犬の正体は伝説の魔物『フェンリル』だったらしい。
それをきっかけに、エリートの友達に誘われ配信者を始めるやすひろ。結果、強さでも無双、可愛さでも無双するフェンリルは瞬く間にバズっていき、やすひろはある決断をして……?
のんびりほのぼのとした現代スローライフです。
他サイトにも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる