205 / 1,058
二百五話 目指している一手
しおりを挟む
(完全に警戒されてると、全然入らないな!!!)
アラッドとバイアードの戦いが始まってから既に五分が経過してるが……未だにアラッドはバイアードに一撃を入れられていない。
まだ糸という切り札は残しているものの、それ以外の手札は全て使った。
それにもかかわらず、バイアードに対して良い感じの一撃をぶち込めていない。
(この剣は悪くない。色々と小細工も使ってるんだが……初見で全て対応するとか、ちょっとヤバ過ぎないか?)
毎日欠かさず魔力操作の訓練は続けているので、そんじょそこらの魔法使いには負けない魔力操作の腕を持っており、体や武器に属性魔力を纏っていれば色々と小細工が出来る。
その小細工で大したダメージが入るとは思っていない。
思っていないが……それにしても攻撃を当てられない。
「はぁぁああああああああッ!!!!!!」
「ぬぅ……ふん!!!!!」
バッシュを叩きこんでからの剣圧で鍔迫り合いを制そうとするが、無情にも弾かれる。
しかし、もう馬鹿正直に攻めても勝てないのは解っているので、左右からウィンドランスとファイヤーランスをぶち込んだ。
「喝ッッッッッッッツ!!!!!!!!」
だが、剣を振るう訳でもなく……体技スキルの技、気合入魂による衝撃波だけで掻き消された。
(嘘だろ!!!???)
この結果にはここ最近で一番驚かされたアラッド。
だからといって次の手を止めることなく、ロングソードに雷の魔力を纏い、そのまま脱力を駆使した突きを放った。
放たれた攻撃は空を割る雷の槍。
鍔迫り合いに力を使わせ、更には両側から風槍と炎槍の対処。
そこにスピード重視の攻撃が続く。
(見事、見事ですが……やはり強い)
学園を卒業したばかりの騎士でも……今の攻撃を全て対処するのは難しい。
大半の者が風槍か炎槍の対処に失敗。もしくは、雷の猛突にやられてしまう。
しかし、気合入魂で風槍と炎槍を吹き飛ばしただけではなく、集中力を増加させたバイアードを最後の攻撃に見事反応。
「はっ!!!」
刃に火の魔力を纏わせ、アラッドの攻撃を斬り裂いた。
「ッ!!?? い、今の連撃を、軽々と……流石、父さんとグラストさんの大先輩ですね」
「いやいや、正直……気合入魂を使っていなければ、最後の攻撃は対応出来なかった」
お世辞ではなく、正直な感想だった。
(魔法も得意だというのはこの戦いで解ってはいたが、あぁも剣戟の中に自然と織り込む……魔法剣士としての力量は、一流に近いか……同レベルだ)
本当にフールは末恐ろしい子供をつくった……と思ったバイアードだが、実際のところはアラッドが勝手に強くなっただけで、戦闘面に関してフールはあまり触れていない。
(気合入魂か……正直、あれは目標にしてる部分なんだが……実際にやる人は初めて見たな)
自身に飛んでくる攻撃魔法を気合を入れる技で弾き飛ばす。
アラッドも気合入魂は習得しているが、ランス系の魔法を掻き消すことは出来ない。
「すぅーーーー……はぁーーーーーー…………」
「ッ!!!」
先程までに戦意と闘志に満ち溢れた目とは違い…………据わっている。
(ここからか!!)
そう……ここからが、アラッドの本当の全力。
スレッドスラッシュ、スレッドクロウ、スレッドサークルが主な武器。
スレッドチェンジを使用し、扱う糸は全て鋼糸。
つまり……バイアードが体を魔力で防御、もしくは硬化などを使ってガードしなければ、大ダメージを与えられるかはさておき……必ず切れはする。
「ッ! なるほど、これは! 神経を削る、な!!!」
「対応するの、早過ぎませんか」
「これでも、今まで多くの者たちと戦って、きている!!! 経験値のお陰、といったところ、だろう!!!!」
過去に糸を使う暗殺者と戦い、勝利したことがある。
その経験があり、アラッドが次にどういった攻撃を行ってるのか……ある程度は予測出来る。
ただ、これでアラッド自身がロングソードを振るうか、体技を使用する。
そして攻撃、もしくは妨害魔法を発動。
そこに糸による攻撃が加わり……同時に三種類の攻撃を行える。
(ふふ、血が滾るわ!!!!!!)
だが……並ならぬ猛者たちと戦い続けてきた男は……既に全盛期を超えど、騎士としての……戦闘者としてのプライドが、好奇心が引くことを選ばない。
アラッドとバイアードの戦いが始まってから既に五分が経過してるが……未だにアラッドはバイアードに一撃を入れられていない。
まだ糸という切り札は残しているものの、それ以外の手札は全て使った。
それにもかかわらず、バイアードに対して良い感じの一撃をぶち込めていない。
(この剣は悪くない。色々と小細工も使ってるんだが……初見で全て対応するとか、ちょっとヤバ過ぎないか?)
毎日欠かさず魔力操作の訓練は続けているので、そんじょそこらの魔法使いには負けない魔力操作の腕を持っており、体や武器に属性魔力を纏っていれば色々と小細工が出来る。
その小細工で大したダメージが入るとは思っていない。
思っていないが……それにしても攻撃を当てられない。
「はぁぁああああああああッ!!!!!!」
「ぬぅ……ふん!!!!!」
バッシュを叩きこんでからの剣圧で鍔迫り合いを制そうとするが、無情にも弾かれる。
しかし、もう馬鹿正直に攻めても勝てないのは解っているので、左右からウィンドランスとファイヤーランスをぶち込んだ。
「喝ッッッッッッッツ!!!!!!!!」
だが、剣を振るう訳でもなく……体技スキルの技、気合入魂による衝撃波だけで掻き消された。
(嘘だろ!!!???)
この結果にはここ最近で一番驚かされたアラッド。
だからといって次の手を止めることなく、ロングソードに雷の魔力を纏い、そのまま脱力を駆使した突きを放った。
放たれた攻撃は空を割る雷の槍。
鍔迫り合いに力を使わせ、更には両側から風槍と炎槍の対処。
そこにスピード重視の攻撃が続く。
(見事、見事ですが……やはり強い)
学園を卒業したばかりの騎士でも……今の攻撃を全て対処するのは難しい。
大半の者が風槍か炎槍の対処に失敗。もしくは、雷の猛突にやられてしまう。
しかし、気合入魂で風槍と炎槍を吹き飛ばしただけではなく、集中力を増加させたバイアードを最後の攻撃に見事反応。
「はっ!!!」
刃に火の魔力を纏わせ、アラッドの攻撃を斬り裂いた。
「ッ!!?? い、今の連撃を、軽々と……流石、父さんとグラストさんの大先輩ですね」
「いやいや、正直……気合入魂を使っていなければ、最後の攻撃は対応出来なかった」
お世辞ではなく、正直な感想だった。
(魔法も得意だというのはこの戦いで解ってはいたが、あぁも剣戟の中に自然と織り込む……魔法剣士としての力量は、一流に近いか……同レベルだ)
本当にフールは末恐ろしい子供をつくった……と思ったバイアードだが、実際のところはアラッドが勝手に強くなっただけで、戦闘面に関してフールはあまり触れていない。
(気合入魂か……正直、あれは目標にしてる部分なんだが……実際にやる人は初めて見たな)
自身に飛んでくる攻撃魔法を気合を入れる技で弾き飛ばす。
アラッドも気合入魂は習得しているが、ランス系の魔法を掻き消すことは出来ない。
「すぅーーーー……はぁーーーーーー…………」
「ッ!!!」
先程までに戦意と闘志に満ち溢れた目とは違い…………据わっている。
(ここからか!!)
そう……ここからが、アラッドの本当の全力。
スレッドスラッシュ、スレッドクロウ、スレッドサークルが主な武器。
スレッドチェンジを使用し、扱う糸は全て鋼糸。
つまり……バイアードが体を魔力で防御、もしくは硬化などを使ってガードしなければ、大ダメージを与えられるかはさておき……必ず切れはする。
「ッ! なるほど、これは! 神経を削る、な!!!」
「対応するの、早過ぎませんか」
「これでも、今まで多くの者たちと戦って、きている!!! 経験値のお陰、といったところ、だろう!!!!」
過去に糸を使う暗殺者と戦い、勝利したことがある。
その経験があり、アラッドが次にどういった攻撃を行ってるのか……ある程度は予測出来る。
ただ、これでアラッド自身がロングソードを振るうか、体技を使用する。
そして攻撃、もしくは妨害魔法を発動。
そこに糸による攻撃が加わり……同時に三種類の攻撃を行える。
(ふふ、血が滾るわ!!!!!!)
だが……並ならぬ猛者たちと戦い続けてきた男は……既に全盛期を超えど、騎士としての……戦闘者としてのプライドが、好奇心が引くことを選ばない。
249
お気に入りに追加
6,127
あなたにおすすめの小説

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。


婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。

聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!
つくも
ファンタジー
錬金術士学院を首席で卒業し、念願であった宮廷錬金術師になったエルクはコストカットで王国を追放されてしまう。
しかし国王は知らなかった。王国に代々伝わる聖剣が偽物で、エルクがこっそりと本物の聖剣を錬成してすり替えていたという事に。
宮廷から追放され、途方に暮れていたエルクに声を掛けてきたのは、冒険者学校で講師をしていた時のかつての教え子達であった。
「————先生。私達と一緒に冒険者になりませんか?」
悩んでいたエルクは教え子である彼女等の手を取り、冒険者になった。
————これは、不当な評価を受けていた世界最強錬金術師の冒険譚。錬金術師として規格外の力を持つ彼の実力は次第に世界中に轟く事になる————。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる