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百八十七話 楽しかったけども
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「アラッド様、レイ嬢とのデートはどうだったっすか?」
「えっ? いや、別にデートってほどのもんでもないだろ……うん」
美味な夕食を食べ終えたアラッドは、先日と同じく腕が鈍らないようにポーション造りを行っていた。
「いやいや、何を言ってるんすか。男女が一緒に遊ぶとなれば、それはもうデートっすよ。タニアもそう思うよな」
「そうですね……ダリアの考えは間違っていないと思いますよ」
いつも軽いノリのダリアの言葉に冷静なタニアが賛同し、逃げ道が無くなった。
ガルシアとシーリアの方に顔を向けると、二人は申し訳なさそう人しながらも……ダリアと同意見です、と言いたげな表情になっていた。
「ほら、ダリアもこう言ってることだし……どうだったんすか」
「だうだったと言われてもな……別にそんな特別なことはしてないぞ。お前らも見てただろ」
「ッ!? き、気付いてたんすね」
アラッドの鋭い目を向けられたダリアは隠しても無駄だと感じ、素直に二人の安全の為に付けていたことを白状した。
「気付くに決まってるだろ」
「いや~~~、それでも気配を消すのには自信があったんっすけどね」
「まだまだってことだろ。ガルシア、お前もいただろ」
「ッ!!?? す、すいませんでした!!!」
「いや、別に頭は下げなくて良いって。俺やレイ嬢のことを心配に思っての護衛だろ。別に怒ってないから、頭を上げろ」
「うっす」
本当に……全く、一ミリもアラッドはダリアたちに影から護衛されていたことに起こっていなかった。
(俺はまぁ……初っ端に眠らされたりしなければ、プロが相手でも逃げ切れることは不可能じゃないと思うが、レイ嬢はまだ無理だろうな……俺が一緒に居たところで、完全に逃げ切るのは難しい)
自身が持つ手札を……糸を含めて使い切れば、プロの裏の人間でも一回だけなら逃げ切れると思っている。
ただ、そこにレイ嬢というお荷物が加わってしまうと……さすがのアラッドでも、プロから逃げ切るのは不可能に近い。
「にしても……なんで分かったんすか?」
「なんでって、お前たちがずっと俺とレイ嬢に意識を向けていただろ。状況は違うが、それは森の中で常にモンスターに狙われてる状況と変わらない」
「い、いや~~~……確かにそうかもしれないっすけど……普通は気付かないっすよ」
「普通の令息がCランクのモンスターを一人で倒すと思うか?」
「あぁ~~~~……はは、それもそうっすね」
他の者に言われるよりも先に、自ら普通ではないと答えた。
転生者であるアラッドには、その自覚が十分にある。
「まぁ…………ダリアたち以外の視線もあったけどな」
「……やっぱりそっちも気付いてたんすね」
「気配は上手く消されてたから、ハッキリと詳しい場所までは分らなかったが……あんまり良くない視線を向けられてるのだけは感じた……っておいおい、ガルシア。殺気が漏れてるぞ」
「ッ! す、すいません。つい」
「全く……心配してくれるのは嬉しいけど、街中で暴れる時はあんまり周囲を壊さないようにしてくれよ」
無いに越したことはないが、それでも裏の人間に襲われる様な事になれば……護衛であるガルシアたちが裏の人間とバチバチに殺り合うのは必然。
(にしても、まさか裏の人間? の標的にされてるかも……なんて状況に遭遇するとはな。狙いは父さんの息子である俺か……それともバイアード様の孫娘であるレイ嬢か……自分で言うのもあれだが、どっちも可能性はありそうだな)
アラッド個人としては、自分よりもレイ嬢が狙われる可能性が高いのでは? と思い……一緒に狩りを行うまで、気の抜けない日々が続きそうだなと思ってしまった。
「……んで、話を戻すっすけど。デートの感想はいかがっすか」
「ん~~~~……楽しかった、とは思ってるよ。でも、俺としては……まだ、ガルシアやグレイスさんたちと模擬戦したり、錬金術で何かを造ってる方が楽しいかな」
アラッドらしい答えと言えばそうなのだが、ダリアやガルシアたちはこの先アラッドに良い人が見つかるのか、少々不安になった。
「えっ? いや、別にデートってほどのもんでもないだろ……うん」
美味な夕食を食べ終えたアラッドは、先日と同じく腕が鈍らないようにポーション造りを行っていた。
「いやいや、何を言ってるんすか。男女が一緒に遊ぶとなれば、それはもうデートっすよ。タニアもそう思うよな」
「そうですね……ダリアの考えは間違っていないと思いますよ」
いつも軽いノリのダリアの言葉に冷静なタニアが賛同し、逃げ道が無くなった。
ガルシアとシーリアの方に顔を向けると、二人は申し訳なさそう人しながらも……ダリアと同意見です、と言いたげな表情になっていた。
「ほら、ダリアもこう言ってることだし……どうだったんすか」
「だうだったと言われてもな……別にそんな特別なことはしてないぞ。お前らも見てただろ」
「ッ!? き、気付いてたんすね」
アラッドの鋭い目を向けられたダリアは隠しても無駄だと感じ、素直に二人の安全の為に付けていたことを白状した。
「気付くに決まってるだろ」
「いや~~~、それでも気配を消すのには自信があったんっすけどね」
「まだまだってことだろ。ガルシア、お前もいただろ」
「ッ!!?? す、すいませんでした!!!」
「いや、別に頭は下げなくて良いって。俺やレイ嬢のことを心配に思っての護衛だろ。別に怒ってないから、頭を上げろ」
「うっす」
本当に……全く、一ミリもアラッドはダリアたちに影から護衛されていたことに起こっていなかった。
(俺はまぁ……初っ端に眠らされたりしなければ、プロが相手でも逃げ切れることは不可能じゃないと思うが、レイ嬢はまだ無理だろうな……俺が一緒に居たところで、完全に逃げ切るのは難しい)
自身が持つ手札を……糸を含めて使い切れば、プロの裏の人間でも一回だけなら逃げ切れると思っている。
ただ、そこにレイ嬢というお荷物が加わってしまうと……さすがのアラッドでも、プロから逃げ切るのは不可能に近い。
「にしても……なんで分かったんすか?」
「なんでって、お前たちがずっと俺とレイ嬢に意識を向けていただろ。状況は違うが、それは森の中で常にモンスターに狙われてる状況と変わらない」
「い、いや~~~……確かにそうかもしれないっすけど……普通は気付かないっすよ」
「普通の令息がCランクのモンスターを一人で倒すと思うか?」
「あぁ~~~~……はは、それもそうっすね」
他の者に言われるよりも先に、自ら普通ではないと答えた。
転生者であるアラッドには、その自覚が十分にある。
「まぁ…………ダリアたち以外の視線もあったけどな」
「……やっぱりそっちも気付いてたんすね」
「気配は上手く消されてたから、ハッキリと詳しい場所までは分らなかったが……あんまり良くない視線を向けられてるのだけは感じた……っておいおい、ガルシア。殺気が漏れてるぞ」
「ッ! す、すいません。つい」
「全く……心配してくれるのは嬉しいけど、街中で暴れる時はあんまり周囲を壊さないようにしてくれよ」
無いに越したことはないが、それでも裏の人間に襲われる様な事になれば……護衛であるガルシアたちが裏の人間とバチバチに殺り合うのは必然。
(にしても、まさか裏の人間? の標的にされてるかも……なんて状況に遭遇するとはな。狙いは父さんの息子である俺か……それともバイアード様の孫娘であるレイ嬢か……自分で言うのもあれだが、どっちも可能性はありそうだな)
アラッド個人としては、自分よりもレイ嬢が狙われる可能性が高いのでは? と思い……一緒に狩りを行うまで、気の抜けない日々が続きそうだなと思ってしまった。
「……んで、話を戻すっすけど。デートの感想はいかがっすか」
「ん~~~~……楽しかった、とは思ってるよ。でも、俺としては……まだ、ガルシアやグレイスさんたちと模擬戦したり、錬金術で何かを造ってる方が楽しいかな」
アラッドらしい答えと言えばそうなのだが、ダリアやガルシアたちはこの先アラッドに良い人が見つかるのか、少々不安になった。
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追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
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2024/02/23
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