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百七十話 独断で支払うと決めた
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(少し前ならこの光景を見て驚いたかもしれないが、これ以上の光景を見たからか……そんなに驚かないな)
レナルトの直ぐ傍に到着し、街を外敵から守る壁を見てアラッドはそんな感想を持った。
アラッド一行は貴族用の門から中へと入り、まずは指定された宿へと向かう。
(……なんて豪華そうな宿なんだ)
街の外壁には驚かなかったアラッドだが、本日から少しの期間泊まる宿を見て驚いてしまった。
アラッドとしては、普通の宿で構わないと思ってたいのだが、泊る宿はイグリシアス家側が決めた。
アラッドは言われた通りにその宿に向かったが、アラッドたちがこれから泊まる宿である宿り木はレナルトで一番の宿と評判が高い店。
名前だけ見れば庶民っぽい名前だが、泊りに来る客は貴族や商人が多い。
「アラッド様、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ……大丈夫だ。中に入ろう」
中へと入り、まずはチェックイン。
そして本日から泊まる部屋の中を確認し、アラッドは宿の職員に質問した。
「すいません、イグリシアス家の方々は既に到着していますか」
ここで無理に問わずとも、夜になれば必然的に宿で落ち合うのだが、それはそれで失礼な気がしたアラッド。
とりあえず、何処にいるのか……そもそも既に宿に到着しているのかを尋ねた。
「イグリシアス侯爵家の方々であれば、先日の夕方過ぎに到着されまして、本日朝食を食べてから冒険者ギルドの訓練場に向かうとおっしゃっていました」
「冒険者ギルドの訓練場ですか。ありがとうございます」
いったい何処に行けばイグリシアス家の者たちに……レイ嬢に会えるのか分かった。
ちなみに、今回の宿代はイグリシアス家の方から私用で街に少しの間滞在すると伝えられたレナルトの領主が全て支払う決断した。
これは決してイグリシアス家とパーシブル家がレナルトの領主を脅しているのではなく、領主が独断で決めたこと。
「アラッド様、これから冒険者ギルドに向かわれますか?」
「……そりゃあ、居場所を知ってたのに向かわないと後々面倒になりそうだし、行くよ」
面倒な事になるかもしれないなら、最初から聞かなければ良いのでは?
そう思うかもしれないが、それはそれで何故聞かなかったという問題になるかもしれない。
結局のところ、アラッドはレイ嬢一行がレナルトに到着しているのであれば、一先ず彼女たちと合流しなければならない。
冒険者ギルドまでの道は既にグラストが覚えており、迷うことなく冒険者ギルドへと向かう。
(アラッド様、冒険者ギルドに近づくにつれてテンションが下がっているな……レイ嬢のお爺さんであるバイアード様もいるんだから、そろそろポーカーフェイスをした方が良いと思うんだが……まっ、アラッド様はバカじゃないんだしそれぐらい分かってるか)
自分が助言するだけ無駄だろうと思い、ダリルはアラッドにそろそろ表情を戻した方が良いですよと言わなかった。
そして、ついに冒険者ギルドへと到着。
中に入ると……昼間ではあるが、冒険者たちがチラホラといた。
(視線が集まるな……まっ、俺はあんまり注目されてないみたいだし、気にする必要はないな)
アラッド一行がギルドに入ると、ギルド内にいた冒険者……だけではなく、職員達もがアラッドたちに視線を向けた。
明らかに飛び抜けた強さを持ち、ハイレベルな容姿を持ち合わせる集団。
冒険者とギルド職員たちはアラッドたちにそんな印象を持った。
そして先頭を歩くアラッドが貴族の令息だということも直ぐに理解し……誰一人としてアラッドたちに絡もうとする者はいなかった。
理由は単純であり、グラストとダリルとガルシアの三人が面倒な輩が近寄ってこない様に、近寄りがたいオーラを放っていたから。
三人はアラッドに面倒が寄ってこない様に務め、その任務をこなしながらいよいよ訓練場に入場。
「……朝食食べた後から元気過ぎないか?」
訓練場で木剣を使い、バチバチに模擬戦を行っているレイ嬢とバイアードを見て、思わずそんな言葉を零した。
レナルトの直ぐ傍に到着し、街を外敵から守る壁を見てアラッドはそんな感想を持った。
アラッド一行は貴族用の門から中へと入り、まずは指定された宿へと向かう。
(……なんて豪華そうな宿なんだ)
街の外壁には驚かなかったアラッドだが、本日から少しの期間泊まる宿を見て驚いてしまった。
アラッドとしては、普通の宿で構わないと思ってたいのだが、泊る宿はイグリシアス家側が決めた。
アラッドは言われた通りにその宿に向かったが、アラッドたちがこれから泊まる宿である宿り木はレナルトで一番の宿と評判が高い店。
名前だけ見れば庶民っぽい名前だが、泊りに来る客は貴族や商人が多い。
「アラッド様、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ……大丈夫だ。中に入ろう」
中へと入り、まずはチェックイン。
そして本日から泊まる部屋の中を確認し、アラッドは宿の職員に質問した。
「すいません、イグリシアス家の方々は既に到着していますか」
ここで無理に問わずとも、夜になれば必然的に宿で落ち合うのだが、それはそれで失礼な気がしたアラッド。
とりあえず、何処にいるのか……そもそも既に宿に到着しているのかを尋ねた。
「イグリシアス侯爵家の方々であれば、先日の夕方過ぎに到着されまして、本日朝食を食べてから冒険者ギルドの訓練場に向かうとおっしゃっていました」
「冒険者ギルドの訓練場ですか。ありがとうございます」
いったい何処に行けばイグリシアス家の者たちに……レイ嬢に会えるのか分かった。
ちなみに、今回の宿代はイグリシアス家の方から私用で街に少しの間滞在すると伝えられたレナルトの領主が全て支払う決断した。
これは決してイグリシアス家とパーシブル家がレナルトの領主を脅しているのではなく、領主が独断で決めたこと。
「アラッド様、これから冒険者ギルドに向かわれますか?」
「……そりゃあ、居場所を知ってたのに向かわないと後々面倒になりそうだし、行くよ」
面倒な事になるかもしれないなら、最初から聞かなければ良いのでは?
そう思うかもしれないが、それはそれで何故聞かなかったという問題になるかもしれない。
結局のところ、アラッドはレイ嬢一行がレナルトに到着しているのであれば、一先ず彼女たちと合流しなければならない。
冒険者ギルドまでの道は既にグラストが覚えており、迷うことなく冒険者ギルドへと向かう。
(アラッド様、冒険者ギルドに近づくにつれてテンションが下がっているな……レイ嬢のお爺さんであるバイアード様もいるんだから、そろそろポーカーフェイスをした方が良いと思うんだが……まっ、アラッド様はバカじゃないんだしそれぐらい分かってるか)
自分が助言するだけ無駄だろうと思い、ダリルはアラッドにそろそろ表情を戻した方が良いですよと言わなかった。
そして、ついに冒険者ギルドへと到着。
中に入ると……昼間ではあるが、冒険者たちがチラホラといた。
(視線が集まるな……まっ、俺はあんまり注目されてないみたいだし、気にする必要はないな)
アラッド一行がギルドに入ると、ギルド内にいた冒険者……だけではなく、職員達もがアラッドたちに視線を向けた。
明らかに飛び抜けた強さを持ち、ハイレベルな容姿を持ち合わせる集団。
冒険者とギルド職員たちはアラッドたちにそんな印象を持った。
そして先頭を歩くアラッドが貴族の令息だということも直ぐに理解し……誰一人としてアラッドたちに絡もうとする者はいなかった。
理由は単純であり、グラストとダリルとガルシアの三人が面倒な輩が近寄ってこない様に、近寄りがたいオーラを放っていたから。
三人はアラッドに面倒が寄ってこない様に務め、その任務をこなしながらいよいよ訓練場に入場。
「……朝食食べた後から元気過ぎないか?」
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