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百六十七話 大成する道は……
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「アラッド様、表情が暗いっすよ」
「……だろうな。自分でも解ってるよ」
レイと集合する街、レナルトに向かって現在アラッドたちは馬車で移動している。
今回レナルトに向かうにあたって、アラッドと同行するメンバーは奴隷であるガルシアとシーリア。
そしてパーシブル家に仕える騎士たちの長であるグラストに加えて、同じ騎士のダリア。
加えて、魔法使いのモニカ。
この五人がアラッドを危害から守るために、今回の旅に同行する。
プラス、今回はクロも一緒に行動しているので、何かあった時の戦力としては申し分ない。
「イグリシアス家のご令嬢様は、アラッド様が苦手なタイプなんっすか? 噂を聞く限りは寧ろ合いそうな気がしますけど」
軽く、少々おチャラけた雰囲気で話すダリアだが、まだ歳が若いにも関わらず相当な腕を持つ騎士。
盾の扱いにも優れており、攻守万能であり将来を有望されている。
王都の騎士団に所属していれば、順調に出世した可能性もあるが、所属組織の雰囲気と憧れる存在のことを考えた結果、パーシブル家に仕える道を選んだ。
「合うとは思う。実際に話してみて、悪くない人だとは思った。まぁ、いきなり模擬戦をしてほしいと頼まれた時は驚いたけどな」
「その話は本当だったんっすね。大胆というか豪胆というか……でも、その勝負はアラッド様の圧勝で終わったって聞きましたよ」
「俺もレイ嬢も全力ではなかったからな……ただ、レイ嬢と戦って驚かされた」
「あぁ~~~……異様に身体能力が高いんでしたっけ」
「戦えば、全員それを実感する」
真剣に話すアラッドの表情を見て、ダリアは真面目にレイ・イグリシアスが頭一つ抜けた存在だと解った。
だが、アラッドたちが屋敷から遠出する際にダリアは護衛の騎士として同行したことがあり、その実力を実際に観たことがある。
そう、子供らしからぬ実力を持っているアラッドが褒めるからこそ、レイ・イグリシアスが将来有望であることが窺える。
(あのアラッド様がこんなに真面目に褒めるとは……イグリシアス家は騎士の家系だし、十年後ぐらいに騎士界を騒がせるのはレイ嬢かもしれないっすね)
世間一般では同じ騎士の男性と女性が戦えば男性有利と思われるかもしれないが、実際のところはそんな簡単な力バランスではない。
アラッドがパーティーを抜け出した時に偶々模擬戦を行った女性騎士、モーナは同期の男性騎士であればそれなりの勝率を誇る。
「なら……やっぱりあれっすか。アラッド様がそんなに暗い表情なのは、バイアード様がいるからっすね」
「その通りだよ……立場的に雰囲気が苦しく感じるんで、来ないでください。なんて言えないだろ」
「そ、そうっすね……おそらくそんな事を言ったら、面倒なことになると思うっす」
「それは俺も容易に想像できる。でも……俺があんまりにも自意識過剰でなければ、バイアード様は俺に騎士の道に進んで欲しいと望んでると思うんだよ」
アラッドの自意識過剰ではなく、それは紛れもない事実であった。
(そりゃ元騎士団所属のバイアード様からすれば、将来超超超有望なアラッド様には是非とも騎士の道に進んで欲しいと思うっすよ。アラッド様なら歴代最速で騎士団長になるのは夢ではない……と、思うんすよね。実力的には)
目の前の子供が歳不相応な力を有しているのは知っているが、冒険者の道を目指しているためか、あまり貴族らしくない性格であるということも知っている。
なので、ダリアは惜しいとは思うがアラッドは冒険者の道に進む方が大成すると思っている。
「……もの凄く勧誘して来るかどうかは置いといて、バイアード様の性格的に一度アラッド様と全力でぶつかり合いたい、って提案して来るかもしれないっすね」
「それは……何故に?」
バイアードの性格を全く知らないアラッドからすれば、頭の上にいくつものはてなマークが浮かぶ。
「単純に騎士としての血が騒ぐから、って言ってたっすね」
「……失礼だが、騎士としての血ではなく狂戦士としての血ではないのか?」
「ぶっ!! え、えっと……まぁ、裏ではよくそう言われてるっすね」
本人の前では言えないが、多くの騎士たちはアラッドと同じ様な事を思っていた。
「……だろうな。自分でも解ってるよ」
レイと集合する街、レナルトに向かって現在アラッドたちは馬車で移動している。
今回レナルトに向かうにあたって、アラッドと同行するメンバーは奴隷であるガルシアとシーリア。
そしてパーシブル家に仕える騎士たちの長であるグラストに加えて、同じ騎士のダリア。
加えて、魔法使いのモニカ。
この五人がアラッドを危害から守るために、今回の旅に同行する。
プラス、今回はクロも一緒に行動しているので、何かあった時の戦力としては申し分ない。
「イグリシアス家のご令嬢様は、アラッド様が苦手なタイプなんっすか? 噂を聞く限りは寧ろ合いそうな気がしますけど」
軽く、少々おチャラけた雰囲気で話すダリアだが、まだ歳が若いにも関わらず相当な腕を持つ騎士。
盾の扱いにも優れており、攻守万能であり将来を有望されている。
王都の騎士団に所属していれば、順調に出世した可能性もあるが、所属組織の雰囲気と憧れる存在のことを考えた結果、パーシブル家に仕える道を選んだ。
「合うとは思う。実際に話してみて、悪くない人だとは思った。まぁ、いきなり模擬戦をしてほしいと頼まれた時は驚いたけどな」
「その話は本当だったんっすね。大胆というか豪胆というか……でも、その勝負はアラッド様の圧勝で終わったって聞きましたよ」
「俺もレイ嬢も全力ではなかったからな……ただ、レイ嬢と戦って驚かされた」
「あぁ~~~……異様に身体能力が高いんでしたっけ」
「戦えば、全員それを実感する」
真剣に話すアラッドの表情を見て、ダリアは真面目にレイ・イグリシアスが頭一つ抜けた存在だと解った。
だが、アラッドたちが屋敷から遠出する際にダリアは護衛の騎士として同行したことがあり、その実力を実際に観たことがある。
そう、子供らしからぬ実力を持っているアラッドが褒めるからこそ、レイ・イグリシアスが将来有望であることが窺える。
(あのアラッド様がこんなに真面目に褒めるとは……イグリシアス家は騎士の家系だし、十年後ぐらいに騎士界を騒がせるのはレイ嬢かもしれないっすね)
世間一般では同じ騎士の男性と女性が戦えば男性有利と思われるかもしれないが、実際のところはそんな簡単な力バランスではない。
アラッドがパーティーを抜け出した時に偶々模擬戦を行った女性騎士、モーナは同期の男性騎士であればそれなりの勝率を誇る。
「なら……やっぱりあれっすか。アラッド様がそんなに暗い表情なのは、バイアード様がいるからっすね」
「その通りだよ……立場的に雰囲気が苦しく感じるんで、来ないでください。なんて言えないだろ」
「そ、そうっすね……おそらくそんな事を言ったら、面倒なことになると思うっす」
「それは俺も容易に想像できる。でも……俺があんまりにも自意識過剰でなければ、バイアード様は俺に騎士の道に進んで欲しいと望んでると思うんだよ」
アラッドの自意識過剰ではなく、それは紛れもない事実であった。
(そりゃ元騎士団所属のバイアード様からすれば、将来超超超有望なアラッド様には是非とも騎士の道に進んで欲しいと思うっすよ。アラッド様なら歴代最速で騎士団長になるのは夢ではない……と、思うんすよね。実力的には)
目の前の子供が歳不相応な力を有しているのは知っているが、冒険者の道を目指しているためか、あまり貴族らしくない性格であるということも知っている。
なので、ダリアは惜しいとは思うがアラッドは冒険者の道に進む方が大成すると思っている。
「……もの凄く勧誘して来るかどうかは置いといて、バイアード様の性格的に一度アラッド様と全力でぶつかり合いたい、って提案して来るかもしれないっすね」
「それは……何故に?」
バイアードの性格を全く知らないアラッドからすれば、頭の上にいくつものはてなマークが浮かぶ。
「単純に騎士としての血が騒ぐから、って言ってたっすね」
「……失礼だが、騎士としての血ではなく狂戦士としての血ではないのか?」
「ぶっ!! え、えっと……まぁ、裏ではよくそう言われてるっすね」
本人の前では言えないが、多くの騎士たちはアラッドと同じ様な事を思っていた。
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