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百五十話 高揚していた気分が……
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「みんなテンション高いな」
司会者が軽く挨拶をし、オークション開始を宣言すると殆ど者たちが大拍手を送り、盛り上がっていた。
(まぁ、ドキドキしてるのは俺も一緒だと思うけど)
周りの大人みたいに盛り上がることは出来ないが、それでもこれから本当にオークションが始まると思うと気分が高揚してしまう。
ただし……オークション開始早々、アラッドのテンションは若干下がった。
その理由はとても単純。
出品された商品がアラッドにとって、一ミリも興味がない品だったから。
だが、それでも絵画や彫刻、家具などは権力者にとって自分の財力を示すのに重要な道具。
中には単純にコレクターとして集めたい者もいる。
しかしそれらはアラッドが一ミリも欲しいと思わない品々であり、少し前であれば疲れが取れるベッドが欲しいと思っていたが、国王様からこの世で一つしかないチェスを送ったことで最高級のベッドが手に入った。
(……俺がまだまだガキだからか、絵画とか彫刻……音楽楽器とかの良さは全くもって分からないな)
ただ、左右をチラッと見れば買いはせずとも、フールやグラストが楽しそうに舞台に出てくる品々を見ているのが分かる。
(やっぱり、俺には貴族としてのその辺りの感覚が欠けてるんだろうな。でも、ドラングやガルア兄さんもあんまりあぁいった物に興味はないし……それはそれで別におかしくない、か?)
アラッドの年頃では、絵画や彫刻に興味を持てないのも仕方がない。
子供ながらにそういった分野で才能を発揮する者は確かにいるが、数は限りなく少なく、アラッドのような反応が正しい。
「百五十枚!!!!」
「百五十枚、百五十枚が出ました!! 他にはないでしょうか……百五十枚で決まりです!!!」
誰かが出費品を落札する度に、競り落とした者に対して拍手が送られる。
中には当然、自身の財力では手が届かず悔しそうな表情をしている者もいるが、一応拍手はしていた。
ちなみに、百五十枚というのは金貨百五十枚。
白金貨一枚と金貨五十枚が一つの絵画の値段に付いたのだ。
そして落札額の二割が主催者側の懐に入り、出品者には金貨百二十枚が送られる。
(ピ〇ソみたいに、何が凄いのか訳分からないって感じの絵ではないけど……ただ、あれに金貨百枚以上出して手に入れたいって気持ちはやっぱり分からないな)
序盤からアラッドにとって興味が薄い商品ばかりが続き、高まっていた気分が次第に下がり、普段通りに戻った。
(まぁ、いずれ鉱石とかも出てくるだろうし……それまでの我慢だな)
興味がある品が出てくるまでの我慢。
そう自分に言い聞かせてその時を待つ。
ただ……大の大人たちが子供の様に夢中で、熱くなって競り合う光景は決して嫌いではなかった。
そして約一時間後、ようやくアラッドが興味を示すしながら舞台に現れた。
(あれは……ミスリルだな)
遠目からでもハッキリと分かる。
オーアルドラゴンが鉱山に住み着いてから、少量ではあるが採掘できるようになった。
だが、舞台の上に現れたミスリル鉱石の大きさは中々の物。
アラッドが今まで観てきたミスリル鉱石の中でも一番大きい。
「こちらのミスリル鉱石、三十枚からのスタートになります」
「三十三枚!!」
「三十八枚!!!」
「四十枚!!!」
見た目は確かに綺麗なミスリル鉱石だが、決して宝石ではない。
だが、それでも武器の素材として使うには非常に優れている。
その質を十全に引き出せる鍛冶師は多くないが、それでも武闘派の貴族からすれば自身の武器の素材として……将来真剣を持つ子供たちの為に送る武器の素材として欲しいところ。
だが、使い道は違えどアラッドにとっても欲しいと貴重な素材。
「五十五枚!!!!」
とある貴族が落札額を伝えたところで、他の貴族や商人たちが押し黙った。
金貨五十五枚で決定か……そう思われた時、ようやくアラッドがオークションに初めて参戦した。
司会者が軽く挨拶をし、オークション開始を宣言すると殆ど者たちが大拍手を送り、盛り上がっていた。
(まぁ、ドキドキしてるのは俺も一緒だと思うけど)
周りの大人みたいに盛り上がることは出来ないが、それでもこれから本当にオークションが始まると思うと気分が高揚してしまう。
ただし……オークション開始早々、アラッドのテンションは若干下がった。
その理由はとても単純。
出品された商品がアラッドにとって、一ミリも興味がない品だったから。
だが、それでも絵画や彫刻、家具などは権力者にとって自分の財力を示すのに重要な道具。
中には単純にコレクターとして集めたい者もいる。
しかしそれらはアラッドが一ミリも欲しいと思わない品々であり、少し前であれば疲れが取れるベッドが欲しいと思っていたが、国王様からこの世で一つしかないチェスを送ったことで最高級のベッドが手に入った。
(……俺がまだまだガキだからか、絵画とか彫刻……音楽楽器とかの良さは全くもって分からないな)
ただ、左右をチラッと見れば買いはせずとも、フールやグラストが楽しそうに舞台に出てくる品々を見ているのが分かる。
(やっぱり、俺には貴族としてのその辺りの感覚が欠けてるんだろうな。でも、ドラングやガルア兄さんもあんまりあぁいった物に興味はないし……それはそれで別におかしくない、か?)
アラッドの年頃では、絵画や彫刻に興味を持てないのも仕方がない。
子供ながらにそういった分野で才能を発揮する者は確かにいるが、数は限りなく少なく、アラッドのような反応が正しい。
「百五十枚!!!!」
「百五十枚、百五十枚が出ました!! 他にはないでしょうか……百五十枚で決まりです!!!」
誰かが出費品を落札する度に、競り落とした者に対して拍手が送られる。
中には当然、自身の財力では手が届かず悔しそうな表情をしている者もいるが、一応拍手はしていた。
ちなみに、百五十枚というのは金貨百五十枚。
白金貨一枚と金貨五十枚が一つの絵画の値段に付いたのだ。
そして落札額の二割が主催者側の懐に入り、出品者には金貨百二十枚が送られる。
(ピ〇ソみたいに、何が凄いのか訳分からないって感じの絵ではないけど……ただ、あれに金貨百枚以上出して手に入れたいって気持ちはやっぱり分からないな)
序盤からアラッドにとって興味が薄い商品ばかりが続き、高まっていた気分が次第に下がり、普段通りに戻った。
(まぁ、いずれ鉱石とかも出てくるだろうし……それまでの我慢だな)
興味がある品が出てくるまでの我慢。
そう自分に言い聞かせてその時を待つ。
ただ……大の大人たちが子供の様に夢中で、熱くなって競り合う光景は決して嫌いではなかった。
そして約一時間後、ようやくアラッドが興味を示すしながら舞台に現れた。
(あれは……ミスリルだな)
遠目からでもハッキリと分かる。
オーアルドラゴンが鉱山に住み着いてから、少量ではあるが採掘できるようになった。
だが、舞台の上に現れたミスリル鉱石の大きさは中々の物。
アラッドが今まで観てきたミスリル鉱石の中でも一番大きい。
「こちらのミスリル鉱石、三十枚からのスタートになります」
「三十三枚!!」
「三十八枚!!!」
「四十枚!!!」
見た目は確かに綺麗なミスリル鉱石だが、決して宝石ではない。
だが、それでも武器の素材として使うには非常に優れている。
その質を十全に引き出せる鍛冶師は多くないが、それでも武闘派の貴族からすれば自身の武器の素材として……将来真剣を持つ子供たちの為に送る武器の素材として欲しいところ。
だが、使い道は違えどアラッドにとっても欲しいと貴重な素材。
「五十五枚!!!!」
とある貴族が落札額を伝えたところで、他の貴族や商人たちが押し黙った。
金貨五十五枚で決定か……そう思われた時、ようやくアラッドがオークションに初めて参戦した。
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