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百二十一話 どれぐらいまで耐えられるのか

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(王都程ではないが、デカい街だな……うちも負けてないが、本当にデカい)

グスタフ公爵領の大きさにアラッドが驚いているを見て、フールは小さく笑った。

「どうだい、グスタフ公爵領は大きいだろ」

「そう、ですね。とても大きいかと」

大きい街だ。そこに関して驚いたのは間違いない。
だが、驚かされたのはそこだけではない。

街を守るための城壁や、その城壁に設置されている道具に興味が湧いた。

(街を守るために金を使うのは当然だと思うが、この城壁を突破するのは高ランクのモンスターでも難しいだろうな。それと、あの魔道具は結界を張るやつだよな)

偶に街のマジックアイテムを売っている店を訪れることがあるので、城壁に設置されているマジックアイテムには見覚えがあった。

(あそこに設置されてるってことは……上空は完全に守られてるってことか。どれだけ高価な結界装置なのかは分からないが、公爵家が領を……領民を守るために設置しているマジックアイテムだ、ドラゴンのブレス一発ぐらいなら耐えられそうだな)

まだ街に入っていないにもかかわらず、アラッドはグスタフ公爵の財力に驚かされていた。
だが、ぶっちゃけたところ財力であればアラッドも負けてはいないのだが……そんなことは頭の中からすっぽり抜けていた。

「さて、アラッド。お茶会は明日なんだけど、今日はまだ日が暮れるまで時間がある。夕食の時間までどうする?」

「…………可能であれば、グスタフ公爵領をぶらっと見て回りたいです」

「うん、やっぱりそうだよね」

三男とはいえ、アラッドも侯爵家の令息。
本来なら万が一を考えて翌日まで宿から出ない方が賢明ではあるが、フールは息子にそんな窮屈を押し付けるつもりはなかった。

「でも、騎士たちの護衛は付けるよ。それと、昼食はどうする?」

「そうですね……屋台で色々と食べようと思います」

フールに頼めば高級料理が出てくる。
しかし今はなんとなく庶民的な料理が食べたい気分だった。

そして長い列をなしている者たちとは別の場所から入り、グスタフ公爵領の中へと入った。
中はとても活気があるが、そこに関しては特に驚かない。

(やっぱりうちは負けてないな)

パーシブル侯爵領の活気も負けていない。
そう確信したアラッドは無意識に口端を上げていた。

「何か面白い物でも見えたかい?」

「いえ、そういう訳ではありません」

少しの間馬車に揺られ、ようやくグスタフ公爵領に滞在する間泊る宿へと到着。

アラッドは直ぐに三人の騎士と一緒にグスタフ公爵領の散策を始めた。

「……なぁ、随分と視線を向けられるな」

「アラッド様のカッコ良さに目を奪われているのかもしれませんね」

「そういう冗談はいらない」

騎士としては冗談ではなかったが、直ぐに視線をチラチラと向けられる理由をアラッドに伝えた。

「そうですね……単純に、騎士三人を連れて歩いている令息が少し珍しいのかもしれませんね」

「あぁ、そうか。肝心なことを忘れていたな」

傍にクロ以外の人物、兵士が二人と魔法使い一人がいる状況が外にいる時は当たり前だった。
そしてその光景は街の人々にとって普段通りのもの。

なので向けられる視線に好奇や物色するような類のものはない。

だが、現在その様な視線を多く向けられていた。

「それと、アラッド様の買い食いっぷりがあまりにも馴染んでいるのも理由の一つかもしれませんね」

「?? それは良く分からないが……まぁ、どうでも良いか。とりあえず良い感じの武器屋にでも行こう」

「かしこまりました」

グスタフ公爵領の情報が頭に入っている騎士が先導して有名店に案内した。

「ふふ、やっぱり武器屋は良いな」

そう呟きながらアラッドは店に並べられている武器一つ一つに宝石のように輝いた目を向ける。

(こうしてみると、やはりアラッド様はまだ七歳の子供だと再認識出来るな……それでも実力は一級品だが)

その店は結局何も買わなかったが、店主から「冷やかしならくんじゃねぇ」と怒鳴られることなく店を出て別の武器屋へと向かった。
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