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百二十話 数によっては逃げる
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襲ってきたワイルドグリズリーをスレッドサークルで倒し終えた後、自分たちが倒したわけではないが持ったないのでリザードの死体も解体を始めた。
(まぁまぁ手負いの状態だったけど、それでも一撃で倒せたよな……もう、Cランクのモンスターと遭遇してもビビる必要はないか)
百パーセントと勝てる保証はない。
だが、自身の手札と身体能力。基本的にいつも一緒に行動しているクロの戦力を考えれば、おそらく負けることはない。
(スケルトンナイトアーマーもクロと一緒なら余裕で倒せたんだし……今度からは積極的に狩りに行くか)
年齢を考えればまだモンスターと戦うのも危ないのだが、転生者であるアラッドにはそんなこと関係無い。
「考え事ですか、アラッド様」
「……バレましたか」
「眉間にしわが寄っていましたので、何か考え事をしてるのかと思いまして」
一緒に解体をしている騎士の一人が表情の変化に気が付き、アラッドに声を掛けた。
「何か悩んでいらっしゃるのであれば、解決することは出来ないかもしれませんが、相談には乗ります」
「ありがとうございます。でも大丈夫です。悩みごとなどではなく、一つこれからの生活に関して決めただけなので」
「それは……訓練のメニューを増やすなどといったことでしょうか?」
「いや、訓練メニューは今まで通りです……森の中でモンスターを狩る際に、Cランクのモンスターも積極的に狩っていこうと思って」
「……なるほど、そういうことでしたか」
普通ならば「そんな危ないことはお止めください!!」と止める場面ではあるが、騎士はアラッドが普通ではないことを理解している。
なので「それはもう少し歳を取ってからにした方が良いのでは?」などと無駄なことは言わない。
ただ、一つだけ忠告はしておきたいと思った。
「アラッド様とクロの戦力を考えれば問題はないと思いますが、Cランクのモンスターが複数現れた場合は逃げるという選択肢をお勧めします」
「頭の中に入れておきます」
前回、冒険者たちが盗賊を討伐した際に火葬、もしくは地面に埋めずに立ち去ってしまったお陰で大量のスケルトンやリッチ、その上位種と戦う羽目になった。
その際に二体のCランクモンスターがいたが、その際は難無く倒せた。
(俺はクロと一緒に戦ってたから楽に倒せたけど、兵士や魔法使いさんたちの戦力だと……余裕を持って倒すにはやっぱり三人で一体を相手するのが一番良いか。クロも多分やろうと思えば、一人で倒せる。俺も一体であれば一人で倒せるだろうから……三体、もしくは四体が限界か)
Cランクモンスターが何体いれば引いた方が計算しながら解体を続ける。
「ありがとうございます……それにしても、随分と解体作業に慣れていますね」
「二日に一日は森の中に入ってモンスターを狩って、その場で解体してますからね」
「そうですか……本当にアラッド様は逞しいですね」
騎士たちは普段、アラッドの護衛として狩りに付き添うことはないので、実戦と狩りを行う様子は殆ど見たことがない。
(私が七歳の頃はそれなりに訓練はしていましたが、空いた時間は冒険譚などを読んでいましたが……やはりアラッド様は特別お方ですね)
騎士たちも偶に遠征という形で街から離れた森に入り、野営を行う。
そこで当然モンスターと戦い解体することがある。
そんな自分たちとアラッドのモンスターを解体する腕には大して差がない。
その事実に自分たちとは違うと解っていても、驚かせられてしまう。
こうして二体のCランクモンスターは無事解体され、錬金術に使える素材は全てアラッドの物。
そして肉はグスタフ公爵領に着くまでの食料となった。
それなりの人数が同行していたこともあり、肉は無事に無駄にすることなく完食。
「ふふ。見えてきたよ、アラッド」
「……その様ですね、父さん」
ようやく……ようやくお茶会が行われるグスタフ公爵領が見えてきた。
(まぁまぁ手負いの状態だったけど、それでも一撃で倒せたよな……もう、Cランクのモンスターと遭遇してもビビる必要はないか)
百パーセントと勝てる保証はない。
だが、自身の手札と身体能力。基本的にいつも一緒に行動しているクロの戦力を考えれば、おそらく負けることはない。
(スケルトンナイトアーマーもクロと一緒なら余裕で倒せたんだし……今度からは積極的に狩りに行くか)
年齢を考えればまだモンスターと戦うのも危ないのだが、転生者であるアラッドにはそんなこと関係無い。
「考え事ですか、アラッド様」
「……バレましたか」
「眉間にしわが寄っていましたので、何か考え事をしてるのかと思いまして」
一緒に解体をしている騎士の一人が表情の変化に気が付き、アラッドに声を掛けた。
「何か悩んでいらっしゃるのであれば、解決することは出来ないかもしれませんが、相談には乗ります」
「ありがとうございます。でも大丈夫です。悩みごとなどではなく、一つこれからの生活に関して決めただけなので」
「それは……訓練のメニューを増やすなどといったことでしょうか?」
「いや、訓練メニューは今まで通りです……森の中でモンスターを狩る際に、Cランクのモンスターも積極的に狩っていこうと思って」
「……なるほど、そういうことでしたか」
普通ならば「そんな危ないことはお止めください!!」と止める場面ではあるが、騎士はアラッドが普通ではないことを理解している。
なので「それはもう少し歳を取ってからにした方が良いのでは?」などと無駄なことは言わない。
ただ、一つだけ忠告はしておきたいと思った。
「アラッド様とクロの戦力を考えれば問題はないと思いますが、Cランクのモンスターが複数現れた場合は逃げるという選択肢をお勧めします」
「頭の中に入れておきます」
前回、冒険者たちが盗賊を討伐した際に火葬、もしくは地面に埋めずに立ち去ってしまったお陰で大量のスケルトンやリッチ、その上位種と戦う羽目になった。
その際に二体のCランクモンスターがいたが、その際は難無く倒せた。
(俺はクロと一緒に戦ってたから楽に倒せたけど、兵士や魔法使いさんたちの戦力だと……余裕を持って倒すにはやっぱり三人で一体を相手するのが一番良いか。クロも多分やろうと思えば、一人で倒せる。俺も一体であれば一人で倒せるだろうから……三体、もしくは四体が限界か)
Cランクモンスターが何体いれば引いた方が計算しながら解体を続ける。
「ありがとうございます……それにしても、随分と解体作業に慣れていますね」
「二日に一日は森の中に入ってモンスターを狩って、その場で解体してますからね」
「そうですか……本当にアラッド様は逞しいですね」
騎士たちは普段、アラッドの護衛として狩りに付き添うことはないので、実戦と狩りを行う様子は殆ど見たことがない。
(私が七歳の頃はそれなりに訓練はしていましたが、空いた時間は冒険譚などを読んでいましたが……やはりアラッド様は特別お方ですね)
騎士たちも偶に遠征という形で街から離れた森に入り、野営を行う。
そこで当然モンスターと戦い解体することがある。
そんな自分たちとアラッドのモンスターを解体する腕には大して差がない。
その事実に自分たちとは違うと解っていても、驚かせられてしまう。
こうして二体のCランクモンスターは無事解体され、錬金術に使える素材は全てアラッドの物。
そして肉はグスタフ公爵領に着くまでの食料となった。
それなりの人数が同行していたこともあり、肉は無事に無駄にすることなく完食。
「ふふ。見えてきたよ、アラッド」
「……その様ですね、父さん」
ようやく……ようやくお茶会が行われるグスタフ公爵領が見えてきた。
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