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百二話 色々やってはいるが
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「……なぁ、アッシュ。見てて楽しいか?」
「はい!!!」
発売前にプレミア品を大量に作っておいたお陰で、仕事に忙殺される日々を回避したアラッド。
現在でもリグラットから頼まれる度にプレミア品を作ってはいるが、忙し過ぎる日々と比べればなんてことはない。
そして今は自室で錬金術を行っている。
(アッシュはもしかしたら学者とか、そういう系の道に進むのかもしれないな)
第一夫人であるエリアの子供である五男のアッシュ。
双子の次女、シルフィーと違って大人しい性格。
(シルフィーはタイプは違えど、ルリナ姉さんに似てるよな。体動かすの大好きだし)
シルフィーとアッシュはアラッドの四つ下。
しっかりと自分の力で立ち、言葉を喋るようになったのは最近。
ドラングと少々似ており、フールの強さに憧れている部分がある。
それ故に、まだ三人にも拘わらず訓練場の隅で女性騎士や兵士と一緒に素振りなどを行っている。
(双子だからそれなりに似るのかと思ったけど、案外そうでもないんだな)
二人ともフールとエリアの遺伝子を引いているので、顔面偏差値は幼いながら高いのがうかがえる。
だが、片方は元気で活発。そしてもう片方は元気がない訳ではないが、片割れほど元気に溢れてはいない。
「アラッド兄様は、何になりたいんですか?」
「……言ってなかったか? 俺が目指す道は冒険者だ」
今は錬金術で日課のポーション造りを行っている。
それが終われば、今度は目標のマジックアイテムを造るために鉱石を弄る。
「でも、なんか……色々と、関係無いこと? してますよね」
(……三歳にしてはしっかりと喋るな、アッシュは)
もしかしてアッシュも自分と同じ転生者なのでは?
一緒に話していると、一瞬だけそう思ってしまったことがある。
だが、それはないなと直ぐに判断した。
もし仮に自分がアッシュの立場だとすれば、規格外過ぎる兄をどういった目で見るのか。
それを考えれば、直ぐにアッシュは他の子よりも優れている……かもしれないと思えた。
(というか、別にアッシュは体を動かすのが嫌いって訳じゃないよな……将来は知的でクールな騎士ってところか?)
今はまだ幼さがあり、優れた容姿を持っていても冷たさを感じない。
「確かに色んなことをしてるな。ただ、それは単純に面白いから……もしくは自分に得があるから、自身の強さを鍛えること以外に手を出してるんだよ」
「面白いから……得があるから」
「そうだ。てか、錬金術は冒険者になってからも役に立つしな」
冒険者として活動するなら、ポーションは切っても切れない存在。
どんな攻撃も耐え切れる。もしくはどんな攻撃も見切って躱すことができる眼と身体能力を持っていたとしても、魔力切れが近くなる状況はやってくる。
魔力が完全に切れてしまうと、酷い倦怠感に襲われて強制的に気絶してしまう。
もちろん、そのシャットダウンに抵抗できる者もいるが、身体能力に影響を及ぼす。
そんな状況は絶対に回避したい。
なので、タイミングを見つけて魔力回復のポーションを飲む。
冒険者……だけではなく、戦う者にとって重要な存在。
そんなポーションの値段はそれなりに高い。
それを自分で造ることが出来れば、稼いだ金を貯金に回せる。
ただ……七歳にしてそこら辺の貴族よりも金を持っているアラッドにとって、錬金術は金を節約するための技術ではない。
「俺の話はいいとして、アッシュ。お前は……今聞くの早過ぎるかもしれないけど、大人になったら何になりたいとかあるか?」
三歳児に聞くにはまだ答えられない質問かもしれない。
ただ、アッシュの双子の姉であるシルフィーは現時点で将来はフールの様な強い騎士になると断言している。
(この子は……大きくなったらどんな道に進むんだろうな)
アラッドは弟の将来に少し興味を持っていた。
他の比べておそらく優秀であろうこの子は、いったいどんな道に進むのか。
「はい!!!」
発売前にプレミア品を大量に作っておいたお陰で、仕事に忙殺される日々を回避したアラッド。
現在でもリグラットから頼まれる度にプレミア品を作ってはいるが、忙し過ぎる日々と比べればなんてことはない。
そして今は自室で錬金術を行っている。
(アッシュはもしかしたら学者とか、そういう系の道に進むのかもしれないな)
第一夫人であるエリアの子供である五男のアッシュ。
双子の次女、シルフィーと違って大人しい性格。
(シルフィーはタイプは違えど、ルリナ姉さんに似てるよな。体動かすの大好きだし)
シルフィーとアッシュはアラッドの四つ下。
しっかりと自分の力で立ち、言葉を喋るようになったのは最近。
ドラングと少々似ており、フールの強さに憧れている部分がある。
それ故に、まだ三人にも拘わらず訓練場の隅で女性騎士や兵士と一緒に素振りなどを行っている。
(双子だからそれなりに似るのかと思ったけど、案外そうでもないんだな)
二人ともフールとエリアの遺伝子を引いているので、顔面偏差値は幼いながら高いのがうかがえる。
だが、片方は元気で活発。そしてもう片方は元気がない訳ではないが、片割れほど元気に溢れてはいない。
「アラッド兄様は、何になりたいんですか?」
「……言ってなかったか? 俺が目指す道は冒険者だ」
今は錬金術で日課のポーション造りを行っている。
それが終われば、今度は目標のマジックアイテムを造るために鉱石を弄る。
「でも、なんか……色々と、関係無いこと? してますよね」
(……三歳にしてはしっかりと喋るな、アッシュは)
もしかしてアッシュも自分と同じ転生者なのでは?
一緒に話していると、一瞬だけそう思ってしまったことがある。
だが、それはないなと直ぐに判断した。
もし仮に自分がアッシュの立場だとすれば、規格外過ぎる兄をどういった目で見るのか。
それを考えれば、直ぐにアッシュは他の子よりも優れている……かもしれないと思えた。
(というか、別にアッシュは体を動かすのが嫌いって訳じゃないよな……将来は知的でクールな騎士ってところか?)
今はまだ幼さがあり、優れた容姿を持っていても冷たさを感じない。
「確かに色んなことをしてるな。ただ、それは単純に面白いから……もしくは自分に得があるから、自身の強さを鍛えること以外に手を出してるんだよ」
「面白いから……得があるから」
「そうだ。てか、錬金術は冒険者になってからも役に立つしな」
冒険者として活動するなら、ポーションは切っても切れない存在。
どんな攻撃も耐え切れる。もしくはどんな攻撃も見切って躱すことができる眼と身体能力を持っていたとしても、魔力切れが近くなる状況はやってくる。
魔力が完全に切れてしまうと、酷い倦怠感に襲われて強制的に気絶してしまう。
もちろん、そのシャットダウンに抵抗できる者もいるが、身体能力に影響を及ぼす。
そんな状況は絶対に回避したい。
なので、タイミングを見つけて魔力回復のポーションを飲む。
冒険者……だけではなく、戦う者にとって重要な存在。
そんなポーションの値段はそれなりに高い。
それを自分で造ることが出来れば、稼いだ金を貯金に回せる。
ただ……七歳にしてそこら辺の貴族よりも金を持っているアラッドにとって、錬金術は金を節約するための技術ではない。
「俺の話はいいとして、アッシュ。お前は……今聞くの早過ぎるかもしれないけど、大人になったら何になりたいとかあるか?」
三歳児に聞くにはまだ答えられない質問かもしれない。
ただ、アッシュの双子の姉であるシルフィーは現時点で将来はフールの様な強い騎士になると断言している。
(この子は……大きくなったらどんな道に進むんだろうな)
アラッドは弟の将来に少し興味を持っていた。
他の比べておそらく優秀であろうこの子は、いったいどんな道に進むのか。
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