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百一話 即座に在庫切れ
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「……俺の目は、おかしくないよな」
リグラットに国王陛下への礼はこれが良いと伝え、安眠と快眠に疲労回復の効果が付与されているマジックアイテムのベッドが届いた。
その効果は直ぐに現れ、寝た翌日には先日までと比べて明らかに疲労が消えていた。
そこからはどれだけ疲れても翌日には完全に回復すると信じ込み、更に作業が捗るようになった。
作りに作り続け、これだけあれば満足だろうと思える量の駒とボードを作り終えた。
そしていざチェスの販売が始まると、リバーシと同じくあっという間にアルバース中に広まった。
ただ……平民や冒険者であってもチェスは面白いと感じるが、貴族や商人などの権力者たちはチェスの戦略性に見事ハマった。
そして市販のチェスを買いながらも、直ぐに制作者と繋がっているであろうリグラットに頼み込んだ。
是非とも制作者が直々に作ったプレミア品が欲しいと。
そうなることを予測していたリグラットは直ぐにリストを作り、アラッドの元へプレミア品を受け取りに向かう。
幾つも作っておいたので、更に作業が忙しくなることはなかった。
しかし、あまりにもドバっとプレミア品購入者が増えたことで、作り貯めておいたプレミア品があっという間に消え去った。
勿論、金は商人ギルドを通して振り込まれている。
「アラッド、どうかしましたか?」
「なぁ、俺の目はおかしくないよな」
同じ事を言いながらアラッドは自分の傍で立っているメイドに、リグラットから渡された手紙を見せた。
「ッ!!!!!!??????」
その手紙には、チェスを売り始めてから一か月分の売上金がリバーシの時と同じく書かれてあった。
リバーシの時もその金額に驚かされたが、今回はプレミア品を求める客が短期間に集中したこともあり、とんでもない金額になっている。
平均的に見ればリバーシの収入と変わらなくなるが、それでもこの金額を見て驚くなというのは……アラッドには無理だった。
「え、えっと……その、おかしくないと、思います、よ?」
思わず疑問形で答えてしまった。
侯爵家で働くメイドとして、高価な物や自分が月々貰っている金額では考えられないほどの金額を耳にしたことがある。
だが……だとしても、目の前の紙に書かれている金額はあまりにも桁外れだった。
「それにしても、とんでもない金額ですね。リバーシの売上金と合わせればもう伯爵家の全財産より上かもしれませんね」
「一般的な伯爵家がどれだけ金を持ってるのか知らないけど、もしかしたら……そうかもしれないな」
一伯爵家が自由に使える金という内容であれば、完全にアラッドが手に入れた金額は上回っている。
ただ、伯爵家が持つ全て……屋敷や人材に領地、それらを合計すれば同等になるかもしれない。
アラッドが手に入れた金額はそれほどまでに巨大な金額だった。
「これだけあれば、なんでも買えちゃいそうですね」
「なんでもかは分からないけど、大抵の物は買えるかもしれないな……あまりにも金額が多過ぎて何を買えば良いのか分からないけど」
手に入れた金額があまりにも大き過ぎるため、若干頭が混乱している。
(本当にとんでもない、額だな。なんとなく、金が欲しいからって理由で娯楽を作ったけど………エグいな)
これを使って何をしようか!!! なんて陽気な気分にはならない。
「まぁ……あれだな。いつも通り米や醤油には困らないようにするだけだな」
「アラッド様らしいですね。新しい武器を購入したりはしないのですか?」
「武器か……興味はあるけど、自分の力以上の武器を持ったとしても完璧に使いこなせるか分からない。それに……父さんから貰った鋼鉄の剛剣はまだまだ使えるしな」
鋼鉄の剛剣以上の武器であっても、今のアラッドであれば使いこなすことは可能。
だが、誕生日の日に貰った大切な剣ということもあり、まだまだ手放すつもりはなかった。
(使い道はまだ分からないけど、せっかく大量にあるんだ……何か良い使い道はないか考えないとな)
リグラットに国王陛下への礼はこれが良いと伝え、安眠と快眠に疲労回復の効果が付与されているマジックアイテムのベッドが届いた。
その効果は直ぐに現れ、寝た翌日には先日までと比べて明らかに疲労が消えていた。
そこからはどれだけ疲れても翌日には完全に回復すると信じ込み、更に作業が捗るようになった。
作りに作り続け、これだけあれば満足だろうと思える量の駒とボードを作り終えた。
そしていざチェスの販売が始まると、リバーシと同じくあっという間にアルバース中に広まった。
ただ……平民や冒険者であってもチェスは面白いと感じるが、貴族や商人などの権力者たちはチェスの戦略性に見事ハマった。
そして市販のチェスを買いながらも、直ぐに制作者と繋がっているであろうリグラットに頼み込んだ。
是非とも制作者が直々に作ったプレミア品が欲しいと。
そうなることを予測していたリグラットは直ぐにリストを作り、アラッドの元へプレミア品を受け取りに向かう。
幾つも作っておいたので、更に作業が忙しくなることはなかった。
しかし、あまりにもドバっとプレミア品購入者が増えたことで、作り貯めておいたプレミア品があっという間に消え去った。
勿論、金は商人ギルドを通して振り込まれている。
「アラッド、どうかしましたか?」
「なぁ、俺の目はおかしくないよな」
同じ事を言いながらアラッドは自分の傍で立っているメイドに、リグラットから渡された手紙を見せた。
「ッ!!!!!!??????」
その手紙には、チェスを売り始めてから一か月分の売上金がリバーシの時と同じく書かれてあった。
リバーシの時もその金額に驚かされたが、今回はプレミア品を求める客が短期間に集中したこともあり、とんでもない金額になっている。
平均的に見ればリバーシの収入と変わらなくなるが、それでもこの金額を見て驚くなというのは……アラッドには無理だった。
「え、えっと……その、おかしくないと、思います、よ?」
思わず疑問形で答えてしまった。
侯爵家で働くメイドとして、高価な物や自分が月々貰っている金額では考えられないほどの金額を耳にしたことがある。
だが……だとしても、目の前の紙に書かれている金額はあまりにも桁外れだった。
「それにしても、とんでもない金額ですね。リバーシの売上金と合わせればもう伯爵家の全財産より上かもしれませんね」
「一般的な伯爵家がどれだけ金を持ってるのか知らないけど、もしかしたら……そうかもしれないな」
一伯爵家が自由に使える金という内容であれば、完全にアラッドが手に入れた金額は上回っている。
ただ、伯爵家が持つ全て……屋敷や人材に領地、それらを合計すれば同等になるかもしれない。
アラッドが手に入れた金額はそれほどまでに巨大な金額だった。
「これだけあれば、なんでも買えちゃいそうですね」
「なんでもかは分からないけど、大抵の物は買えるかもしれないな……あまりにも金額が多過ぎて何を買えば良いのか分からないけど」
手に入れた金額があまりにも大き過ぎるため、若干頭が混乱している。
(本当にとんでもない、額だな。なんとなく、金が欲しいからって理由で娯楽を作ったけど………エグいな)
これを使って何をしようか!!! なんて陽気な気分にはならない。
「まぁ……あれだな。いつも通り米や醤油には困らないようにするだけだな」
「アラッド様らしいですね。新しい武器を購入したりはしないのですか?」
「武器か……興味はあるけど、自分の力以上の武器を持ったとしても完璧に使いこなせるか分からない。それに……父さんから貰った鋼鉄の剛剣はまだまだ使えるしな」
鋼鉄の剛剣以上の武器であっても、今のアラッドであれば使いこなすことは可能。
だが、誕生日の日に貰った大切な剣ということもあり、まだまだ手放すつもりはなかった。
(使い道はまだ分からないけど、せっかく大量にあるんだ……何か良い使い道はないか考えないとな)
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