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九十四話 何度も失敗
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「ふぅ、こんな感じで良いかな」
オーアルドラゴンとの交渉に成功し、パーシブル家の屋敷からオーアルドラゴンの住処まで一本道の通路が開通されてからそれなりに月日が経ったが、未だにアラッドは鉱山内を探索できていない。
一応フールにクロと二人で探索しても良いかと尋ねたが、さすがに却下された。
その場にはアリサもいたが、息子の成長を嬉しく思うアリサでも流石に苦い表情になった。
二人とも本人にアラッドの強さは良く解かっていると伝えるが、それでもまだ早いと伝えられた。
だが、アラッドは多分却下されるだろうと分かっていたので、特に落ち込むことはなかった。
しかし鉱石の扱いに慣れたいと思い、冒険者ギルドに鉱石の採掘依頼はちょこちょこ頼んでいた。
勿論、依頼達成金額はアラッドの懐から出している。
そしてアラッドが普段通りの生活を送っている中、リバーシによる国内大会が行われた。
優勝賞金は白金貨十枚とアラッド自ら作ったトロフィーが送られた。
その大会に関してアラッドは殆ど関わっていない。
しかし大会は不正や裏での暗躍などが行われることなく、無事に終了した。
白金貨十枚というのは大貴族からすれば大した金額ではないかもしれないが、一般市民や貴族の子息や令嬢にとっては決して低くない。
この世で初めて生み出されたゲームということもあり、人生経験が長い大人の方が有利ということはない。
考える力は上かもしれないが、ある程度の場数を踏めばその差もなくなる。
事実、大会の優勝者は伯爵家の令息、歳は十七。
国内最大の大会初代優勝者が十七歳の令息に決まり、開催された王都はお祭り騒ぎ状態となった。
そしてリグラットを中心にリバーシを職業にしようという動きがあり、一度アラッドの元に尋ねてきた。
実はリバーシを職業にしたい……そんな願いを聞き、アラッドは少しも考える素振りをせずに承諾した。
恩を返すため、自分の懐を温めるため。
色々と理由はあったが、リバーシというボードゲームが職業になるのは嬉しく思った。
ただ、ここでリグラットに一つ条件を加えてほしいと頼んだ。
現在新しいボードゲームを制作している。
国王には国王だけの特別な物を用意しようと考えている。
その特別な物を贈呈する代わりに、これから行われる試合や大会で不正が発覚した場合。
もしくは協会の人間になるために裏で暗躍し、正規のルートを踏まずに地位を得た者は即座に罰して欲しいと頼んだ。
本音のところは即刻死刑でも良いのではと思ったが、さすがにやり過ぎかと思って言葉には出さなかった。
リグラットはアラッドが現在新しく制作しているボードゲームに興味を惹かれたが、一旦頭から切り離して絶対に国王に伝え、ルールを定めると宣言した。
そんな話し合いがあってから数か月後、アラッドはようやく新しいボードゲームを作り終えた。
「まぁ、こんなところだよな」
リバーシに続いて有名なボードゲーム、チェス。
これに関しては制作するのにかなり時間が掛かった。
何故なら、単純にリバーシと違って制作する駒が複雑だから。
幸いにもルールなどは覚えていたので、人に伝えるのは全く問題無い。
ただ、完璧な駒を作るには当初の予定より遥かに時間を必要になった。
途中で何度も作りかけの駒を破壊してしまうこともあった。
しかし完全に作り終えるのに予定より大幅な時間が掛かったのは、もう一つ理由がある。
それは国王に贈呈する特別な駒を用意するためだった。
チェスには特別な駒が存在する。
特別になればどう動くのか、そういった細かい内容は覚えていない。
しかし、そういった駒が存在するというのは覚えていたので、通常の駒を作り終えたアラッドはそちらの作業に没頭。
他の駒と差別化を図る為に細かく作りこもうとしたが、何度も何度も破壊してしまう。
一度同じ駒を作れたとしても、二度目は一瞬のミスで理想通りの駒にならない……なんてことが何度も起こった。
「これなら……十分国王様用の駒、って言えるよな」
アラッドの目の前には自信作と言える十六個の駒がボードの上に並べられていた。
オーアルドラゴンとの交渉に成功し、パーシブル家の屋敷からオーアルドラゴンの住処まで一本道の通路が開通されてからそれなりに月日が経ったが、未だにアラッドは鉱山内を探索できていない。
一応フールにクロと二人で探索しても良いかと尋ねたが、さすがに却下された。
その場にはアリサもいたが、息子の成長を嬉しく思うアリサでも流石に苦い表情になった。
二人とも本人にアラッドの強さは良く解かっていると伝えるが、それでもまだ早いと伝えられた。
だが、アラッドは多分却下されるだろうと分かっていたので、特に落ち込むことはなかった。
しかし鉱石の扱いに慣れたいと思い、冒険者ギルドに鉱石の採掘依頼はちょこちょこ頼んでいた。
勿論、依頼達成金額はアラッドの懐から出している。
そしてアラッドが普段通りの生活を送っている中、リバーシによる国内大会が行われた。
優勝賞金は白金貨十枚とアラッド自ら作ったトロフィーが送られた。
その大会に関してアラッドは殆ど関わっていない。
しかし大会は不正や裏での暗躍などが行われることなく、無事に終了した。
白金貨十枚というのは大貴族からすれば大した金額ではないかもしれないが、一般市民や貴族の子息や令嬢にとっては決して低くない。
この世で初めて生み出されたゲームということもあり、人生経験が長い大人の方が有利ということはない。
考える力は上かもしれないが、ある程度の場数を踏めばその差もなくなる。
事実、大会の優勝者は伯爵家の令息、歳は十七。
国内最大の大会初代優勝者が十七歳の令息に決まり、開催された王都はお祭り騒ぎ状態となった。
そしてリグラットを中心にリバーシを職業にしようという動きがあり、一度アラッドの元に尋ねてきた。
実はリバーシを職業にしたい……そんな願いを聞き、アラッドは少しも考える素振りをせずに承諾した。
恩を返すため、自分の懐を温めるため。
色々と理由はあったが、リバーシというボードゲームが職業になるのは嬉しく思った。
ただ、ここでリグラットに一つ条件を加えてほしいと頼んだ。
現在新しいボードゲームを制作している。
国王には国王だけの特別な物を用意しようと考えている。
その特別な物を贈呈する代わりに、これから行われる試合や大会で不正が発覚した場合。
もしくは協会の人間になるために裏で暗躍し、正規のルートを踏まずに地位を得た者は即座に罰して欲しいと頼んだ。
本音のところは即刻死刑でも良いのではと思ったが、さすがにやり過ぎかと思って言葉には出さなかった。
リグラットはアラッドが現在新しく制作しているボードゲームに興味を惹かれたが、一旦頭から切り離して絶対に国王に伝え、ルールを定めると宣言した。
そんな話し合いがあってから数か月後、アラッドはようやく新しいボードゲームを作り終えた。
「まぁ、こんなところだよな」
リバーシに続いて有名なボードゲーム、チェス。
これに関しては制作するのにかなり時間が掛かった。
何故なら、単純にリバーシと違って制作する駒が複雑だから。
幸いにもルールなどは覚えていたので、人に伝えるのは全く問題無い。
ただ、完璧な駒を作るには当初の予定より遥かに時間を必要になった。
途中で何度も作りかけの駒を破壊してしまうこともあった。
しかし完全に作り終えるのに予定より大幅な時間が掛かったのは、もう一つ理由がある。
それは国王に贈呈する特別な駒を用意するためだった。
チェスには特別な駒が存在する。
特別になればどう動くのか、そういった細かい内容は覚えていない。
しかし、そういった駒が存在するというのは覚えていたので、通常の駒を作り終えたアラッドはそちらの作業に没頭。
他の駒と差別化を図る為に細かく作りこもうとしたが、何度も何度も破壊してしまう。
一度同じ駒を作れたとしても、二度目は一瞬のミスで理想通りの駒にならない……なんてことが何度も起こった。
「これなら……十分国王様用の駒、って言えるよな」
アラッドの目の前には自信作と言える十六個の駒がボードの上に並べられていた。
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