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八十四話 値段や価値は気にするな
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「ほい、王都に行った時のプレゼント」
「……アラッドさん、これってもしかして普通の木剣じゃない、ですよね」
「おっ、良く解かったな」
屋敷に戻って来た翌日、アラッドはバークたちに王都で買った土産を渡していた。
色々考えた結果、まだ真剣は早い。
しかし、もし……万が一モンスターと戦うことになった場合に使える物として、アラッドは少し特別な木剣や木槌をバークとダイアのプレゼントにした。
「これはトレントの素材を使った剣と槌だ」
「と、トレントって確かCランクのモンスターっすよね」
「あぁ、そうだな。アミットとエレナに渡した杖も玉は別だが、玉を覆う木にはトレントの素材が使われている」
プレゼントとして渡された武器にどんな素材が使われているのかを聞き、四人は同時に固まった。
四人に渡された武器は冒険者になったルーキーには贅沢な武器。
ベテランが身に着けていてもおかしくない。
まだ冒険者にすらなっていない四人には過ぎた武器。
それはバークたちも分かっているため、武器を持つ手が震え出す。
「おいおい、それは俺からお前たちへのプレゼント。だから値段とか勝ちとか気にする必要はない」
「いや、でも……わ、分かりました。た、大切に使います」
「おう、実戦で存分に使ってくれ」
バークとダイアの武器は木製ではあるが、素材の木はトレントのもの。
下手に当れば、大怪我に繋がるので模擬戦などではアラッドやクロ以外には使えない。
アミットとエレナが貰った杖にはそれぞれが得意な火、光の魔法を発動する際に威力や性能が増大される効果が付与されている。
「にしても……あれっすね、アラッドさんは太っ腹っす」
「はっはっは! かもしれないな。まぁ……色々あって小遣いには余裕があるんだよ」
現在もリバーシは順調に売れている。
職人たちが装飾に凝った物を売ることもあり、一人で複数のリバーシを購入するコレクターなどもいる。
国外への販売も順調であり、アラッドにとって……パーシブル家にとってもリバーシはまだまだ有難い収入源。
「そういえばアラッドさん、王都のパーティーはどうでしたか?」
「あぁ……パーティーか」
「えっと、もしかしてあまり楽しくなかったんですか?」
アミットは少し疲れた眼をするアラッドを見て、なんとなく事情を察した。
「全く楽しくなかったと断言はしない。テーブルに並べられていた料理は本当に美味しかった。うちのシェフたちも負けてないけど、勝るとも劣らない味だったな」
まずパーティーに出された料理は褒めるしかなかった。
王都に着くまでの時間を除けば、あの料理を食べる為だけに王都へ行った価値はあると言える。
「アラッドさんがそこまで言うなら、本当に美味しかったんですね」
「あぁ、心の底から美味かったと断言出来る味だった。後は……母さんの伝手で女性騎士と模擬戦をすることができた」
「えっ、マジっすか!!??」
「……ダイア、驚き過ぎだ。確かに騎士と戦えるのはビックイベントかもしれないが、グラストさんだって騎士なんだぞ」
「あっ……そ、そうだったすね」
アラッドがバークたちの訓練に付き添う時、グラストは傍にいて具体的なアドバイスを伝えることが多い。
バークやダイアの模擬戦相手になることもあるので、すっかり騎士という遥か上の立場であることを忘れていた。
「あんまりスキルは使わずに、身体能力や技術を使っての勝負だったんだが……そこはやっぱり騎士。強かった」
「……も、もしかして負けたんっすか!?」
ここ最近でアラッドの凄さを身に染みて体験したダイアにとって、アラッドは騎士よりも上の存在だった。
そんな憧れの人物が負けたかもしれない……そんな事実は信じられない。
「おい、なんでそんなびっくりしてるんだよ。俺がいくら強くても、お前らの一つ下の七歳児だぞ。まぁ、奇策が上手くいって勝てたけどな」
「か、勝ったんすね。それは良かったっす」
最初の流れであのアラッドが負けた。
そう思った四人だったが、実は勝ったという結果を聞いてずっこけそうになった。
「……アラッドさん、これってもしかして普通の木剣じゃない、ですよね」
「おっ、良く解かったな」
屋敷に戻って来た翌日、アラッドはバークたちに王都で買った土産を渡していた。
色々考えた結果、まだ真剣は早い。
しかし、もし……万が一モンスターと戦うことになった場合に使える物として、アラッドは少し特別な木剣や木槌をバークとダイアのプレゼントにした。
「これはトレントの素材を使った剣と槌だ」
「と、トレントって確かCランクのモンスターっすよね」
「あぁ、そうだな。アミットとエレナに渡した杖も玉は別だが、玉を覆う木にはトレントの素材が使われている」
プレゼントとして渡された武器にどんな素材が使われているのかを聞き、四人は同時に固まった。
四人に渡された武器は冒険者になったルーキーには贅沢な武器。
ベテランが身に着けていてもおかしくない。
まだ冒険者にすらなっていない四人には過ぎた武器。
それはバークたちも分かっているため、武器を持つ手が震え出す。
「おいおい、それは俺からお前たちへのプレゼント。だから値段とか勝ちとか気にする必要はない」
「いや、でも……わ、分かりました。た、大切に使います」
「おう、実戦で存分に使ってくれ」
バークとダイアの武器は木製ではあるが、素材の木はトレントのもの。
下手に当れば、大怪我に繋がるので模擬戦などではアラッドやクロ以外には使えない。
アミットとエレナが貰った杖にはそれぞれが得意な火、光の魔法を発動する際に威力や性能が増大される効果が付与されている。
「にしても……あれっすね、アラッドさんは太っ腹っす」
「はっはっは! かもしれないな。まぁ……色々あって小遣いには余裕があるんだよ」
現在もリバーシは順調に売れている。
職人たちが装飾に凝った物を売ることもあり、一人で複数のリバーシを購入するコレクターなどもいる。
国外への販売も順調であり、アラッドにとって……パーシブル家にとってもリバーシはまだまだ有難い収入源。
「そういえばアラッドさん、王都のパーティーはどうでしたか?」
「あぁ……パーティーか」
「えっと、もしかしてあまり楽しくなかったんですか?」
アミットは少し疲れた眼をするアラッドを見て、なんとなく事情を察した。
「全く楽しくなかったと断言はしない。テーブルに並べられていた料理は本当に美味しかった。うちのシェフたちも負けてないけど、勝るとも劣らない味だったな」
まずパーティーに出された料理は褒めるしかなかった。
王都に着くまでの時間を除けば、あの料理を食べる為だけに王都へ行った価値はあると言える。
「アラッドさんがそこまで言うなら、本当に美味しかったんですね」
「あぁ、心の底から美味かったと断言出来る味だった。後は……母さんの伝手で女性騎士と模擬戦をすることができた」
「えっ、マジっすか!!??」
「……ダイア、驚き過ぎだ。確かに騎士と戦えるのはビックイベントかもしれないが、グラストさんだって騎士なんだぞ」
「あっ……そ、そうだったすね」
アラッドがバークたちの訓練に付き添う時、グラストは傍にいて具体的なアドバイスを伝えることが多い。
バークやダイアの模擬戦相手になることもあるので、すっかり騎士という遥か上の立場であることを忘れていた。
「あんまりスキルは使わずに、身体能力や技術を使っての勝負だったんだが……そこはやっぱり騎士。強かった」
「……も、もしかして負けたんっすか!?」
ここ最近でアラッドの凄さを身に染みて体験したダイアにとって、アラッドは騎士よりも上の存在だった。
そんな憧れの人物が負けたかもしれない……そんな事実は信じられない。
「おい、なんでそんなびっくりしてるんだよ。俺がいくら強くても、お前らの一つ下の七歳児だぞ。まぁ、奇策が上手くいって勝てたけどな」
「か、勝ったんすね。それは良かったっす」
最初の流れであのアラッドが負けた。
そう思った四人だったが、実は勝ったという結果を聞いてずっこけそうになった。
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