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七十三話 突然声を掛けてきた人物は……
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パーティー会場に入る前に何人かの貴族とすれ違いながら中に入る。
「……キラキラし過ぎだろ」
零れた第一声が褒め言葉ではなかった。
アラッドの屋敷も侯爵家が住む建物だけあってそれなりに豪華な内装、外装だが七年も暮らしていれば慣れた。
だが、この一室の内装……そしてキラキラと輝いている様に見える服装を着ている他家の当主や婦人そして令嬢に令息。
前世ではごくごくそこら辺にいる一般ピーポーだった工藤 英二は自分がここに居ることに関して、絶対に場違いだと感じた。
しかし主催者が中心部に現れてから本格的にパーティーが始まり、アラッドはフールの後ろに付いて多くの当主や騎士たちと顔を合わせる。
(一応有名どころは覚えておいて良かった~~)
いずれは貴族の世界から離れるのであまり興味はないが、武技に優れている家や内政に優れている家など頭に詰め込んでいたので、会話で躓くことはなかった。
ただ……基本的に会話をするのがフールとはいえ、他家の貴族と対面するという状態がアラッドの精神をすり減らしていた。
(頼むから早く終わってくれ。美味い飯を思う存分食べさせてくれ)
頭の中はそんな願いで一杯だった。
そんな時、フールと話していた人物がアラッドに視線を向けた。
「君が、フール君がいつも自慢しているアラッド君だな」
「初めまして、アラッドパーシブルです。武勇伝は多数お聞きしています、バイアード様」
バイアード・イグリシアス。元イグリシアス侯爵家当主にして、フールの大先輩にあたる人物。
武技に秀でた家の出身であり、大剣技のスキルを得た実力者。
「ほぅ、随分と礼儀正しいな……だが、顔はフールが本気で怒りをあらわにした時と似ているな」
突然話を向けられて内心ではびっくりしていたが、条件反射の様にサラッと言葉が出てきた。
(やっぱり俺ってちょっと悪人面……というより、いつも不機嫌だと思われる顔をしてるんだな)
実際にフールが本気でキレた時の顔を見たことはない。
だが、目の前の人物がその時の表情と自分の顔が似ていると宣言したことで、脳裏にフールが切れた時の顔が浮かび、思わず震えた。
「アラッド君は騎士に興味はないのか」
「ッ!!!!」
仮に会うのであれば、国王陛下から尋ねられると思っていた言葉がバイアード・イグリシアスの口から出てきた。
完全に予想外なタイミングでの質問に一瞬、言葉が詰まるが先日アリサが自分に伝えてくれた言葉を思い出し、一呼吸おいて己の思いを口に出す。
「私が進む道は冒険者です。興味が全くないという訳ではありませんが、少なくとも騎士の道に進もうとは考えていません」
「……はっはっは!!! そうかそうか、その歳で確かな意思を持っているな。素晴らしい……だが、騎士団出身としてはお主のような強者が騎士にならぬのは惜しいと思ってしまうな」
「若輩者の私には身に余るお言葉です」
「……ぬはははは!! フールの言う通り、本当に子供とは思えないな」
バイアードは事前にフールからアラッドがモンスターとの戦闘を行っていると聞き、今顔を合わせてそれが事実だと確信した。
(戦士として完全に童貞を捨てた顔……まだ人は殺していないだろうが、いずれ時間と状況が解決するだろう。七歳の子供が既にこの眼をするとは……本当に末恐ろしいな)
完全にアラッドの力を把握してはいないが、いずれ全盛期の自分を超える逸材ということだけは解った。
(ドラング……頼むからこういった場で俺にそんな視線を向けるなよ。更に神経が磨り減るだろ)
騎士を志す若者であれば、一度はその名を聞いたことがある実力者。
ソロでドラゴンスレイを成し遂げた人物。それがバイアード・イグリシアス。
そんな人物に「騎士にならぬのは惜しい」と言われたアラッドにドラングが嫉妬しないわけがなかった。
「……キラキラし過ぎだろ」
零れた第一声が褒め言葉ではなかった。
アラッドの屋敷も侯爵家が住む建物だけあってそれなりに豪華な内装、外装だが七年も暮らしていれば慣れた。
だが、この一室の内装……そしてキラキラと輝いている様に見える服装を着ている他家の当主や婦人そして令嬢に令息。
前世ではごくごくそこら辺にいる一般ピーポーだった工藤 英二は自分がここに居ることに関して、絶対に場違いだと感じた。
しかし主催者が中心部に現れてから本格的にパーティーが始まり、アラッドはフールの後ろに付いて多くの当主や騎士たちと顔を合わせる。
(一応有名どころは覚えておいて良かった~~)
いずれは貴族の世界から離れるのであまり興味はないが、武技に優れている家や内政に優れている家など頭に詰め込んでいたので、会話で躓くことはなかった。
ただ……基本的に会話をするのがフールとはいえ、他家の貴族と対面するという状態がアラッドの精神をすり減らしていた。
(頼むから早く終わってくれ。美味い飯を思う存分食べさせてくれ)
頭の中はそんな願いで一杯だった。
そんな時、フールと話していた人物がアラッドに視線を向けた。
「君が、フール君がいつも自慢しているアラッド君だな」
「初めまして、アラッドパーシブルです。武勇伝は多数お聞きしています、バイアード様」
バイアード・イグリシアス。元イグリシアス侯爵家当主にして、フールの大先輩にあたる人物。
武技に秀でた家の出身であり、大剣技のスキルを得た実力者。
「ほぅ、随分と礼儀正しいな……だが、顔はフールが本気で怒りをあらわにした時と似ているな」
突然話を向けられて内心ではびっくりしていたが、条件反射の様にサラッと言葉が出てきた。
(やっぱり俺ってちょっと悪人面……というより、いつも不機嫌だと思われる顔をしてるんだな)
実際にフールが本気でキレた時の顔を見たことはない。
だが、目の前の人物がその時の表情と自分の顔が似ていると宣言したことで、脳裏にフールが切れた時の顔が浮かび、思わず震えた。
「アラッド君は騎士に興味はないのか」
「ッ!!!!」
仮に会うのであれば、国王陛下から尋ねられると思っていた言葉がバイアード・イグリシアスの口から出てきた。
完全に予想外なタイミングでの質問に一瞬、言葉が詰まるが先日アリサが自分に伝えてくれた言葉を思い出し、一呼吸おいて己の思いを口に出す。
「私が進む道は冒険者です。興味が全くないという訳ではありませんが、少なくとも騎士の道に進もうとは考えていません」
「……はっはっは!!! そうかそうか、その歳で確かな意思を持っているな。素晴らしい……だが、騎士団出身としてはお主のような強者が騎士にならぬのは惜しいと思ってしまうな」
「若輩者の私には身に余るお言葉です」
「……ぬはははは!! フールの言う通り、本当に子供とは思えないな」
バイアードは事前にフールからアラッドがモンスターとの戦闘を行っていると聞き、今顔を合わせてそれが事実だと確信した。
(戦士として完全に童貞を捨てた顔……まだ人は殺していないだろうが、いずれ時間と状況が解決するだろう。七歳の子供が既にこの眼をするとは……本当に末恐ろしいな)
完全にアラッドの力を把握してはいないが、いずれ全盛期の自分を超える逸材ということだけは解った。
(ドラング……頼むからこういった場で俺にそんな視線を向けるなよ。更に神経が磨り減るだろ)
騎士を志す若者であれば、一度はその名を聞いたことがある実力者。
ソロでドラゴンスレイを成し遂げた人物。それがバイアード・イグリシアス。
そんな人物に「騎士にならぬのは惜しい」と言われたアラッドにドラングが嫉妬しないわけがなかった。
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