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七十二話 偶々そっちの道は選んだ
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「そ、それは……決定ですか?」
「いや、決定という訳ではないよ。僕も今日そんな出来事があったなんて初めて知ったからね。でも、迷子になった第三王女を誰かに攫われる前に、無事保護した。これはアラッドが考えているよりも凄い……というより、褒められるべき件なんだ」
アラッドとしては褒められたくてフィリアスを助けたつもりはなかった。
だが、その結果……王族としては面子的に必ずアラッドに……パーシブル家に礼をしなければならない形となった。
「そ、そうなんですね……ということは、明日国王陛下と会うのは確実と」
「まだ決定ではないけど、そうなる可能性が高いと思う」
もう一度同じ宣告を告げられ、まともに頭が働かなくなる。
(……あれだよな。国王陛下って日本で言えば総理大臣? いや、天皇みたいな存在か? そんな人となんで……そうか、俺って侯爵家の令息だったな。日本なら……華族、みたいなものだから普通……なのか?)
例え侯爵家、公爵家の令息や令嬢であっても個人的な要件で国王と対面する機会は殆どない。
「大丈夫だよ、アラッド。お礼を言われて、お礼の品を貰うだけだから。仮にそうなったとしても緊張する必要はないよ」
「そ、そうですよね。分かりました」
明日、国王と面会するかもしれない。
その事情は理解した。
だが、理解したからといって緊張感が消えるわけではない。
「アラッド、フールが言った通りもし国王陛下と会うことになっても、そんなに緊張する必要はないのよ」
「それは分かってますけど……か、仮にですよ。騎士の道に進むように言われたら、俺は従わないと駄目なんですか?」
国王からの頼み……それは王命に繋がる場合がある。
国王にその気がなくとも、周囲の人間がそう認識するかもしれない。
それを断ったとなれば、パーシブル家の家名に傷がつく。
「大丈夫よ。国王陛下はそんな暴君じゃないわ。まぁ……騎士に興味はあるか、ぐらいは訊いてくると思うけど」
「それって、やっぱり父さんが元副騎士団長だから、ですよね」
「そうだね。ギーラスやガルア、ドラングも騎士を目指している。当然アラッドがその道に進むのか、少しぐらいは興味があると思うよ」
「……はぁ~~~~~、熱でもでないかなぁ」
ただでさえ、パーティーに参加するのはあまり乗り気ではなかった。
しかしフールから伝えられた内容のお陰で、更に気が重くなる。
だが、そんな状態の息子を母が励ます。
「そんなに心配する必要ないって。アラッドは私の息子でもあるんだから。私の元職業は何?」
「……冒険者です」
「そうよ。元冒険者の息子が冒険者を目指すなんて、大して珍しい話じゃないでしょ」
両親の背中に憧れ、同じ道を志す。
それが偶々アラッドの場合はアリサの背中だっただけ。
特に咎められるような理由はない。
「そう、ですね」
「でしょ。だから今日は明日ちゃんと起きる為にもう寝なさい」
「分かりました」
既に風呂には入り終えており、心の中の不安が少し消えたことで、意外とぐっすり寝ることができた。
「……ちょっと窮屈だな」
翌日、緊張感がかなり薄くなったアラッドはそれを喜びながら朝食を食べ、部屋に戻ると早速正装に着替える。
(何かあったときに戦い辛そうだな)
これからパーティーに向かうので、そんなことは起こらない。
なので正装には基本的に動きやすさなどはそこまで求められていない。
「似合ってるわ、アラッド!!!!」
窮屈さアラッドが悩んでいる中、アリサは息子の正装姿を見て大変喜んでいた。
これは美味い飯を食べる為の試練。
自分にそう言い聞かせながらフールたちと合流し、全員正装に着替えた状態で王城へと向かった。
(デカいのは王都に入ってから分かってたけど、実際目の前で見ると本当にデカいな……流石王族が住む城だな)
王城まで初めてやって来たアラッドとドラングは、再び王城の大きさに圧倒されながら中へと入り、パーティー会場に入室した。
「いや、決定という訳ではないよ。僕も今日そんな出来事があったなんて初めて知ったからね。でも、迷子になった第三王女を誰かに攫われる前に、無事保護した。これはアラッドが考えているよりも凄い……というより、褒められるべき件なんだ」
アラッドとしては褒められたくてフィリアスを助けたつもりはなかった。
だが、その結果……王族としては面子的に必ずアラッドに……パーシブル家に礼をしなければならない形となった。
「そ、そうなんですね……ということは、明日国王陛下と会うのは確実と」
「まだ決定ではないけど、そうなる可能性が高いと思う」
もう一度同じ宣告を告げられ、まともに頭が働かなくなる。
(……あれだよな。国王陛下って日本で言えば総理大臣? いや、天皇みたいな存在か? そんな人となんで……そうか、俺って侯爵家の令息だったな。日本なら……華族、みたいなものだから普通……なのか?)
例え侯爵家、公爵家の令息や令嬢であっても個人的な要件で国王と対面する機会は殆どない。
「大丈夫だよ、アラッド。お礼を言われて、お礼の品を貰うだけだから。仮にそうなったとしても緊張する必要はないよ」
「そ、そうですよね。分かりました」
明日、国王と面会するかもしれない。
その事情は理解した。
だが、理解したからといって緊張感が消えるわけではない。
「アラッド、フールが言った通りもし国王陛下と会うことになっても、そんなに緊張する必要はないのよ」
「それは分かってますけど……か、仮にですよ。騎士の道に進むように言われたら、俺は従わないと駄目なんですか?」
国王からの頼み……それは王命に繋がる場合がある。
国王にその気がなくとも、周囲の人間がそう認識するかもしれない。
それを断ったとなれば、パーシブル家の家名に傷がつく。
「大丈夫よ。国王陛下はそんな暴君じゃないわ。まぁ……騎士に興味はあるか、ぐらいは訊いてくると思うけど」
「それって、やっぱり父さんが元副騎士団長だから、ですよね」
「そうだね。ギーラスやガルア、ドラングも騎士を目指している。当然アラッドがその道に進むのか、少しぐらいは興味があると思うよ」
「……はぁ~~~~~、熱でもでないかなぁ」
ただでさえ、パーティーに参加するのはあまり乗り気ではなかった。
しかしフールから伝えられた内容のお陰で、更に気が重くなる。
だが、そんな状態の息子を母が励ます。
「そんなに心配する必要ないって。アラッドは私の息子でもあるんだから。私の元職業は何?」
「……冒険者です」
「そうよ。元冒険者の息子が冒険者を目指すなんて、大して珍しい話じゃないでしょ」
両親の背中に憧れ、同じ道を志す。
それが偶々アラッドの場合はアリサの背中だっただけ。
特に咎められるような理由はない。
「そう、ですね」
「でしょ。だから今日は明日ちゃんと起きる為にもう寝なさい」
「分かりました」
既に風呂には入り終えており、心の中の不安が少し消えたことで、意外とぐっすり寝ることができた。
「……ちょっと窮屈だな」
翌日、緊張感がかなり薄くなったアラッドはそれを喜びながら朝食を食べ、部屋に戻ると早速正装に着替える。
(何かあったときに戦い辛そうだな)
これからパーティーに向かうので、そんなことは起こらない。
なので正装には基本的に動きやすさなどはそこまで求められていない。
「似合ってるわ、アラッド!!!!」
窮屈さアラッドが悩んでいる中、アリサは息子の正装姿を見て大変喜んでいた。
これは美味い飯を食べる為の試練。
自分にそう言い聞かせながらフールたちと合流し、全員正装に着替えた状態で王城へと向かった。
(デカいのは王都に入ってから分かってたけど、実際目の前で見ると本当にデカいな……流石王族が住む城だな)
王城まで初めてやって来たアラッドとドラングは、再び王城の大きさに圧倒されながら中へと入り、パーティー会場に入室した。
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