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六十七話 いずれ身に着ける

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「おぉ~~~~……凄いですね」

現在アラッドは王都の武器屋を満喫していた。

アラッド自身、大量のお金を持っているがそれらを殆ど使っていない。
せいぜい食事を豊かにする為に調味料などを買う程度。

モンスターと戦う時に防具は身に着けておらず、今もフールから買ってもらった鋼鉄の剛剣を愛用している。
他の武器も鉄製の武器を使っており、ランクは鋼鉄の剛剣の一つしたである二。

ポンコツ……ではないが、ルーキーでも使う様な武器を実戦で使っている。
魔剣や魔槍などを買う金は十分に持っているが、今のところ買う予定はない。

あまりにも強過ぎる武器を買えば、その力に頼ってしまいそうになる。
そういった理由から今も愛用の剣と、それなりの武器を使って戦闘を行っている。

だからといって、マジックアイテムの武器や防具が気にならない訳ではない。
寧ろ将来的にはそれらを身に着けて強敵と戦いたいと考えている。

「アラッド、別に買っても良いのよ。お金は一応持ってきてるのでしょ」

「うん、一応ね。でも、魔剣とかマジックアイテムの武器を買える程は持ってきてないよ」

今回王都に行くということで、少しだけ金を持ってきた。
だが、それらはバークたちに何か土産を買うために持ってきた金。

今から商人ギルドに行ってお金をおろすこともできるが、元々目の前に並んでいる様な高級品を買うつもりは一切無い。

「それに、今の俺がこういった武器を装備するのはまだ早いからね」

謙虚に答えるが、アリサと護衛の騎士たちは全くそんなことをないと同時に思った。

(普通に考えれば七歳児の子供が魔剣などを持つのは早過ぎるが、アラッド様は既にCランクのモンスターを一人で倒している。その事実を考えれば、魔剣を持っていてもおかしくない)

問題点があるとすれば、それはアラッドの体格に合うマジックアイテムの武器があるか否か。
そこだけだった。

本人はエクストラスキルである糸を持っているお陰でCランクのモンスターでも楽に倒せていると思っているが、とんでもなく早いペースでモンスターを倒しているお陰で、のっそりと……他人より遅くはあるが、レベルを上げている。

五歳から上げ続けていることで、冒険者のルーキーには負けないほどのレベルまで上がっていた。
そこは純粋にアラッドが鍛えて手に入れた実力。

それを知っているアリサや、道中でその実力を認識した騎士たちはアラッドがこれから更に強くなることを確信した。

「アラッド、あなたはモンスターを狩る時に防具を付けてないけど、将来的には身に着けるでしょ」

「そうですね。防具を身に着けてうっかり死んでしまったとかシャレにならないんで」

現在は動きやすさ重視の紙装甲でモンスターと戦っている。

戦闘職なら盾ぐらい持てよと進言するが、アラッドはなるべく速く動いて殺されるよりも先に殺す精神で動いている。
そして糸という頼もしい動き阻害系のスキルを持っているので、わざわざ重い防具などを身に付けようとは思わない。

だが、いずれ強敵と戦うのであれば防具を身に着けることになる。
その時にどういった防具を身に付けるのか。
それは既に考えていた。

「皮の鎧とガントレット、後は脚甲を身に着けて戦おうと思ってます。もしかしたら腕輪や指はタイプのマジックアイテムも身に着けるかもしれません」

モンスターによってどの攻撃が効きづらいかというのは別れるので、アクセサリータイプのマジックアイテムを使って魔法や斬撃を強化するという手段を取るのは常識。

その常識はアラッドの頭に入っているので、冒険者として旅立つ前に一つか二つは買っておこうかと考えている。

「一通り見ましたし、次の店に行きましょう」

真剣に武器や防具は見るが、何も買っていかない。
店員からすれば冷やかしに見える客だが、騎士を連れている時点で貴族だと確定しているので、下手に喧嘩腰で接する店員と客はいなかった。
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