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四十一話 自分で買える……けど、嬉しい

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アラッドがギーラスに高価なマジックアイテムをプレゼントしてから数か月が経ち、アラッドは六歳の誕生日を迎えた。

「はい、僕からの誕生日プレゼントはこれだよ」

豪華な夕食を食べ終えた後、アラッドはフールの自室でプレゼントが入った箱を受け取った。

「今開けても良いですか」

「勿論だよ」

早速箱を開けると、中には一本のロングソードが入っていた。
フールから借りているモノクルを使って鑑定すると、ただのロングソードではないことが分かった。

「父さん、これ……」

「今のアラッドなら自分で買えるかもしれないけど、丁度良い感じの武器だと思ってね」

リバーシの売り上げによって多大な利益を得たアラッドなら、目の前の腕力上昇と切れ味上昇の効果が付与されたロングソードを自分で買うことができる。

ただ、アラッドは鋼鉄の剛剣をフールから貰ったことが嬉しかった。

「ありがとうございます。大切に使います」

「遠慮する必要はない。実戦で存分に使うと良い」

武器は実戦で使われてこそ本望。
フールとしては大切に扱うのではなく、後先のことを考えず存分に扱って欲しい。

「はい!! 今度の狩りで立派な獲物の首を斬り落としてきます!!!」

「う、うん……まぁ、あまり無茶はしないでね」

アラッドの実力が着々と上がっているのは知っているが、それでも父として心配な部分はあるので、無茶してランクの高いモンスターには挑まないでほしい……そう思っている。

だが、最近はDランクのモンスターと遭遇しても難無く倒している。
さすがにまだ自信がない武器を試す時はEランクやFランクのモンスターを選んでいるが、ロングソードや糸に体術、魔法を混ぜて戦う場合はDランクのモンスターと遭遇しても慌てず丁寧に倒している。

「アラッド、私からのプレゼントはこれだ!!」

フールの部屋から出た後はアリサの部屋に呼ばれ、誕生日プレゼントを貰った。

「これは風の指輪だ。風攻撃魔法の威力を上昇する効果と、脚力を上昇させる効果が付与されてる指輪だ!!」

「おぉ~~~~……へへ、ありがとうございます」

こちらの指輪も現在のアラッドであれば自分の財力で買える。
だが、母から貰うからこそ感じる嬉しさがあった。

ただ……鋼鉄の剛剣と風の指輪もランクは三。
本来であれば三歳の子供が持つ者ではない。

アラッドは二日に一度モンスターを狩りに行ってるので、モンスターに取られてしまう可能性がある。
しかし二人はそんな可能性がある筈ないと確信していた。

二人からプレゼントを貰ったアラッドはルンルン気分で庭に出て風の指輪を装着し、鋼鉄の剛剣を握って素振り……シャドーを行い始めた。

ソロは既に真っ暗だが、光魔法のライトボールを周囲に浮かべれば問題はない。
時間を忘れて体力が底を尽くまで夢中で動き続け、その日は幸せな気持ちのまま眠りにつくことができた。

後日、使用人からアラッドは意外にも甘未が好きと聞いていたエリアとリーナ、ギーラスは街で有名な店からデザートを最高の状態で取り寄せ、プレゼントした。

エリアは息子であるギーラスからアラッドに貰ったマジックアイテムの説明を受けており、実家に相談してお金を融通してもらってでも何か高価な物をプレゼントすべきかと超悩んだ。

だが、息子から色襲の警鈴や邪破の指輪に匹敵する何かをプレゼントするのは不可能なので、アラッドの好みをプレゼントした。

そしてリーナは本来血の繋がっていないアラッドにプレゼントはしないのだが、今年に限っては血の繋がった息子であるドラングの我儘を聞いてもらっていたので、何か礼をと思って甘未をプレゼントした。

多くのプレゼントを貰ったアラッドは上機嫌な様子で現在、普段通り兵士二人とメイジ一人を連れて森の中でモンスターを探していた。

「アラッド様、最近はいつもよりご機嫌っすね」

「父さんから貰った鋼鉄の剛剣と母さんから貰った風の指輪のお陰で調子が良いからな」

切れ味上昇、腕力上昇、風攻撃魔法の威力上昇、脚力上昇はアラッドがモンスターと戦う際、大いに役立っていた。

「ギーラス義兄さんたちからケーキを貰えたしね。ただ……なんでリーナ義母さんまでプレゼントくれたのかはちょっと謎なんだよね。ケーキは美味しかったけど」

アラッドの言葉を聞き、素直に答えていいのかどうか三人は迷った。
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