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三十五話 理不尽な恨みから身を守る道具選び
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「ギーラス義兄さんは優秀だからさ……他の生徒から理不尽な恨みを買うかもしれないだろ」
「……可能性がゼロとは言えませんね。パーシブル家を敵に回して利があるとは思えませんが、子供だけであれば無謀な判断をしてしまうかもしれません」
「だろ。だから少しでもその可能性からギーラス義兄さんを守ろうと思うんだ」
血が繋がっていない義兄だが、アラッドにとっては良い兄であることに変わりない。
なので、馬鹿な令息たちにしてやられない為にもリバーシで稼いだ金で対策を練ろうと考えていた。
「アラッド様はお優しいですね」
「そうか? 確かにギーラス義兄さんとは血が繋がっていないけど、良い関係を築けていると俺は思ってるんだ。だからギーラス義兄さんは下らない理由で死んでほしくないんだ」
アラッド的にはきょうだいの中でルリナやガルアとも悪くない関係を築けていると思っている。
唯一きょうだいの中で仲が悪いのは、ドラングのみ。
元々アラッドはあまり興味がなかったのだが、ドラングが勝手にアラッドを敵視……ライバル視しているので、結果的に仲が悪くなってしまった。
「そうですか……それでは、帰りにお店に寄られるのですか?」
「あぁ、帰りにいくつか道具を買う」
既にアラッドがリバーシで儲けた一か月分のお金はパーシブル家に現金で届いており、現在はフールから借りているアイテムポーチの中に入っていた。
「おっ、来たな」
四人の間にゴブリンの上位種であるゴブリンナイトとファイター、メイジが現れた。
一般的なゴブリンより体が大きく、ホブゴブリンより一回り大きい。
そしてナイトは剣技のスキルを持ち、ファイターは体技、そしてメイジは風魔法のスキルを持っている。
「アラッド様、一応Dランクのモンスターですがどういたしますか」
今までアラッドはEランクまでのモンスターとしか遭遇してこなかった。
今回が初のDランクモンスターと戦う機会になる。
「……お前たちは手を出さなくて良い。あれぐらいなら、俺一人でどうとでもなる」
相変わらずレベルの上りは遅いが、それでも二日に一度のペースで戦っているので順調にレベルは上がっていると言える。
「ほら、掛かって来いよ」
「ギギギ……ギギャ!!!」
まずは一体、ゴブリンナイトが様子見で襲い掛かってくるが、後ろではちゃっかりゴブリンメイジがウィンドカッターを放つ準備をしていた。
(上位種同士で行動してるんだから、一般的な戦い方ができても不思議ではないか)
だが、アラッドとしてはナイト一体で襲い掛かってきたのが少々不満だった。
確かに体格はゴブリンナイトの方が勝っている。
しかし身体強化を使えば身体能力の差は容易にひっくり返る。
(剣技のスキルは身に着けてるかもしれないが、あまり対人戦には慣れていないって感じだな。この感じが対人戦に慣れている人にとっては厄介に感じるのかもしれないけど、母さんやグラストさんの速さに目が慣れていると対処が楽だな)
今のところ、糸を使わずともゴブリンナイトと互角に渡り合っている。
お互いに剣に魔力を纏っていないが、アラッドが扱うロングソードは毎日整備している物で、ゴブリンナイトが使うロングソードはそこら辺に転がっていた物で……しかも全く整備されていない物。
この剣戟で壊れてもおかしくない状態だが、ナイトの表情に焦りは全くなく、寧ろニヤニヤと笑っていた。
(もしかして自分が押しているとでも思ってるのか? 武器の質やスキルの数に練度を考えれば全くそんなことないんだが……あっ、そういうことか)
アラッドは何故ナイトが余裕な表情を崩さないのか、その理由が直ぐに解かった。
「ギギャッ!!」
ナイトは準備が整い、後ろに下がると直ぐに横へ跳ぶ。
「ギギギャギャーーーッ!!!!」
「規模的にウィンドカッターか」
メイジが放った攻撃魔法を即座に分析し、アラッドは刃に魔力を纏わせた。
「ハッ!!!!!」
身体強化を全力で使った状態でウィンドカッターに斬撃をぶつけた。
するとアラッドが予想していたよりもあっさりと風の刃は無残に散った。
「「「ッ!!??」」」
「おいおい、もしかして今のが必勝パターンだったのか?」
Dランクのモンスターだと思って少々身構えていたが、大した敵ではなかった。
それが解ると同時に駆け出し、一気に距離を詰めた。
アラッドの言葉通り、ナイトかファイターが敵に接近してメイジが詠唱する時間を稼ぎ、ウィンドカッターで止めを刺す。
それが三体の戦い方だった。
しかしそれはあっさりと突破され、三体の首が綺麗に飛ばされた。
「レベルが低いからか……いまいちだったな」
「……可能性がゼロとは言えませんね。パーシブル家を敵に回して利があるとは思えませんが、子供だけであれば無謀な判断をしてしまうかもしれません」
「だろ。だから少しでもその可能性からギーラス義兄さんを守ろうと思うんだ」
血が繋がっていない義兄だが、アラッドにとっては良い兄であることに変わりない。
なので、馬鹿な令息たちにしてやられない為にもリバーシで稼いだ金で対策を練ろうと考えていた。
「アラッド様はお優しいですね」
「そうか? 確かにギーラス義兄さんとは血が繋がっていないけど、良い関係を築けていると俺は思ってるんだ。だからギーラス義兄さんは下らない理由で死んでほしくないんだ」
アラッド的にはきょうだいの中でルリナやガルアとも悪くない関係を築けていると思っている。
唯一きょうだいの中で仲が悪いのは、ドラングのみ。
元々アラッドはあまり興味がなかったのだが、ドラングが勝手にアラッドを敵視……ライバル視しているので、結果的に仲が悪くなってしまった。
「そうですか……それでは、帰りにお店に寄られるのですか?」
「あぁ、帰りにいくつか道具を買う」
既にアラッドがリバーシで儲けた一か月分のお金はパーシブル家に現金で届いており、現在はフールから借りているアイテムポーチの中に入っていた。
「おっ、来たな」
四人の間にゴブリンの上位種であるゴブリンナイトとファイター、メイジが現れた。
一般的なゴブリンより体が大きく、ホブゴブリンより一回り大きい。
そしてナイトは剣技のスキルを持ち、ファイターは体技、そしてメイジは風魔法のスキルを持っている。
「アラッド様、一応Dランクのモンスターですがどういたしますか」
今までアラッドはEランクまでのモンスターとしか遭遇してこなかった。
今回が初のDランクモンスターと戦う機会になる。
「……お前たちは手を出さなくて良い。あれぐらいなら、俺一人でどうとでもなる」
相変わらずレベルの上りは遅いが、それでも二日に一度のペースで戦っているので順調にレベルは上がっていると言える。
「ほら、掛かって来いよ」
「ギギギ……ギギャ!!!」
まずは一体、ゴブリンナイトが様子見で襲い掛かってくるが、後ろではちゃっかりゴブリンメイジがウィンドカッターを放つ準備をしていた。
(上位種同士で行動してるんだから、一般的な戦い方ができても不思議ではないか)
だが、アラッドとしてはナイト一体で襲い掛かってきたのが少々不満だった。
確かに体格はゴブリンナイトの方が勝っている。
しかし身体強化を使えば身体能力の差は容易にひっくり返る。
(剣技のスキルは身に着けてるかもしれないが、あまり対人戦には慣れていないって感じだな。この感じが対人戦に慣れている人にとっては厄介に感じるのかもしれないけど、母さんやグラストさんの速さに目が慣れていると対処が楽だな)
今のところ、糸を使わずともゴブリンナイトと互角に渡り合っている。
お互いに剣に魔力を纏っていないが、アラッドが扱うロングソードは毎日整備している物で、ゴブリンナイトが使うロングソードはそこら辺に転がっていた物で……しかも全く整備されていない物。
この剣戟で壊れてもおかしくない状態だが、ナイトの表情に焦りは全くなく、寧ろニヤニヤと笑っていた。
(もしかして自分が押しているとでも思ってるのか? 武器の質やスキルの数に練度を考えれば全くそんなことないんだが……あっ、そういうことか)
アラッドは何故ナイトが余裕な表情を崩さないのか、その理由が直ぐに解かった。
「ギギャッ!!」
ナイトは準備が整い、後ろに下がると直ぐに横へ跳ぶ。
「ギギギャギャーーーッ!!!!」
「規模的にウィンドカッターか」
メイジが放った攻撃魔法を即座に分析し、アラッドは刃に魔力を纏わせた。
「ハッ!!!!!」
身体強化を全力で使った状態でウィンドカッターに斬撃をぶつけた。
するとアラッドが予想していたよりもあっさりと風の刃は無残に散った。
「「「ッ!!??」」」
「おいおい、もしかして今のが必勝パターンだったのか?」
Dランクのモンスターだと思って少々身構えていたが、大した敵ではなかった。
それが解ると同時に駆け出し、一気に距離を詰めた。
アラッドの言葉通り、ナイトかファイターが敵に接近してメイジが詠唱する時間を稼ぎ、ウィンドカッターで止めを刺す。
それが三体の戦い方だった。
しかしそれはあっさりと突破され、三体の首が綺麗に飛ばされた。
「レベルが低いからか……いまいちだったな」
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