33 / 984
三十三話 バカなのかと思ってしまう
しおりを挟む
「すいません、変な声が出てしまいました」
「いや、気にする事はない。僕もアラッドぐらいの歳なら思わず変な声を出してしまうよ」
売上金の一部として、アラッドの懐には一億マギー以上入ったと洋紙には記されていた。
(儲かるとは思っていたが、まさか一か月程度で一億以上も……この歳で白金貨を自分で稼いだのは俺ぐらいじゃないか?)
自惚れではなく、事実としてこの世界で自らのアイデアで五歳児の間に白金貨一枚を稼いだのはアラッドが初であった。
リバーシは現在百万個以上売れているが、まだまだ手にしていない者は多い。
アラッドが生まれた国以外で販売されるのも時間の問題なので、まだまだアラッドの懐には金が入り続ける。
加えて、貴族や豪商は少しでも豪華なリバーシを買って自分の力を周囲に誇示しようと考えているので、特注のリバーシも飛ぶように売れている。
そして洋紙に記入されている金額とは別に、もう一つの洋紙が入っていた。
「アラッド、これは君の懐だけに入った金額が記入されている洋紙だよ」
「? こちらに全部入っているのではないですか?」
「こっちの洋紙には固定化されているリバーシが売れた金額だよ。こっちはアラッドが直々に作ったリバーシの売り上げが合計された分だよ」
アラッドがトレントの木で作ったリバーシを国王は金貨五十枚で買い取った。
新し娯楽とはいえ、作るのに必要な素材の値段を考えれば、破格の値段と言えるだろう。
そしてトレントの木を使ってアラッド自ら作るリバーシの値段は金貨五十枚と設定された。
アラッド自ら作った印として、ボードの裏にはロングソードと炎が交わるマークが記されている。
豪華な素材を使用して作られたリバーシを持つこと以外に、権力者は制作者であるアラッド直々に作ったリバーシを手に入れるのが一つのステータスとなっている。
リバーシの制作者がアラッドだと公開はされていない。
だが、毎月のように契約によって七割の権利を支配しているリグラットの元にアラッドが作ったリバーシを売って欲しいという内容の手紙が何十通、何百通と届く。
それを申し訳なさそうな表情でリグラットはアラッドに伝えるが、本人としては特に問題はなかった。
さすがにリバーシを作る為だけに一日を潰す様なことはしないが、勉強等で学ぶことはなくなったのでその時間を利用してせっせとリバーシを作っていく。
ただ、あまりにもアラッドが作ったリバーシを望む物が多く、中には払う金額を増額するから優先して作って欲しいと申請する者までいた。
その結果、本来の値段である倍の金額……金貨百枚。すなわち白金貨一枚で申請した者たちには優先的に売られることになった。
(…………バカだろ)
洋紙には普通の値段で買い取った者の人数と、わざわざ倍の値段を払って買い取った者の人数が記されていた。
白金貨一枚でリバーシを買い取った人数を見て、アラッドは心の中で思わず呟いしまった。
(白金貨一枚といえば、日本円に換算すれば一億円だぞ一億円!!! トレントの木は確かにそこら辺の木と比べれば素材価値は高い。ただ、それでも金貨五十枚ですらかなりの設定額なのにあのリバーシに白金貨一枚を使うとか……やっぱりアホだろ)
アラッドが作ったリバーシを買い取った人数などが記されている容姿に記入されている金額を見て、アラッドは倒れそうになった。
「…………父さん、この洋紙に記入されている金額は誠なのですか?」
「事実だね。そっちの洋紙に記入されている金額はアラッドに直接頼んだ依頼だから、リバーシを買うために払った金額が全てアラッドの懐に入ってくる僕は妥当な金額だと思うよ」
現在、アラッドにはリグラットからまだまだアラッド自身が作ったリバーシの購入を求められている。
故に、こちらもまだまだ注文が届き、アラッドの懐に金額が入り続ける。
「アラッド……どうする? なんか色々買ってみるかい? それだけのお金があれば土地を買うことすら容易だと思うよ」
アラッドがリバーシの一件で稼いだ額は既にパーシブル家に入ってくるリバーシの権利を大きく超えていた。
その金額に関してフールはどうこうしようとは思えない。
アラッドが馬鹿ではないということも知っているので、その金額を管理しようとも思っていない。
全てアラッドが自由に使うのが一番良いと思っていた。
さて、そんなアラッドは洋紙に記入されている金額を何に使えば良いか全く分からず、執務室から出るまで頭の中が真っ白になっていた。
「いや、気にする事はない。僕もアラッドぐらいの歳なら思わず変な声を出してしまうよ」
売上金の一部として、アラッドの懐には一億マギー以上入ったと洋紙には記されていた。
(儲かるとは思っていたが、まさか一か月程度で一億以上も……この歳で白金貨を自分で稼いだのは俺ぐらいじゃないか?)
自惚れではなく、事実としてこの世界で自らのアイデアで五歳児の間に白金貨一枚を稼いだのはアラッドが初であった。
リバーシは現在百万個以上売れているが、まだまだ手にしていない者は多い。
アラッドが生まれた国以外で販売されるのも時間の問題なので、まだまだアラッドの懐には金が入り続ける。
加えて、貴族や豪商は少しでも豪華なリバーシを買って自分の力を周囲に誇示しようと考えているので、特注のリバーシも飛ぶように売れている。
そして洋紙に記入されている金額とは別に、もう一つの洋紙が入っていた。
「アラッド、これは君の懐だけに入った金額が記入されている洋紙だよ」
「? こちらに全部入っているのではないですか?」
「こっちの洋紙には固定化されているリバーシが売れた金額だよ。こっちはアラッドが直々に作ったリバーシの売り上げが合計された分だよ」
アラッドがトレントの木で作ったリバーシを国王は金貨五十枚で買い取った。
新し娯楽とはいえ、作るのに必要な素材の値段を考えれば、破格の値段と言えるだろう。
そしてトレントの木を使ってアラッド自ら作るリバーシの値段は金貨五十枚と設定された。
アラッド自ら作った印として、ボードの裏にはロングソードと炎が交わるマークが記されている。
豪華な素材を使用して作られたリバーシを持つこと以外に、権力者は制作者であるアラッド直々に作ったリバーシを手に入れるのが一つのステータスとなっている。
リバーシの制作者がアラッドだと公開はされていない。
だが、毎月のように契約によって七割の権利を支配しているリグラットの元にアラッドが作ったリバーシを売って欲しいという内容の手紙が何十通、何百通と届く。
それを申し訳なさそうな表情でリグラットはアラッドに伝えるが、本人としては特に問題はなかった。
さすがにリバーシを作る為だけに一日を潰す様なことはしないが、勉強等で学ぶことはなくなったのでその時間を利用してせっせとリバーシを作っていく。
ただ、あまりにもアラッドが作ったリバーシを望む物が多く、中には払う金額を増額するから優先して作って欲しいと申請する者までいた。
その結果、本来の値段である倍の金額……金貨百枚。すなわち白金貨一枚で申請した者たちには優先的に売られることになった。
(…………バカだろ)
洋紙には普通の値段で買い取った者の人数と、わざわざ倍の値段を払って買い取った者の人数が記されていた。
白金貨一枚でリバーシを買い取った人数を見て、アラッドは心の中で思わず呟いしまった。
(白金貨一枚といえば、日本円に換算すれば一億円だぞ一億円!!! トレントの木は確かにそこら辺の木と比べれば素材価値は高い。ただ、それでも金貨五十枚ですらかなりの設定額なのにあのリバーシに白金貨一枚を使うとか……やっぱりアホだろ)
アラッドが作ったリバーシを買い取った人数などが記されている容姿に記入されている金額を見て、アラッドは倒れそうになった。
「…………父さん、この洋紙に記入されている金額は誠なのですか?」
「事実だね。そっちの洋紙に記入されている金額はアラッドに直接頼んだ依頼だから、リバーシを買うために払った金額が全てアラッドの懐に入ってくる僕は妥当な金額だと思うよ」
現在、アラッドにはリグラットからまだまだアラッド自身が作ったリバーシの購入を求められている。
故に、こちらもまだまだ注文が届き、アラッドの懐に金額が入り続ける。
「アラッド……どうする? なんか色々買ってみるかい? それだけのお金があれば土地を買うことすら容易だと思うよ」
アラッドがリバーシの一件で稼いだ額は既にパーシブル家に入ってくるリバーシの権利を大きく超えていた。
その金額に関してフールはどうこうしようとは思えない。
アラッドが馬鹿ではないということも知っているので、その金額を管理しようとも思っていない。
全てアラッドが自由に使うのが一番良いと思っていた。
さて、そんなアラッドは洋紙に記入されている金額を何に使えば良いか全く分からず、執務室から出るまで頭の中が真っ白になっていた。
257
お気に入りに追加
6,083
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
聖女の姉が行方不明になりました
蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる