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七話 過去の自分を超える逸材
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「本日、アラッド様とドラング様が模擬戦を行いました」
「おぉ~~~、いつかやるだろうとは思っていたけど、今日だったか。僕も観たかったね」
ドラングがアラッドをライバル視しているのはフールも知っていたので、いつか二人が訓練などの目的ではなく、私的な理由で模擬戦をすると思っていた。
「それで、結果はどうだったんだい? 僕としては六対四でややアラッドが有利だと思うんだけど」
「本日は、その結果を直ぐに報告した方が良いと思い、やって来ました」
グラストが普段よりも真剣な表情に、フールだけではなく他の二人も何が起こったのかと思い、聞き逃したくないので耳に意識を集中させた。
「アラッド様とドラング様が模擬戦を行った結果、アラッド様の圧勝で終わりました」
「……ふむ、そうか。アラッドの方が有利だとは思っていたけど、まさか圧勝とはね」
その可能性がゼロではないと思っていたフールの表情は揺らがなかったが、他二人はドラングが善戦できなかったことに十分驚いていた。
しかし、話はここで終わらない。
「フール様、アラッド様は一撃……たった一撃でドラング様を沈めました」
「ッ! ゴホッ、ゴホッ!!!!」
「だ、大丈夫ですか!」
「あ、あぁ。大丈夫だよ。驚いて紅茶が気管に入ってしまっただけだ」
アラッドが圧勝してしまう可能性は、もしかしたらあるかもしれない。
時々子供たちの訓練風景を見ることがあるので、実力的にはアラッドの方が上であろうという確信は持っていた。
だが、それでもたった一撃で勝負が終わるとは予想していなかった。
「その過程は本当なのかい?」
「えぇ、本当です。フール様への忠誠心に誓って」
「そうか……分かった、信じるよ。それで、いったいどのようにしてドラングを一撃で沈めたんだい?」
「いたってシンプルな方法です。身体強化のスキルを使用し、拳と脚に魔力を纏って強化を行って近づき、あばらに拳を叩きこんで終了です。私の見立てでは、その一撃であばらの骨が折れていたかと」
「魔力を部分的に纏えるのか……魔力操作に関しては頭一つ抜けているとは思っていたけど……質はどうだった」
「五歳児とは思えないほど纏うスピードが速く、形も歪ではなく綺麗な形でした」
体や武器に魔力を纏うという技術を身に付けるのすら、普通はまだ先の話。
加えて、魔力を部分的に纏うという技術を習得するのはまだまだ先になる筈なのだが……アラッドはそれを五歳で習得してしまった。
「なるほど……子供にしては随分と大人びた雰囲気を持つとは思っていたけど、成長スピードが尋常ではないね」
「今回は拳だけで終わらせてしまいましたが、アラッド様の練習内容を考えるに攻撃手段はまだまだあります……これは驕りなどではなく、この世の五歳児の中でアラッド様が一番お強いかと思われます」
他家に喧嘩を売るような内容だが、フールもグラストからの報告を聞いてその可能性は十分にあると思ってしまった。
(フールの賢さなら、おそらく糸がどういった武器になるのか既に把握しているよね……それを考えると、公爵家や王族の五歳児と戦っても勝ってしまう……よね?)
もしかしたらアラッドは過去の自分が上り詰めた騎士の地位に追いつく……もしくは追い抜いてしまうかもしれない。
そう考えると、自然と笑みが零れてしまった。
「確かアラッドには魔法の才もあったよね」
「えぇ、あまり詳しいことは確認出来ていませんが、おそらく剣術や体術に劣らぬ才を持っているかと」
魔力操作の腕が上がれば、いずれ己の魔力を属性に変えて纏うことができる。
それは貴族であれば自ずと習得できる技術。
そしてアラッドの場合……現時点で六つの魔法スキルを習得している。
「いつも人一倍頑張ってる成果が実を結んだ証拠だろうね……ふふ、現時点でそこまで強くなったなら、何かご褒美を上げた方がいいね」
「おぉ~~~、いつかやるだろうとは思っていたけど、今日だったか。僕も観たかったね」
ドラングがアラッドをライバル視しているのはフールも知っていたので、いつか二人が訓練などの目的ではなく、私的な理由で模擬戦をすると思っていた。
「それで、結果はどうだったんだい? 僕としては六対四でややアラッドが有利だと思うんだけど」
「本日は、その結果を直ぐに報告した方が良いと思い、やって来ました」
グラストが普段よりも真剣な表情に、フールだけではなく他の二人も何が起こったのかと思い、聞き逃したくないので耳に意識を集中させた。
「アラッド様とドラング様が模擬戦を行った結果、アラッド様の圧勝で終わりました」
「……ふむ、そうか。アラッドの方が有利だとは思っていたけど、まさか圧勝とはね」
その可能性がゼロではないと思っていたフールの表情は揺らがなかったが、他二人はドラングが善戦できなかったことに十分驚いていた。
しかし、話はここで終わらない。
「フール様、アラッド様は一撃……たった一撃でドラング様を沈めました」
「ッ! ゴホッ、ゴホッ!!!!」
「だ、大丈夫ですか!」
「あ、あぁ。大丈夫だよ。驚いて紅茶が気管に入ってしまっただけだ」
アラッドが圧勝してしまう可能性は、もしかしたらあるかもしれない。
時々子供たちの訓練風景を見ることがあるので、実力的にはアラッドの方が上であろうという確信は持っていた。
だが、それでもたった一撃で勝負が終わるとは予想していなかった。
「その過程は本当なのかい?」
「えぇ、本当です。フール様への忠誠心に誓って」
「そうか……分かった、信じるよ。それで、いったいどのようにしてドラングを一撃で沈めたんだい?」
「いたってシンプルな方法です。身体強化のスキルを使用し、拳と脚に魔力を纏って強化を行って近づき、あばらに拳を叩きこんで終了です。私の見立てでは、その一撃であばらの骨が折れていたかと」
「魔力を部分的に纏えるのか……魔力操作に関しては頭一つ抜けているとは思っていたけど……質はどうだった」
「五歳児とは思えないほど纏うスピードが速く、形も歪ではなく綺麗な形でした」
体や武器に魔力を纏うという技術を身に付けるのすら、普通はまだ先の話。
加えて、魔力を部分的に纏うという技術を習得するのはまだまだ先になる筈なのだが……アラッドはそれを五歳で習得してしまった。
「なるほど……子供にしては随分と大人びた雰囲気を持つとは思っていたけど、成長スピードが尋常ではないね」
「今回は拳だけで終わらせてしまいましたが、アラッド様の練習内容を考えるに攻撃手段はまだまだあります……これは驕りなどではなく、この世の五歳児の中でアラッド様が一番お強いかと思われます」
他家に喧嘩を売るような内容だが、フールもグラストからの報告を聞いてその可能性は十分にあると思ってしまった。
(フールの賢さなら、おそらく糸がどういった武器になるのか既に把握しているよね……それを考えると、公爵家や王族の五歳児と戦っても勝ってしまう……よね?)
もしかしたらアラッドは過去の自分が上り詰めた騎士の地位に追いつく……もしくは追い抜いてしまうかもしれない。
そう考えると、自然と笑みが零れてしまった。
「確かアラッドには魔法の才もあったよね」
「えぇ、あまり詳しいことは確認出来ていませんが、おそらく剣術や体術に劣らぬ才を持っているかと」
魔力操作の腕が上がれば、いずれ己の魔力を属性に変えて纏うことができる。
それは貴族であれば自ずと習得できる技術。
そしてアラッドの場合……現時点で六つの魔法スキルを習得している。
「いつも人一倍頑張ってる成果が実を結んだ証拠だろうね……ふふ、現時点でそこまで強くなったなら、何かご褒美を上げた方がいいね」
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