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千三十二話 常識はおあり?
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「あの、すいません。ソウスケさんとミレアナさん、でよろしいでしょうか?」
「? はい。自分はソウスケで、こっちはミレアナですけど」
「良かった~~~。少しお時間宜しいでしょうか」
基本的に冒険者が受付嬢に少しお時間宜しいでしょうかと尋ねられた場合、「ちょっと今忙しんで音でおなしゃ~~す」と返す選択肢はない。
「えぇ、大丈夫ですよ」
ソウスケは面倒というストレートな気持ちを隠し、大丈夫だと答えると……個室へと案内された。
「えっとですね、まず一つ確認したいことがあるのですが、その……ソウスケさんは先日、娼館に行かれましたか」
「はい、行きましたね」
可愛い受付嬢からの突然の質問に、何故そんな質問を? と驚きはしたものの、隠しても仕方ないと思ったソウスケは隠さず答えた。
「あっ、良かったです」
(良かった? ……何故???)
「実はですね、ソウスケさんが帰り際にバカをぶん投げる光景を見た方がいまして」
「っ……お、お咎めということですか」
悪くないとは思いつつも、冒険者を結果的に殺してしまっていたかもしれない。
その自覚はあったソウスケは、何か罰が用意されているのかと覚悟するも、受付嬢がバカと口にした通り……ギルドは全くそんなつもりはなかった。
「いえいえ!! お咎めなんてありませんよ! あの冒険者はもう本当にめんどくさい存在で、そのくせにそれなりに強いので、ギルドで扱いに困っていたんですよ!!!」
「な、なるほど。そうだったんですね」
受付嬢の表情から、ソウスケやミレアナという存在を冒険者界隈から追放するのはデメリットになるから……という理由ではなく、本当に扱いに困っていたことが解る。
「ちなみにそのバカは死んでいなかったようですが、何かに怯えるようになってデカい態度が小さくなったので、本当に助かりました!!」
「ど、どうも」
「それでですね、その光景を見ていた方から、是非ともその方に自分を指導してほしいという依頼が来たのです」
「指導系の依頼、ですか」
「その通りです」
「…………因みに、その方はどういった方でしょうか」
「このリクールを治める領主の子供です」
クソ面倒、という言葉はグッと押し込んだソウスケは、自分を褒めた。
「子供、ですか。あの場に居たという事は、既に十五歳は越えていると?」
「はい。おそらくですが、中等部までは学園に通っていた方ですね」
(中等部までは、という事は高等部には進学出来なかった、もしくはしなかったということか)
「期限は二十日間。報酬は白金貨三枚です」
「随分と太っ腹ですね」
大金を稼いで稼ぎまくっているソウスケだが、まだ一応常識的な金銭感覚は残っている。
ソウスケとミレアナは現在Bランクという、高ランクと言える立場にいるものの、それでも一つの依頼の報酬金額が白金貨三枚と言うのは、非常に珍しい例と言える。
「……因みになんですけど、その自分に指導をしてほしい頼んで来た方は、人の何かを欲しがったりしない方ですか」
「え、えっと。聞いた話では貴族の中でも常識的な方だと聞いていますけど……な、何か過去に問題がありましたか?」
「実は……」
少し前、どういった貴族の令息に出会ってしまったのかを話した。
それを聞いた受付嬢は……可愛い顔を歪ませ、ため息を吐いた。
「はぁ~~~~……全く、子供だからといって何を言っても許されると思ってるのでしょうね。仮にそうではなく、本当に突発的に欲望を爆発させてしまったのだとしても、はいそうですかと言える件ではありません! だから冒険者の方々がこういった依頼を中々受けたがらなくなると言うのに」
自分と同じ考えを持ってくれていると知ったソウスケは、幾分重くなっていた依頼に対する気持ちが軽くなった。
「もしその様な件がありましたら、直ぐにギルドへ報告してください。それと、ギルドの方からも事前に領主へ伝えておきます」
「ありがとうございます」
こうして、これからリクールに滞在する期間が決まった。
「? はい。自分はソウスケで、こっちはミレアナですけど」
「良かった~~~。少しお時間宜しいでしょうか」
基本的に冒険者が受付嬢に少しお時間宜しいでしょうかと尋ねられた場合、「ちょっと今忙しんで音でおなしゃ~~す」と返す選択肢はない。
「えぇ、大丈夫ですよ」
ソウスケは面倒というストレートな気持ちを隠し、大丈夫だと答えると……個室へと案内された。
「えっとですね、まず一つ確認したいことがあるのですが、その……ソウスケさんは先日、娼館に行かれましたか」
「はい、行きましたね」
可愛い受付嬢からの突然の質問に、何故そんな質問を? と驚きはしたものの、隠しても仕方ないと思ったソウスケは隠さず答えた。
「あっ、良かったです」
(良かった? ……何故???)
「実はですね、ソウスケさんが帰り際にバカをぶん投げる光景を見た方がいまして」
「っ……お、お咎めということですか」
悪くないとは思いつつも、冒険者を結果的に殺してしまっていたかもしれない。
その自覚はあったソウスケは、何か罰が用意されているのかと覚悟するも、受付嬢がバカと口にした通り……ギルドは全くそんなつもりはなかった。
「いえいえ!! お咎めなんてありませんよ! あの冒険者はもう本当にめんどくさい存在で、そのくせにそれなりに強いので、ギルドで扱いに困っていたんですよ!!!」
「な、なるほど。そうだったんですね」
受付嬢の表情から、ソウスケやミレアナという存在を冒険者界隈から追放するのはデメリットになるから……という理由ではなく、本当に扱いに困っていたことが解る。
「ちなみにそのバカは死んでいなかったようですが、何かに怯えるようになってデカい態度が小さくなったので、本当に助かりました!!」
「ど、どうも」
「それでですね、その光景を見ていた方から、是非ともその方に自分を指導してほしいという依頼が来たのです」
「指導系の依頼、ですか」
「その通りです」
「…………因みに、その方はどういった方でしょうか」
「このリクールを治める領主の子供です」
クソ面倒、という言葉はグッと押し込んだソウスケは、自分を褒めた。
「子供、ですか。あの場に居たという事は、既に十五歳は越えていると?」
「はい。おそらくですが、中等部までは学園に通っていた方ですね」
(中等部までは、という事は高等部には進学出来なかった、もしくはしなかったということか)
「期限は二十日間。報酬は白金貨三枚です」
「随分と太っ腹ですね」
大金を稼いで稼ぎまくっているソウスケだが、まだ一応常識的な金銭感覚は残っている。
ソウスケとミレアナは現在Bランクという、高ランクと言える立場にいるものの、それでも一つの依頼の報酬金額が白金貨三枚と言うのは、非常に珍しい例と言える。
「……因みになんですけど、その自分に指導をしてほしい頼んで来た方は、人の何かを欲しがったりしない方ですか」
「え、えっと。聞いた話では貴族の中でも常識的な方だと聞いていますけど……な、何か過去に問題がありましたか?」
「実は……」
少し前、どういった貴族の令息に出会ってしまったのかを話した。
それを聞いた受付嬢は……可愛い顔を歪ませ、ため息を吐いた。
「はぁ~~~~……全く、子供だからといって何を言っても許されると思ってるのでしょうね。仮にそうではなく、本当に突発的に欲望を爆発させてしまったのだとしても、はいそうですかと言える件ではありません! だから冒険者の方々がこういった依頼を中々受けたがらなくなると言うのに」
自分と同じ考えを持ってくれていると知ったソウスケは、幾分重くなっていた依頼に対する気持ちが軽くなった。
「もしその様な件がありましたら、直ぐにギルドへ報告してください。それと、ギルドの方からも事前に領主へ伝えておきます」
「ありがとうございます」
こうして、これからリクールに滞在する期間が決まった。
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