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九百四話 金は力
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完全に覚悟が決まっている。
雇われの身であるソウスケとミレアナは、これ以上考えることはなかった。
長い目で見れば、アネットが襲撃を受けた際に護衛の騎士や彼女の命も含め救われる可能性が高まる。
一応悪いことではない。
ただ……アマンダだけは考える。
(………………アネット様が望んでいる以上、実戦を続けるべきでしょうか)
この場でアネットに意見を出来る人物は、アマンダ以外にいない。
立場的にはアマンダも意見することは基本的に出来ないが、これまでの関係性や親和性からできないことはない。
(……元々アネット様は王位に興味がない。であれば、一応王位継承権争いに巻き込まれることはないと思いますが……)
アネットは姫騎士になろうと思っている訳ではない。
ただ……出来ることなら、自分の身は自分で守りたい。
自分を守ってくれる騎士たちの責任を、彼女たちだけに追わせたくない。
そんなアネットの思いだけを考えると、世間からの評判や王位継承権争いに関わるとは思えない。
だが、何もしていない王女と比べれば、遥かにイメージは良い。
(…………可能であれば、その辺りもソウスケさんに色々とお聞きしたいところですね)
考えに考え込んだ末、アマンダは小さく顔を縦に動かした。
「分かりました。では、何度か二十一階層辺りで戦闘を行い、可能であれば三十一階層でも戦ってみましょう」
「あ、ありがとう! アマンダ!!!」
華が咲く、とはこのことだろうと、個室に居る全員が思った。
(相性の属性を考えれば、三十一階層で戦うのが一番だろうな。つっても、三十一階層でもBランクモンスターが現れることはある……まぁ、その場合は俺たちが近づけさせないけども)
ソウスケから視て、アネットは水魔法以外の属性魔法も使用出来るが、ザハークと同じく一番得意な属性魔法は水であった。
ポ〇モンほど相性だけでなんとか出来るものではないが、それでも火は水に弱い。
それはどう足掻いても変えられない自然の法則。
特殊な何かがない限り、その法則は崩れない。
「ソウスケさん、お時間少しよろしいでしょうか」
祝勝会が終わったその日の夜、そろそろ寝ようかと思っていたソウスケとミレアナの部屋にアマンダが訪れてきた。
(なんか……長話になる感じかな?)
ソウスケはアマンダのからのお誘いを快諾し、お菓子を容易。
そしてミレアナが紅茶を淹れ、夜のお話を行う準備は万端。
「…………こんな事をお二人に訊くのは間違っているといいますか、専門外なので何も答えられませんと言われてもおかしくありません……しかし、それでも意見を求めたいです」
「わ、分かりました」
アマンダは先程の祝勝会で、アネットの発言……決定によって生まれた危惧について語った。
「えっと……王族の中には、そういったちょっとヤバい方がいるんですか?」
「表立ってはいませんが、それでも黒い噂を耳にする方はいます」
貴族だけではなく、王族であっても腐っている者はとことん腐っている。
アマンダはアネットだけを守る立場では無いにしろ、超まともな王族である彼女を守りたいという思いがあった。
「…………それなら、とりあえずお金ですね」
「お、お金ですか」
「はい、そうです。アマンダさんたちはアネット様だけではなく、他の王女様たちを守る立場の方々です。四六時中、アネット様だけを守る訳にはいかないでしょう」
最もな内容である。
「……アネット様、これを見てください」
そう言いながら、ソウスケは亜空間の中から二つの物を取り出した。
それは……レヴァルグとブロウス。
共にランク八の超名槍という、そこにあるだけで強烈な存在感を放つ武器である。
「ッ……二本も並ぶと、半端ではない存在感ですね」
「そうです。そんなマジックアイテムが……上級者向けダンジョンでは、獲得出来る可能性があります」
その言葉だけで、アマンダはソウスケが何を言いたいのか、ある程度解ってしまった。
雇われの身であるソウスケとミレアナは、これ以上考えることはなかった。
長い目で見れば、アネットが襲撃を受けた際に護衛の騎士や彼女の命も含め救われる可能性が高まる。
一応悪いことではない。
ただ……アマンダだけは考える。
(………………アネット様が望んでいる以上、実戦を続けるべきでしょうか)
この場でアネットに意見を出来る人物は、アマンダ以外にいない。
立場的にはアマンダも意見することは基本的に出来ないが、これまでの関係性や親和性からできないことはない。
(……元々アネット様は王位に興味がない。であれば、一応王位継承権争いに巻き込まれることはないと思いますが……)
アネットは姫騎士になろうと思っている訳ではない。
ただ……出来ることなら、自分の身は自分で守りたい。
自分を守ってくれる騎士たちの責任を、彼女たちだけに追わせたくない。
そんなアネットの思いだけを考えると、世間からの評判や王位継承権争いに関わるとは思えない。
だが、何もしていない王女と比べれば、遥かにイメージは良い。
(…………可能であれば、その辺りもソウスケさんに色々とお聞きしたいところですね)
考えに考え込んだ末、アマンダは小さく顔を縦に動かした。
「分かりました。では、何度か二十一階層辺りで戦闘を行い、可能であれば三十一階層でも戦ってみましょう」
「あ、ありがとう! アマンダ!!!」
華が咲く、とはこのことだろうと、個室に居る全員が思った。
(相性の属性を考えれば、三十一階層で戦うのが一番だろうな。つっても、三十一階層でもBランクモンスターが現れることはある……まぁ、その場合は俺たちが近づけさせないけども)
ソウスケから視て、アネットは水魔法以外の属性魔法も使用出来るが、ザハークと同じく一番得意な属性魔法は水であった。
ポ〇モンほど相性だけでなんとか出来るものではないが、それでも火は水に弱い。
それはどう足掻いても変えられない自然の法則。
特殊な何かがない限り、その法則は崩れない。
「ソウスケさん、お時間少しよろしいでしょうか」
祝勝会が終わったその日の夜、そろそろ寝ようかと思っていたソウスケとミレアナの部屋にアマンダが訪れてきた。
(なんか……長話になる感じかな?)
ソウスケはアマンダのからのお誘いを快諾し、お菓子を容易。
そしてミレアナが紅茶を淹れ、夜のお話を行う準備は万端。
「…………こんな事をお二人に訊くのは間違っているといいますか、専門外なので何も答えられませんと言われてもおかしくありません……しかし、それでも意見を求めたいです」
「わ、分かりました」
アマンダは先程の祝勝会で、アネットの発言……決定によって生まれた危惧について語った。
「えっと……王族の中には、そういったちょっとヤバい方がいるんですか?」
「表立ってはいませんが、それでも黒い噂を耳にする方はいます」
貴族だけではなく、王族であっても腐っている者はとことん腐っている。
アマンダはアネットだけを守る立場では無いにしろ、超まともな王族である彼女を守りたいという思いがあった。
「…………それなら、とりあえずお金ですね」
「お、お金ですか」
「はい、そうです。アマンダさんたちはアネット様だけではなく、他の王女様たちを守る立場の方々です。四六時中、アネット様だけを守る訳にはいかないでしょう」
最もな内容である。
「……アネット様、これを見てください」
そう言いながら、ソウスケは亜空間の中から二つの物を取り出した。
それは……レヴァルグとブロウス。
共にランク八の超名槍という、そこにあるだけで強烈な存在感を放つ武器である。
「ッ……二本も並ぶと、半端ではない存在感ですね」
「そうです。そんなマジックアイテムが……上級者向けダンジョンでは、獲得出来る可能性があります」
その言葉だけで、アマンダはソウスケが何を言いたいのか、ある程度解ってしまった。
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