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八百八十六話 今回が特別
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「お待たせしました」
「いえいえ、全然待ってませんよ。寧ろ良いものを見せてもらいました」
同じことをやれと言われれば……出来ることには出来る。
ただ、同じ様に戦ったとしてもアマンダほどの美しさは出せない。
「それじゃ、そっちも直ぐに解体してしまいますね」
「ありがとう」
止め以外は適度な攻撃しか行っていない為、素材として売却できる素材が多い。
自分の懐に入る訳ではないが、そういった綺麗な状態に近い死体を解体するのも悪くない。
「……そういえば、このファイアドレイクはどうしますか?」
「どう、とはどういうでしょうか?」
「Bランクモンスターで、火竜の素材ともなればその鱗で盾を、鎧を造るのもありです。牙や爪は良質な武器の素材になり、血もそういった素材として使用できます」
「なるほど。確かに売るだけが使い道ではありませんね」
「そういう事です」
Bランクモンスターの素材や魔石などは、そう簡単にほいほいと購入出来る物ではない。
騎士団の経理を担当する者としても、そういった今後の戦闘に必要な物を自分たちで用意出来るのは非常に助かる。
「それでは、このファイアドレイクの素材を使ってソウスケさんとザハークさんにいくつか武器、防具を造ってもらってもよろしいでしょうか」
「えっ?」
アマンダを含め、女性騎士たちからすれば当然の申し出であり、ソウスケからすれば不意を突かれた申し出である。
「えっと、なんで俺やザハークなんですか?」
「勿論、あなた方が名匠だからです」
「っ……あの、俺はその……」
名匠、と言われるのは照れはするが、やはり嬉しい。
ザハークも名匠という言葉の意味を理解しているため、不意に頬が緩む。
ただ……ソウスケとしては、その腕は長い間経験を積み重ねてきものではなく、文字通り神からの謝罪として貰った才能。
そういった事情もあってあまり誇る気にはなれない。
しかし、造られた武器を見た者たちが名匠、と呼びたくなる程の物を造った……という自信は多少ある。
「……分かりました」
「ありがとうございます。勿論、お代は支払いますので」
「うっす」
とはいえ、第三騎士団からすればその支払う代金をダンジョンのモンスターを倒すことで得られるため、懐が痛む心配は全くない。
(ダンジョン探索……久しぶりにやりましたが、意外と良いですね。彼女たちの実戦訓練にもなり、新しい装備を名匠に造ってもらい、おまけに懐まで温まる)
まさに一石二鳥どころか三鳥ほどの利益が手に入る。
是非とも今回の件を他の騎士団に報告し、実行に移してみるのはどうか……と考えたところで、アマンダの本能が待ったをかける。
(早計でしたね。実戦は実戦なのですから、当然騎士たちが死ぬ可能性がある。それに、私たちがこれほど順調に進めているのはソウスケさんたちがいるお陰)
アマンダたちが直接指導を受け、ソウスケたちの実力を身に染みて解っているからこそ、余計な問題が起こらない。
ただ、騎士団に所属する他の騎士たちがそれ程物分かりが良いかというと……あまりそうではない。
そういった事情も含めて、騎士団のダンジョン遠征が必ず成功するとは限らない。
それなら毎回ソウスケたちにお願いすれば良い?
バカはそう考えるかもしれないが、さすがにソウスケもハイペースで何度も何度も頼まれては、いくら金払いが良くても受けない。
自身の冒険、旅が出来なくては意味がない。
そんな態度を取ろうものなら一部のバカが騒ぐかもしれないが……ソウスケは前回の戦争で騎士も含めて一番と言っても過言ではない戦果を叩きだした。
外套と仮面を身に付けたソウスケ分身の戦かもソウスケ本体の戦果と言えるため、そういった事情を考えれば……立場がそれなりの騎士であっても、文句は言えない……というより、絶対に文句を言ってはならない。
「いえいえ、全然待ってませんよ。寧ろ良いものを見せてもらいました」
同じことをやれと言われれば……出来ることには出来る。
ただ、同じ様に戦ったとしてもアマンダほどの美しさは出せない。
「それじゃ、そっちも直ぐに解体してしまいますね」
「ありがとう」
止め以外は適度な攻撃しか行っていない為、素材として売却できる素材が多い。
自分の懐に入る訳ではないが、そういった綺麗な状態に近い死体を解体するのも悪くない。
「……そういえば、このファイアドレイクはどうしますか?」
「どう、とはどういうでしょうか?」
「Bランクモンスターで、火竜の素材ともなればその鱗で盾を、鎧を造るのもありです。牙や爪は良質な武器の素材になり、血もそういった素材として使用できます」
「なるほど。確かに売るだけが使い道ではありませんね」
「そういう事です」
Bランクモンスターの素材や魔石などは、そう簡単にほいほいと購入出来る物ではない。
騎士団の経理を担当する者としても、そういった今後の戦闘に必要な物を自分たちで用意出来るのは非常に助かる。
「それでは、このファイアドレイクの素材を使ってソウスケさんとザハークさんにいくつか武器、防具を造ってもらってもよろしいでしょうか」
「えっ?」
アマンダを含め、女性騎士たちからすれば当然の申し出であり、ソウスケからすれば不意を突かれた申し出である。
「えっと、なんで俺やザハークなんですか?」
「勿論、あなた方が名匠だからです」
「っ……あの、俺はその……」
名匠、と言われるのは照れはするが、やはり嬉しい。
ザハークも名匠という言葉の意味を理解しているため、不意に頬が緩む。
ただ……ソウスケとしては、その腕は長い間経験を積み重ねてきものではなく、文字通り神からの謝罪として貰った才能。
そういった事情もあってあまり誇る気にはなれない。
しかし、造られた武器を見た者たちが名匠、と呼びたくなる程の物を造った……という自信は多少ある。
「……分かりました」
「ありがとうございます。勿論、お代は支払いますので」
「うっす」
とはいえ、第三騎士団からすればその支払う代金をダンジョンのモンスターを倒すことで得られるため、懐が痛む心配は全くない。
(ダンジョン探索……久しぶりにやりましたが、意外と良いですね。彼女たちの実戦訓練にもなり、新しい装備を名匠に造ってもらい、おまけに懐まで温まる)
まさに一石二鳥どころか三鳥ほどの利益が手に入る。
是非とも今回の件を他の騎士団に報告し、実行に移してみるのはどうか……と考えたところで、アマンダの本能が待ったをかける。
(早計でしたね。実戦は実戦なのですから、当然騎士たちが死ぬ可能性がある。それに、私たちがこれほど順調に進めているのはソウスケさんたちがいるお陰)
アマンダたちが直接指導を受け、ソウスケたちの実力を身に染みて解っているからこそ、余計な問題が起こらない。
ただ、騎士団に所属する他の騎士たちがそれ程物分かりが良いかというと……あまりそうではない。
そういった事情も含めて、騎士団のダンジョン遠征が必ず成功するとは限らない。
それなら毎回ソウスケたちにお願いすれば良い?
バカはそう考えるかもしれないが、さすがにソウスケもハイペースで何度も何度も頼まれては、いくら金払いが良くても受けない。
自身の冒険、旅が出来なくては意味がない。
そんな態度を取ろうものなら一部のバカが騒ぐかもしれないが……ソウスケは前回の戦争で騎士も含めて一番と言っても過言ではない戦果を叩きだした。
外套と仮面を身に付けたソウスケ分身の戦かもソウスケ本体の戦果と言えるため、そういった事情を考えれば……立場がそれなりの騎士であっても、文句は言えない……というより、絶対に文句を言ってはならない。
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