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八百七十一話 どちらにしろ面白い
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「アマンダさん……第三騎士団の女性騎士たちって、恋愛禁止だったりしますか?」
「……もしかしてソウスケさん、部下の中に気になる人が」
「いえ、違います」
「あら、そうでしたか」
何故か嬉しそうな顔を浮かべるも、一瞬で違うと即答されて沈む騎士団長。
現在二人はアマンダの部屋で高級な椅子に座りながら紅茶を飲んでいた。
「そのですね……昨日の夜、轟炎流の比較的若い門下生たちに相談されたんですよ」
「……なるほど。そういうことでしか」
アマンダは直ぐに納得のいった表情を浮かべ、それはそれで面白いと感じ、先程と同じ様なニコニコ顔になる。
「あまり個人情報を漏らすのは良くありませんが、ソウスケさんの頼みです。色々と教えましょう」
「あ、ありがとうございます」
本当に良いのかと思いつつも耳を澄ませる。
「……といったところです」
「なるほど、そう言った感じなんですね」
結果として、特に恋愛禁止という風紀はない。
とはいえ、なるべく乱れた恋愛はダメという……性別関係無く基本的に騎士が行ってはいけない恋愛はアウト事項である。
そしてやはり何人かは婚約者がおり、既に結婚している者もいた。
(結婚してるのに騎士を続けるって……多分凄い事だよな)
王族を護衛するという職務であるからこそ続けられるという裏事情があるものの、産休から復帰した強者もいる。
「ぶっちゃけた話、そこそこ無理を言ってる自覚はありますけど……可能性としては、どうですか」
「無きにしも非ずですね」
「……そ、そうなんでうすか?」
まさかの可能性はゼロじゃないですよ回答に一瞬驚き固まる。
「えぇ、本当ですよ。ソウスケさんがいない間、彼女たちが轟炎流の門下生たちについて盛り上がっている時がありました。彼の闘志は本当に熱かった、良い執念を持っていたと皆褒めていましたよ」
「それは何と言うか……正直、予想外の反応ですね」
基本的に貴族出身である女性騎士たち。
当然のことながら、交際相手に品位や格を求めるものだとばかり思っていたソウスケ。
「貴族出身でなければ嫌とか、そういう拘りはないんですか?」
「騎士という守る職に……もっと言えば、力が第一の職に就いているので、交際相手に対して第一に求める部分はどうやら容姿や権力ではなく、まず実力だそうです」
なるほどなるほどと、解らなくはない考え。
解らなくはないが……それでもまさかまさかという衝撃の方が大きかった。
「であれば、一度そういう機会をつくっていただいても……」
「えぇ、勿論構いません。彼女たちの中には、そういう出会いに飢えている方もいますので」
「そうなんですか?」
ない、とは思う。
だが……ほんの一瞬ベッドの上で襲うのは轟炎流の門下生側ではなく、第三騎士団の女性騎士たちなのかもしれない、というイメージが浮かんだ。
「騎士団に入ると……染まる人は染まるのです」
その表情には何故かとてつもない説得力があった。
「そうなると、そこら辺の下手な男性騎士だと、ただのプライドが高い少しだけ強い雄、としか見えないらしいです」
「染まれば、逆にそういった権力を持つ、持っている権力を利用しようと考えている輩に興味がなくなるんですね」
「個人さはありますが、学生の頃と比べてそういった部分に魅力を感じなくなることが多いらしいですよ」
ここまで話を聞くと……轟炎流の門下生たちにも十分勝機はある様に思えてくる。
だが、結婚となれば、彼らがどうしても超えなければならない壁が存在する。
「ですが、お付き合い始めて結婚するとなれば、各実家への挨拶は避けて通れません」
「あっ……」
「彼女たちが騎士という立場を捨てるのであれば話は別ですが、今のところ第三騎士団の女性騎士たちからそういった話は聞かないため、彼女たちへの実家に赴き、ご両親へ挨拶をするという鬼門は越えなければならない門ですね」
実際に体験したことがなければ、異性と付き合ったことがないにもかかわらず、無意識に震えてしまった。
「……もしかしてソウスケさん、部下の中に気になる人が」
「いえ、違います」
「あら、そうでしたか」
何故か嬉しそうな顔を浮かべるも、一瞬で違うと即答されて沈む騎士団長。
現在二人はアマンダの部屋で高級な椅子に座りながら紅茶を飲んでいた。
「そのですね……昨日の夜、轟炎流の比較的若い門下生たちに相談されたんですよ」
「……なるほど。そういうことでしか」
アマンダは直ぐに納得のいった表情を浮かべ、それはそれで面白いと感じ、先程と同じ様なニコニコ顔になる。
「あまり個人情報を漏らすのは良くありませんが、ソウスケさんの頼みです。色々と教えましょう」
「あ、ありがとうございます」
本当に良いのかと思いつつも耳を澄ませる。
「……といったところです」
「なるほど、そう言った感じなんですね」
結果として、特に恋愛禁止という風紀はない。
とはいえ、なるべく乱れた恋愛はダメという……性別関係無く基本的に騎士が行ってはいけない恋愛はアウト事項である。
そしてやはり何人かは婚約者がおり、既に結婚している者もいた。
(結婚してるのに騎士を続けるって……多分凄い事だよな)
王族を護衛するという職務であるからこそ続けられるという裏事情があるものの、産休から復帰した強者もいる。
「ぶっちゃけた話、そこそこ無理を言ってる自覚はありますけど……可能性としては、どうですか」
「無きにしも非ずですね」
「……そ、そうなんでうすか?」
まさかの可能性はゼロじゃないですよ回答に一瞬驚き固まる。
「えぇ、本当ですよ。ソウスケさんがいない間、彼女たちが轟炎流の門下生たちについて盛り上がっている時がありました。彼の闘志は本当に熱かった、良い執念を持っていたと皆褒めていましたよ」
「それは何と言うか……正直、予想外の反応ですね」
基本的に貴族出身である女性騎士たち。
当然のことながら、交際相手に品位や格を求めるものだとばかり思っていたソウスケ。
「貴族出身でなければ嫌とか、そういう拘りはないんですか?」
「騎士という守る職に……もっと言えば、力が第一の職に就いているので、交際相手に対して第一に求める部分はどうやら容姿や権力ではなく、まず実力だそうです」
なるほどなるほどと、解らなくはない考え。
解らなくはないが……それでもまさかまさかという衝撃の方が大きかった。
「であれば、一度そういう機会をつくっていただいても……」
「えぇ、勿論構いません。彼女たちの中には、そういう出会いに飢えている方もいますので」
「そうなんですか?」
ない、とは思う。
だが……ほんの一瞬ベッドの上で襲うのは轟炎流の門下生側ではなく、第三騎士団の女性騎士たちなのかもしれない、というイメージが浮かんだ。
「騎士団に入ると……染まる人は染まるのです」
その表情には何故かとてつもない説得力があった。
「そうなると、そこら辺の下手な男性騎士だと、ただのプライドが高い少しだけ強い雄、としか見えないらしいです」
「染まれば、逆にそういった権力を持つ、持っている権力を利用しようと考えている輩に興味がなくなるんですね」
「個人さはありますが、学生の頃と比べてそういった部分に魅力を感じなくなることが多いらしいですよ」
ここまで話を聞くと……轟炎流の門下生たちにも十分勝機はある様に思えてくる。
だが、結婚となれば、彼らがどうしても超えなければならない壁が存在する。
「ですが、お付き合い始めて結婚するとなれば、各実家への挨拶は避けて通れません」
「あっ……」
「彼女たちが騎士という立場を捨てるのであれば話は別ですが、今のところ第三騎士団の女性騎士たちからそういった話は聞かないため、彼女たちへの実家に赴き、ご両親へ挨拶をするという鬼門は越えなければならない門ですね」
実際に体験したことがなければ、異性と付き合ったことがないにもかかわらず、無意識に震えてしまった。
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