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八百話 珍しく抜けてない
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本体ソウスケSIDE
「ソウスケさん、起きてください」
「……おぅ」
ミレアナに起こされ、重たい体を起こす。
正直……まだまだ寝ていたいソウスケ。
先日の夜、速攻で寝たいと思いつつも、しっかり食べなければ明日以降に響く。
そんな当たり前のことは理解している為、がっつり夕食を食べた。
そして合計で九時間以上は睡眠を取った。
どう考えても、ばっちり休息を取った筈だが……疲れが抜けていないと感じるソウスケ。
(いつもなら、眠気が消えなくてもそこまで疲れは感じないと思うんだけどな。これが、戦争を体験してる影響か?)
やはり辛い体験だと思いながらも、眠気に身を任せるわけにはいかない。
何故なら……分身である自分も頑張っている。
それが本体が頑張れる要因の一つだった。
「にしても、どれぐらいの人数を倒す……殺せば、戦争は終ると思う?」
朝食中、ミレアナにどこら辺が落としどころなのかを尋ねる。
「……やろうと思えば、キリがない話ですね。両国の国王がどれだけ戦力を投入するか、その匙加減によるかと思います」
「総大将の意思じゃないんだな」
「総大将は、あくまでその戦力を扱う立場なだけで、決められた戦力以上を独断で補給することは不可能かと」
単なる憶測ではないが、ミレアナの言うことは正しかった。
そして両国の国王としては、最初に決めた戦力以上の戦力を投入するつもりはない。
理由としては、負けそうだからといって際限なく戦力を導入しようとすれば、勝っても負けても国民や各領土の領主から恨みを買うのは必然。
ただ……エイリスト王国の国王とルクローラ王国の国王も、負けても良いとは思ってないが、そこまで暴走するほど
馬鹿ではない。
「ソウスケさんとしては、やはり早く終わって欲しいですよね」
「そりゃな。いくら基本的に戦闘職以外の人は殺されないとしても、好んで恨みもない人を殺したいとは思わないよ」
今のところ、ぶつかり合ったルクローラ王国側の部隊と戦って、相手に泣きながら命乞いをされたことはない。
そうなる前にソウスケたちが容赦なく止めを刺しているというのもあるが、一先ず今までの戦いで、恥を晒してでも助かろうとした相手はいなかった。
その選択は戦闘者として……恥じない終わりとしては、正解なのかもしれない。
だが、終わりを迎えてしまえば、絶対に次はない。
(……ダメだ。こんな事考えてると、肝心な時に殺れなくなる)
自分のミスで、自分が傷付くのは構わない。
しかし……自分のミスで、ミレアナやザハークに、同じ部隊の仲間に迷惑を掛けるのだけは我慢ならない。
と、ソウスケは心を律しなければ駄目だと、自分に厳しくしているが……同じ部隊の騎士や冒険者たちとしては、戦争が終わった後に飯を奢るのは当然として、戦闘面で絶対にソウスケへの恩を返したいと思っている。
「ソウスケさん。直ぐ近くに、私やザハークがいます。いつでも頼ってくださいね」
「っ……悪いな、多分情けない顔になってたよな」
「いえ、そんなことありませんよ。いつも通り、凛々しいお顔です」
絶対に誇張でリップサービスだろ、としか思えない言葉。
だが、今はその言葉を有難く受け取った。
周囲では同業者たちが、超美人エルフに褒められるソウスケに妬ましい視線を向けていたが、当の本人は珍しくその視線に気付いていなかった。
そして朝食を食べ終えてから数十分後、戦争二日目がスタート。
先日、誰一人として殺されていないこともあり、同じメンバーで戦場へ向かう。
状況としてはまだ様子見段階ではあるが、それでも投入される戦力は強者が多い。
「なんか、初戦としては呆気なかったわね」
「主に兵士、国に仕えるレベルには満たない、平凡な魔法使いだったからな」
とはいえ、一般的な兵士や魔法使いも参戦しているため、あっさりと戦闘が終了することもあった。
「ソウスケさん、起きてください」
「……おぅ」
ミレアナに起こされ、重たい体を起こす。
正直……まだまだ寝ていたいソウスケ。
先日の夜、速攻で寝たいと思いつつも、しっかり食べなければ明日以降に響く。
そんな当たり前のことは理解している為、がっつり夕食を食べた。
そして合計で九時間以上は睡眠を取った。
どう考えても、ばっちり休息を取った筈だが……疲れが抜けていないと感じるソウスケ。
(いつもなら、眠気が消えなくてもそこまで疲れは感じないと思うんだけどな。これが、戦争を体験してる影響か?)
やはり辛い体験だと思いながらも、眠気に身を任せるわけにはいかない。
何故なら……分身である自分も頑張っている。
それが本体が頑張れる要因の一つだった。
「にしても、どれぐらいの人数を倒す……殺せば、戦争は終ると思う?」
朝食中、ミレアナにどこら辺が落としどころなのかを尋ねる。
「……やろうと思えば、キリがない話ですね。両国の国王がどれだけ戦力を投入するか、その匙加減によるかと思います」
「総大将の意思じゃないんだな」
「総大将は、あくまでその戦力を扱う立場なだけで、決められた戦力以上を独断で補給することは不可能かと」
単なる憶測ではないが、ミレアナの言うことは正しかった。
そして両国の国王としては、最初に決めた戦力以上の戦力を投入するつもりはない。
理由としては、負けそうだからといって際限なく戦力を導入しようとすれば、勝っても負けても国民や各領土の領主から恨みを買うのは必然。
ただ……エイリスト王国の国王とルクローラ王国の国王も、負けても良いとは思ってないが、そこまで暴走するほど
馬鹿ではない。
「ソウスケさんとしては、やはり早く終わって欲しいですよね」
「そりゃな。いくら基本的に戦闘職以外の人は殺されないとしても、好んで恨みもない人を殺したいとは思わないよ」
今のところ、ぶつかり合ったルクローラ王国側の部隊と戦って、相手に泣きながら命乞いをされたことはない。
そうなる前にソウスケたちが容赦なく止めを刺しているというのもあるが、一先ず今までの戦いで、恥を晒してでも助かろうとした相手はいなかった。
その選択は戦闘者として……恥じない終わりとしては、正解なのかもしれない。
だが、終わりを迎えてしまえば、絶対に次はない。
(……ダメだ。こんな事考えてると、肝心な時に殺れなくなる)
自分のミスで、自分が傷付くのは構わない。
しかし……自分のミスで、ミレアナやザハークに、同じ部隊の仲間に迷惑を掛けるのだけは我慢ならない。
と、ソウスケは心を律しなければ駄目だと、自分に厳しくしているが……同じ部隊の騎士や冒険者たちとしては、戦争が終わった後に飯を奢るのは当然として、戦闘面で絶対にソウスケへの恩を返したいと思っている。
「ソウスケさん。直ぐ近くに、私やザハークがいます。いつでも頼ってくださいね」
「っ……悪いな、多分情けない顔になってたよな」
「いえ、そんなことありませんよ。いつも通り、凛々しいお顔です」
絶対に誇張でリップサービスだろ、としか思えない言葉。
だが、今はその言葉を有難く受け取った。
周囲では同業者たちが、超美人エルフに褒められるソウスケに妬ましい視線を向けていたが、当の本人は珍しくその視線に気付いていなかった。
そして朝食を食べ終えてから数十分後、戦争二日目がスタート。
先日、誰一人として殺されていないこともあり、同じメンバーで戦場へ向かう。
状況としてはまだ様子見段階ではあるが、それでも投入される戦力は強者が多い。
「なんか、初戦としては呆気なかったわね」
「主に兵士、国に仕えるレベルには満たない、平凡な魔法使いだったからな」
とはいえ、一般的な兵士や魔法使いも参戦しているため、あっさりと戦闘が終了することもあった。
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