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七百九十四話 名を知らずとも……
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「ようやく、戻ってこれたな」
丁度夕食頃、ソウスケたちはファードへと帰還。
同じタイミングで他の騎士や冒険者たちも戻ってきた。
(……寝たい)
飯や風呂も忘れて、ソウスケは直ぐにベッドへダイブしたいと思った。
現在、異世界で生活するようになってから、トップクラスに披露しており、今すぐベッドに転がれば秒で寝れる自信がある。
今すぐ寝たいという気持ちはあるが……そうもいかないと、ソウスケは理解している。
まずは冒険者ギルドに戻り、戦果を報告。
ギルド内では、受付嬢にソウスケの戦果が報告された時、驚きの声が上がったと後に直ぐ、歓声が上がった。
噂通りの活躍をし、敵国の戦力を大きく減らした。
戦時中という状況を考えれば、誰の戦果であろうと喜ばしい結果。
(…………減ってる、な)
ソウスケは心の中で、一つ呟いた。
今回の戦争に参加した者たちの顔を、全員は覚えていない。
しかし、先日まで見知った顔の連中が何人かいない。
まだ戦場から戻れていないだけかもしれないが、時間的に戻ってきていないのではなく、殺された可能性も十分にあり得る。
(解ってはいるけど、少し辛いな)
決してソウスケのせいではない。
寧ろ、ソウスケは自分が死ぬかもしれない可能性がある技を使用してでも、自身の戦力が別の方面でも使えるようにと考えて実行していた。
「ソウスケ、飯食べようぜ!!!」
「はい」
明日も一緒に動くメンバーたちと空いている数少ない酒場へ移動し、明日の行動に必要なエネルギーを蓄える。
「……顔色が良くないな、ソウスケ」
「多分、何人か死んだなと思って」
「ふむ…………傲慢、とも言えないか」
真面目な性格の男は、ソウスケの実力を正しく評価していた。
ソウスケであれば、その我儘にも思える願望を、叶える力がないとは言えない。
「いちいち考えるのは良くないと解っています。ただ、それでも少し気落ちするというか……」
「そうだな。こういう機会でなければ関りを持たないが、今は一つの目標に向かって走る同士だ。そう思うのも無理はないだろう」
高い実力を有していながら、年齢相応の傲慢とも思える優しさも有している。
「俺はソウスケに感謝してるぜ!」
「私もよ。人手が足りない瞬間、直ぐにサポートに回ってくれるし、それでいて仕事は雑じゃない」
「騎士は俺たちの動きにうるさいことが多いが、そんな小言が出ない程の活躍だったな」
「リーダーとしては、直ぐに突貫するところを直してほしいところだが……ふふ、結果を出している以上、強くは言えんな」
ソウスケと一緒の部隊となった冒険者たちは……勿論、この場に居ない騎士たちも含めて、ソウスケの働きに深く感謝していた。
そんな彼らの言葉を受け、ソウスケはうっかり涙が漏れそうになる。
(あぶね! 涙を流すのは……俺たちが勝った後じゃないとな)
まだその時じゃないと思い、無理矢理出そうになった涙を引っ込めた。
「評価してくれるのは嬉しいですけど……お礼がしたいなら、しっかり戦争が終わるまで生き残ってくださいよ」
「おっ、言ってくれるじゃねぇか!」
「でも、本当にお礼がしたいなら、ちゃんとソウスケ君の言う通り、戦争が終わった後に生き残っとかないとね」
戦闘者であれば、戦闘面で借りを返すのも乙ではあるが、ソウスケほどの戦闘者にそういった方法で返すのは難しい。
そう判断した同業者たちの判断は正しく、仮にソウスケがピンチになれば、ミレアナとザハークが現状をなんとかしてから速攻でサポートに入る。
「そうだな。俺も仲間たちも、お前たちも……ここで冒険者人生を終わらせたくない。そうだよな」
リーダーの言葉に全員が頷き、再度……自分たちの杯を重ね、明日への勇気を蓄えた。
そして翌朝、直ぐに支度を終わらせ、戦争二日目が始まった。
丁度夕食頃、ソウスケたちはファードへと帰還。
同じタイミングで他の騎士や冒険者たちも戻ってきた。
(……寝たい)
飯や風呂も忘れて、ソウスケは直ぐにベッドへダイブしたいと思った。
現在、異世界で生活するようになってから、トップクラスに披露しており、今すぐベッドに転がれば秒で寝れる自信がある。
今すぐ寝たいという気持ちはあるが……そうもいかないと、ソウスケは理解している。
まずは冒険者ギルドに戻り、戦果を報告。
ギルド内では、受付嬢にソウスケの戦果が報告された時、驚きの声が上がったと後に直ぐ、歓声が上がった。
噂通りの活躍をし、敵国の戦力を大きく減らした。
戦時中という状況を考えれば、誰の戦果であろうと喜ばしい結果。
(…………減ってる、な)
ソウスケは心の中で、一つ呟いた。
今回の戦争に参加した者たちの顔を、全員は覚えていない。
しかし、先日まで見知った顔の連中が何人かいない。
まだ戦場から戻れていないだけかもしれないが、時間的に戻ってきていないのではなく、殺された可能性も十分にあり得る。
(解ってはいるけど、少し辛いな)
決してソウスケのせいではない。
寧ろ、ソウスケは自分が死ぬかもしれない可能性がある技を使用してでも、自身の戦力が別の方面でも使えるようにと考えて実行していた。
「ソウスケ、飯食べようぜ!!!」
「はい」
明日も一緒に動くメンバーたちと空いている数少ない酒場へ移動し、明日の行動に必要なエネルギーを蓄える。
「……顔色が良くないな、ソウスケ」
「多分、何人か死んだなと思って」
「ふむ…………傲慢、とも言えないか」
真面目な性格の男は、ソウスケの実力を正しく評価していた。
ソウスケであれば、その我儘にも思える願望を、叶える力がないとは言えない。
「いちいち考えるのは良くないと解っています。ただ、それでも少し気落ちするというか……」
「そうだな。こういう機会でなければ関りを持たないが、今は一つの目標に向かって走る同士だ。そう思うのも無理はないだろう」
高い実力を有していながら、年齢相応の傲慢とも思える優しさも有している。
「俺はソウスケに感謝してるぜ!」
「私もよ。人手が足りない瞬間、直ぐにサポートに回ってくれるし、それでいて仕事は雑じゃない」
「騎士は俺たちの動きにうるさいことが多いが、そんな小言が出ない程の活躍だったな」
「リーダーとしては、直ぐに突貫するところを直してほしいところだが……ふふ、結果を出している以上、強くは言えんな」
ソウスケと一緒の部隊となった冒険者たちは……勿論、この場に居ない騎士たちも含めて、ソウスケの働きに深く感謝していた。
そんな彼らの言葉を受け、ソウスケはうっかり涙が漏れそうになる。
(あぶね! 涙を流すのは……俺たちが勝った後じゃないとな)
まだその時じゃないと思い、無理矢理出そうになった涙を引っ込めた。
「評価してくれるのは嬉しいですけど……お礼がしたいなら、しっかり戦争が終わるまで生き残ってくださいよ」
「おっ、言ってくれるじゃねぇか!」
「でも、本当にお礼がしたいなら、ちゃんとソウスケ君の言う通り、戦争が終わった後に生き残っとかないとね」
戦闘者であれば、戦闘面で借りを返すのも乙ではあるが、ソウスケほどの戦闘者にそういった方法で返すのは難しい。
そう判断した同業者たちの判断は正しく、仮にソウスケがピンチになれば、ミレアナとザハークが現状をなんとかしてから速攻でサポートに入る。
「そうだな。俺も仲間たちも、お前たちも……ここで冒険者人生を終わらせたくない。そうだよな」
リーダーの言葉に全員が頷き、再度……自分たちの杯を重ね、明日への勇気を蓄えた。
そして翌朝、直ぐに支度を終わらせ、戦争二日目が始まった。
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