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七百八十二話 まぁ、なんとかなる……はず

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「数日ぶり、ですね」

「そうだな」

戦争が始まる前にやっておきたかったことが終了し、数日ぶりに再会。

「それにしても、基本的にソウスケさんしか出来ない技……いや、奇跡ですね」

「俺しかというより、こいつがあるから出来ることだけどな」

ソウスケは以前の盗賊団討伐の際、盗賊の死体を蛇腹剣に食べさせ、分身という非常に珍しいスキルを手に入れた。

使用することで、自身の分身を一人生み出すことが出来る。
スキルレベルが上がれば、生み出す数を増やすことが出来るが、ステータスは同じではない。

その点に関してもスキルレベルを上げることで徐々に良い方向へ変えられるが、現時点では分身するとステータスや身体能力やらが半分に別れてしまう。

ソウスケの所有スキルや、レベルによる身体能力を考えれば、それだけで十分強くはある。
しかし、これから遭遇するであろう強者との戦闘を考えると、弱点を増やす形になり得ない。

だが、このスキルは今回の戦争で役立つ。
そう思ったソウスケは、短期間の間で蛇腹剣に大量のモンスターを食べさせた。
食べさせたモンスターの殆どは中堅からトップクラスの強さと、幅広いモンスターを喰らわせたことで、大量のスキルをゲット。

ソウスケ自身のレベルも少々アップ。

「とはいえ、外に出てからやろうか」

分身を使い、生み出したもう一人のソウスケと、身体能力や魔力量に関しては半々に分ける。
しかし、元々ソウスケが所有していたスキルに関しては、ソウスケ本体が所有したまま。

「んじゃ、これを渡しておくな」

「おう」

分身は本体から指輪状の蛇腹剣を受け取った。
これにより、分身は蛇腹剣が喰らい、成長させたスキルを自由に使うことが出来る。

「それと、一応この仮面も渡しておく」

「了解。まっ、バレそうになったら変装でも使うよ」

「おぅ、そうしてくれ」

今まで多くの盗賊たちを殺してきたため、一般的には珍しいスキルも蛇腹剣は喰らっていた。

今のソウスケ分身は、一応見た目悪くない仮面に、高性能なローブやブーツを身に付けた、一応斥候タイプの戦闘者に見えなくもない外見。

「それじゃ、行ってくる」

「気を付けてな」

上級者向けダンジョンで手に入れた収納指輪やその他のマジックアイテムをフル装備しており、戦力としてはAランク冒険者パーティーにも引けを取らない。

「よし、俺らも行こうか」

「はい」

「ふふ、楽しみだな」

「不謹慎だから、あまり同業者がいる前では、そういうこと言うなよ」

一気に半分まで減った魔力を回復し、ソウスケたちもギルドからそこに向かってくれと指示を出された街へと向かう。

「ソウスケさん」

「なんだ?」

「分身を使い、ソウスケさんの戦闘力をそこまで大きく下げず、戦力を増やしたのは流石の一言です」

急に褒められ、少々照れるソウスケ。
しかし、ミレアナに一つ問題点を感じていた。

「ですが、もう一人のソウスケさんは身分証を持っていませんよね」

「……やっべ」

もう一人の自分の身分証について、完全に忘れていた。

(良い案だと思って実行したけど、完全に忘れてたな……もう一人の俺用に作るか? でも、それはそれで後々面倒なことになりそうだしな)

仮にもう一人のソウスケが新しく身分証を作ったところで、一応今回の戦争に参加出来るが、絶対に最前線には送られない。
最前線に出られなければ、分裂した意味がない。

「どうしようか……いや、そもそも戦争に参加するだけなら、別に身分証とかつくらずに、勝手に参加しても問題無いか?」

「問題無いかもしれませんが、少々場を混乱させることにはなるかと」

「だよな…………まっ、向こうの俺がなんとかするだろ」

完全に人任せ……自分任せ。
とはいえ、分身も予め決めていた目的地に向かう途中で、その点に関して気付き、どうしようかと考えていた。
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