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七百七十七話 結果的に火を付けた
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「ソウスケ君、実際に振ってみても良いか」
「えぇ、勿論です」
生徒たちが鍛錬を行っている場所に移動。
レガースが戻ってきたことに気付き、全員が一声かける。
ただ……直ぐに意識が、レガースの手に握られている、一振りの刀に目が行く。
門下生の中には貴族出身の者もおり、目利きが上手い者は、まだ納刀している状態の残焔から、ただならぬ気配を感じた。
他の門下生たちも、目利きは出来ずとも、普通ではない雰囲気だけは感じ取れる。
「どうした、お前たち」
「いえ、その……師範が刀を振るう姿を、見たいなと思って」
正確には、師範が持つ刀の全容を見たい。
そんな生徒たちの本心を見抜きつつも、レガースはそれを許可した。
「ふぅーーー……っ!!!!」
一呼吸置き、抜刀。
その居合速度を……門下生たちは目で追えなかった。
実力者であるターリアはギリギリで追えたが、対応出来るかと訊かれると、答えに困る。
そこから数十回は仮想の敵を斬り刻み、ようやく納刀した。
「……間違いなく、今まで私が巡り合って来た武器の中で、最高の一振りだ」
自分たちが尊敬してやまない師範の口から、そのような言葉が零れた。
ともなれば、今一度……じっくりその刀を見てみたい。
素振りが終わったにもかかわらず、鍛錬に戻らない門下生たちを見て、再度彼らの心を察し、レガースは手招きした。
「触るのは厳禁だが、見るのは構わない」
一気に門下生たちが集まり、鞘から抜かれた残焔をじっくりと眺める。
「す、すげぇ……」
「……もはや、芸術の域……いや、武器という存在を考えれば……」
「一瞬欲しいって思ったけど、今の俺の実力だとな……」
「ダメだ、凄いとかヤバいとか、そんな単純な言葉しか出てこない」
「解かる。その気持ち凄い解るぞ。なんなんだよ、この刀」
門下生たちが次々に残焔を褒めるあまり、制作者であるソウスケは自然と頬が緩んでしまっていた。
「この刀は、ターリアのフレイザーや火竜・焔と同じく、ソウスケ君が造ってくれたのだ」
「「「「「っ!!??」」」」」
師範の言葉が耳に入り、門下生たちの視線は一気に制作者であるソウスケに向けられた。
「先日、レガースさんに頼まれてな」
フレイザーと火竜・焔を制作したソウスケであれば、目の前の名刀を造ったのも納得。
そんな表情を浮かべる門下生たち……その中で、一人の生徒がソウスケに質問した。
「あの、この名刀には、いったいどんな素材を使用したんですか」
それに関しては、まだレガースやターリアも聞いていなかった。
「当然玉鋼やミスリル鉱石、紅蓮鉱石などを使用しました」
当然という枠の中に、ミスリル鉱石や上級者向けダンジョンで採掘できる、最高レベルの鉱石、紅蓮鉱石が入っていると知り、ピシリと固まる門下生たち。
「モンスターの素材に関しては、ガルムと溶岩竜の牙や爪を使用しました」
「「っ!!!!????」」
この発言に、先程まで平静を保っていたレガースとターリアも表情が崩れた。
名刀、残焔を視る限り、それらの素材が使われていてもおかしくない業物、というのは理解している。
それも当然と言えば当然だが……実際に聞かされると、一瞬心臓が止まったかと思うほどの衝撃を受けた。
「……おい、お前ら大丈夫か?」
この一声で、門下生たちは止まっていた呼吸を再開。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……そ、その。それは、マジなんですか!?」
「あぁ、大マジだよ。そりゃ白金貨三十枚を渡されたら、それぐらい奮発しなきゃって思うだろ」
残焔の依頼額を聞き、大半の生徒が再び呼吸が止まりそうになる。
使用された素材も、依頼金額も半端ではない……が、依頼者であるレガースは渡した金額が、今手元にある名刀と釣り合っているのか、少々不安に思った。
「まっ、そういう訳だから、お前らもそれぐらい用意したら残焔ぐらいの武器を本気で造らせてもらうよ」
果てしない金額ではあるが、これはこれで門下生たちの向上心に火を付ける結果となった。
「えぇ、勿論です」
生徒たちが鍛錬を行っている場所に移動。
レガースが戻ってきたことに気付き、全員が一声かける。
ただ……直ぐに意識が、レガースの手に握られている、一振りの刀に目が行く。
門下生の中には貴族出身の者もおり、目利きが上手い者は、まだ納刀している状態の残焔から、ただならぬ気配を感じた。
他の門下生たちも、目利きは出来ずとも、普通ではない雰囲気だけは感じ取れる。
「どうした、お前たち」
「いえ、その……師範が刀を振るう姿を、見たいなと思って」
正確には、師範が持つ刀の全容を見たい。
そんな生徒たちの本心を見抜きつつも、レガースはそれを許可した。
「ふぅーーー……っ!!!!」
一呼吸置き、抜刀。
その居合速度を……門下生たちは目で追えなかった。
実力者であるターリアはギリギリで追えたが、対応出来るかと訊かれると、答えに困る。
そこから数十回は仮想の敵を斬り刻み、ようやく納刀した。
「……間違いなく、今まで私が巡り合って来た武器の中で、最高の一振りだ」
自分たちが尊敬してやまない師範の口から、そのような言葉が零れた。
ともなれば、今一度……じっくりその刀を見てみたい。
素振りが終わったにもかかわらず、鍛錬に戻らない門下生たちを見て、再度彼らの心を察し、レガースは手招きした。
「触るのは厳禁だが、見るのは構わない」
一気に門下生たちが集まり、鞘から抜かれた残焔をじっくりと眺める。
「す、すげぇ……」
「……もはや、芸術の域……いや、武器という存在を考えれば……」
「一瞬欲しいって思ったけど、今の俺の実力だとな……」
「ダメだ、凄いとかヤバいとか、そんな単純な言葉しか出てこない」
「解かる。その気持ち凄い解るぞ。なんなんだよ、この刀」
門下生たちが次々に残焔を褒めるあまり、制作者であるソウスケは自然と頬が緩んでしまっていた。
「この刀は、ターリアのフレイザーや火竜・焔と同じく、ソウスケ君が造ってくれたのだ」
「「「「「っ!!??」」」」」
師範の言葉が耳に入り、門下生たちの視線は一気に制作者であるソウスケに向けられた。
「先日、レガースさんに頼まれてな」
フレイザーと火竜・焔を制作したソウスケであれば、目の前の名刀を造ったのも納得。
そんな表情を浮かべる門下生たち……その中で、一人の生徒がソウスケに質問した。
「あの、この名刀には、いったいどんな素材を使用したんですか」
それに関しては、まだレガースやターリアも聞いていなかった。
「当然玉鋼やミスリル鉱石、紅蓮鉱石などを使用しました」
当然という枠の中に、ミスリル鉱石や上級者向けダンジョンで採掘できる、最高レベルの鉱石、紅蓮鉱石が入っていると知り、ピシリと固まる門下生たち。
「モンスターの素材に関しては、ガルムと溶岩竜の牙や爪を使用しました」
「「っ!!!!????」」
この発言に、先程まで平静を保っていたレガースとターリアも表情が崩れた。
名刀、残焔を視る限り、それらの素材が使われていてもおかしくない業物、というのは理解している。
それも当然と言えば当然だが……実際に聞かされると、一瞬心臓が止まったかと思うほどの衝撃を受けた。
「……おい、お前ら大丈夫か?」
この一声で、門下生たちは止まっていた呼吸を再開。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……そ、その。それは、マジなんですか!?」
「あぁ、大マジだよ。そりゃ白金貨三十枚を渡されたら、それぐらい奮発しなきゃって思うだろ」
残焔の依頼額を聞き、大半の生徒が再び呼吸が止まりそうになる。
使用された素材も、依頼金額も半端ではない……が、依頼者であるレガースは渡した金額が、今手元にある名刀と釣り合っているのか、少々不安に思った。
「まっ、そういう訳だから、お前らもそれぐらい用意したら残焔ぐらいの武器を本気で造らせてもらうよ」
果てしない金額ではあるが、これはこれで門下生たちの向上心に火を付ける結果となった。
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